見出し画像

第5話 暴力



○○:ふぁ~🥱ちっ。日直とか・・・マジでだりぃなぁ。

啓太:それな。

○○:はぁ~・・・

啓太:・・・なぁ。○○?

○○:なんだ?

啓太:気付いてるか?後ろの・・・

○○:ああ。多分、最近俺を尾行してた奴だ。

啓太:どうする?

○○:こういうのは無視するに限る。

啓太:大丈夫なのか?

○○:ああ。なにかあれば、返り討ちにするさ。

啓太:・・・



宮島:ちっ。未だに関係性が分からない。だが!山下○○。お前の好きにはさせない。待っててね、美月!必ず、君を救ってみせるから・・・


 その日の夜。山下家では・・・


全員:・・・

○父:○○。

○○:何?

○父:バイトの事だが・・・

○○:・・・バイトが何?

○父:母さんに聞いたよ。毎日、やっているそうだな。

○○:・・・(心:ちっ。聞いたよ、じゃねぇよ・・・やっぱり、見てくれてないんだな・・・俺の事なんて・・・)

○父:○○。いくら何でも、毎日は・・・

○○:俺の勝手だろ。

○父:おい!○○!話はまだ・・・


ガチャ🚪バタン


○父:・・・はぁ~。

美月:大丈夫?

○父:難しいな・・・親子って・・・

美月と美母:・・・



○○:・・・ちっ。


翌日


啓太:おはよ。○○。

○○:ああ?🤨

啓太:・・・機嫌、悪い?

○○:かなりな。

啓太:そっか・・・

○○:・・・ちっ。また尾行されてんな。

啓太:ああ。

○○:ちっ。何奴も此奴も・・・腹立たしいぜ。

啓太:まあまあ、落ち着けよ。


 学校に到着すると、何やら生徒達が騒いでいた。


ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ


生徒達:おい。彼奴だよ・・・女をとっかえひっかえしてるっていう・・・ボソボソ

生徒達:最低だな・・・ボソボソ



○○:ちっ。騒がしい奴等だ。

啓太:・・・(心:なんだ?皆、○○を見てる・・・)


 校内でも、生徒達が騒いでいた。



教室


啓太:おはよ。

男1:あ、啓太!大変だ!あ、○○・・・

○○:何?

男2:○○。一つ聞いて良いか?

○○:あ?ああ。

男2:女をとっかえひっかえしてるって、本当か?

○○と啓太:・・・は?

啓太:いやいや、何の話だよ?

男1:これ、見てみろよ。

啓太:?コレは?

男2:この学校の裏掲示板だよ。

啓太:裏掲示板・・・こんなの有ったのか。

男2:最近は、生徒全員が見てるって言われてるんだ。

啓太:そうなのか・・・知らなかった・・・で?この裏掲示板が何なのさ?

男2:コレだよ・・・

啓太:・・・これは!?○○!

○○:あ?・・・!?なんだ、これ・・・?


 学校の裏掲示板には、こう書かれていた。

 この学校の生徒である山下○○は、女をとっかえひっかえしてる遊び人。そして、気にいらなかったり、時間が経つと女は捨てられる。私の友達も被害に有った一人です。他にも多数の被害者が存在している。私は、そんなあなた達の味方です。もし、同じ被害に有った人は、積極的に名乗り出てください。必ず、皆さんを救ってみせます。そして、山下○○が次に狙っているのは、この人です。皆さん、くれぐれも気を付けて下さい。

啓太:なんなんだよ・・・これは!

男2:次の標的の写真も載ってる。ほら。

啓太:この人って・・・

男2:ああ。三年生の、中島美月さんだ。

(※名字の中島、は旧姓です。親の再婚で、山下美月になった。という設定です。因みに、学校生活では、中島美月として過ごしています。)


啓太:・・・まさか皆、○○が本当にしてるって思ってるのか?

男1:思ってる訳ないだろ!

男2:男1の言う通りだ。俺達は、誰も信じてないよ。なぁ皆!

クラスの男子:おう!

女1:そもそも山下君、女の子の事嫌いだもんね。

クラスメイト:うんうん。

啓太:ははっ。だな!

男1:ていうか、こんな胡散臭い投稿で信じるのも凄いよな。

男2:それな!証拠もなんにも無いのに。

女1:でも、山下君にキツい事言われた女の子はいっぱい居るかも。

クラスメイト:・・・確かに。

啓太:・・・(心:キツい事、か・・・)

○○:・・・(心:学校の生徒共が俺を見て騒いでたのは、こういう事だったんだな。誰がこんな投稿を・・・やっぱり・・・女なんて滅べば良い。)

啓太:なぁ○○。

○○:あ?

啓太:もしかして、あの女じゃないか?

○○:誰だ?

啓太:ほら。前に、告白してきた子の付き添いで来てたあの女だよ。

○○:・・・誰だ?

啓太:ズコッ!覚えてないのか?💦

○○:興味ないし。

啓太:はぁ~。まったく。(心:とりあえず様子見るか?いや、早く○○の誤解を解かないと。○○を独りにはさせない。絶対に。)

○○:・・・(心:親父が知ったら、どういう反応するかな。心配して・・・くれる訳ねぇか。俺のことなんて、どうせ見てくれないし・・・)

啓太:皆。この書き込みをした人間に心当たりが有る。

男1:ホントか?

啓太:ああ。皆!○○を救うために、協力してくれ!頼む!

男2:当たり前だろ!皆で○○を助けよう!

クラスメイト:おおーっ!


 宮島もまた、裏掲示板の投稿を見ていた。


宮島:・・・やっぱり・・・許さんぞ!山下○○!必ず、お前を潰す!


 そんな宮島の様子を、物陰から見つめる女が居た。そう。この女こそ、あの書き込みをした犯人。島山である。


島山:ふふっ。狙い通り。これで、あなたは終わりよ。山下○○。


美月side


美月:おはよう。史緒里。

史緒里:あ、美月!大変だよ!

美月:どうしたの?

女3:コレ見てよ!

美月:なーに、これ?

史緒里:この学校の、裏掲示板らしいんだけど・・・ほらコレ!

美月:・・・え!?な、なにコレ・・・


 美月が見たのは、あの投稿だった。


女3:美月、狙われてるみたいだよ。気を付けてね?

美月:う、うん・・・

史緒里:ねぇ、この投稿って・・・

美月:デタラメだよ。間違いなく。○○君がこんな事する訳ない。

史緒里:うん。でも、誰がこんな投稿を?

美月:うん・・・

?:美月!

美月:あ、宮島君。

宮島:投稿、見たよ。気を付けてね。

美月:その事だけど、○○君はそんな事する人じゃ・・・

宮島:騙されちゃ駄目だ。これが彼奴の作戦なんだから。今すぐ関わるのを辞めた方が良い。

美月:止めて!○○君を悪く言わないで!ダッ🏃

宮島:美月・・・

史緒里:・・・

宮島:やっぱり駄目か・・・なら仕方ない。

史緒里:・・・(心:宮島君・・・この投稿ってもしかして、宮島君が?それとも、他の誰かが?どちらにしても、何も起きなきゃ良いけど・・・)


 結局、学校が静まることはなく、○○を見かける度に、生徒達が陰口を吐いていた。そして、史緒里の願いも虚しく、事件は起きる。それは、放課後。○○が帰ろうとしていた時だった。



放課後・○○side


○○:ちっ。(心:結局、一日中騒がしかったな。)


 🚪ガラガラ


?:ちょっと良いか?

啓太:?アナタは・・・

?:三年の宮島だ。ちょっと、遊び人に用が有ってな。

○○:・・・ちっ。

啓太:○○は遊び人なんかじゃない。

宮島:騙されちゃ駄目だ。これが彼奴の作戦なんだから。

男1:何が作戦だ・・・○○はそんな人間じゃない!クラスメイトの俺達が言うんだから間違いない!

クラスメイト:そうだそうだ。

宮島:はぁ~。完全にやられてるね。其奴の思惑通りになってしまってる。

男2:何を言ってるんです?

宮島:大体、本人は否定してないじゃないか。それって、本当にやってるからだろ?どうなんだ?山下○○!

○○:はぁ~。うるさい。バイトに遅れるんで。じゃ!

宮島:・・・ちっ。待てよ。

○○:あ?

宮島:ふんっ!ブンッ🤛


ドカッ💥ガッシャン💥


 宮島は、○○を殴った。○○は教卓にぶつかった。


クラスメイト:!?

○○:いってぇな・・・

宮島:調子乗んなよ?

啓太:お前・・・

○○:はははっ・・・ふんっ!ブンッ🤛

ドガッ💥

宮島:グハッ!

○○:調子乗んなよ?ははっ!生憎だなぁ。こっちは色々有って腹立ってんだよ。これぐらい、文句言われないよな?先に殴ったのはそっちだもんな?正当防衛ってヤツだよな?

宮島:くっ!テメェ・・・!こっちは、空手の黒帯持ってんだ。お前なんか捻り潰してやる!オラッ!ブンッ🤛

パシッ

宮島:なっ!?(心:馬鹿な・・・俺のパンチを受け止めた?!)くっ!

○○:はぁ~。これで空手の黒帯かよ。クソ雑魚じゃん。オラッ!

宮島:!?ドカッ💥グハッ!

○○:はぁ~。ほら。立てよ。そっちが喧嘩売ってきたんだろ?ほら!立てよ!

宮島:テメェ!

○○:ははっ!ブンッ🤛

宮島:グハッ!

啓太:○○。もう良いぞ。

○○:・・・ほーい。

宮島:待てよ!

○○:はぁ~・・・何?

宮島:お前、美月とどういう関係なんだ?

○○:あぁ~、そうね。俺に関わってくる嫌な女、かな。

宮島:嫌な女・・・

○○:だってそうだろ?ズカズカと俺のアレコレに関わってきて、家族面してくるんだから。嫌な女の何者でもないじゃん。てか何?アンタ、アイツのこと好きなの?

宮島:ああ。好きだよ。

○○:あっそ。ま、どうでも良いけど・・・

宮島:嫌な女なんかじゃない。美月は・・・誰に対しても優しくて、いつも誰かの助けになりたい。そう思っている、とても良い子なんだ。

○○:それがうざいんだよ。どうせ、周りに好かれたいだけだろ。自分の価値が上がるもんな。

宮島:くっ!テメェ!ブンッ🤛

 パシッ

○○:はぁ~。オラッ!

宮島:グハッ!💥ガッシャン

○○:・・・雑魚が。

宮島:・・・とんだ暴力男だな。親の遺伝か?そういえばお前の所、シングルファーザーだったな。ははっ!"母親"の遺伝か?虐待女だったとか。

○○:!?(母親の遺伝・・・グッ✊)一緒にするな・・・ボソッ

宮島:あ?

啓太:マズい・・・!

○○:一緒にするな!ブンッ🤛

宮島:!?グハッ!

○○:母親の遺伝だと・・・あんな奴と一緒にするな!

宮島:くっ!テメェ・・・くっ!ぐっ!グハッ!

啓太:○○、止めろ。

宮島:くっ!ぐっ!グハッ!ガハッ!

○○:俺はアイツとは違う・・・あんな奴と一緒にするな・・・

宮島:くっ!ぐっ!グハッ!

啓太:○○!止めろ!

宮島:ガハッ!

○○:死ね・・・

全員:!?

啓太:止めろ!ガシッ

○○:くっ!離せよ!啓太!離せっ!

啓太:止めろ!このままじゃ、ホントに母親と一緒になるぞ!

○○:!?啓太・・・俺・・・

啓太:大丈夫だ。大丈夫大丈夫。

○○:・・・ごめん・・・

啓太:大丈夫だ。誰か先生呼んできてくれ。

男2:分かった。

宮島:くっ!テメェ・・・許さねぇ・・・

啓太:・・・ふっ!

宮島:ドカッ💥ぐっ!な、何するんだ?!

○○:啓太・・・

啓太:○○はやり過ぎた。でもな!最初に殴ったのは貴方だ。それは、此処にいる全員が見てる。それに、○○の悪口を言う奴を、俺は許さない。

宮島:・・・

男2:先生!こっちです!

先生:何が有ったのか話しなさい。

啓太:はい。


一時間後


先生:そうか・・・山下。殴ったのは事実なんだな?

○○:はい・・・

先生:・・・で、先に殴ったのは宮島。ということで良いんだな。

啓太:はい。このクラス全員が見てます。間違い有りません。

先生:宮島・・・間違いないな?

宮島:はい・・・

先生:・・・

啓太:あの。○○はどうなるんでしょうか?

先生:・・・とりあえず、親御さんに連絡しないとな。宮島の所も。

宮島:はい・・・

先生:とりあえず、山下と宮島以外は帰って良いぞ。

クラスメイト:はい・・・

啓太:俺は残ります。○○と一緒に帰るので。

先生:分かった。

啓太:○○、下で待ってるから。

○○:ああ・・・

啓太:後、バイト先には休むって連絡しとくな。

○○:ありがと・・・

啓太:ああ。




先生:山下はどうする?迎えに来てもらうか?

○○:電話は家にしてください。後、迎えは要らないです。

先生:分かった。気を付けて帰れよ。

○○:はい・・・ご迷惑をおかけしました。さよなら。

先生:ああ。



先生:宮島。親にはどう言うつもりだ?

宮島:・・・彼奴が不利にならないように伝えるつもりです。

先生:どうしてだ?教師の俺が言うのもなんだが、充分問題に出来る事だぞ?

宮島:彼奴を傷付けたのは事実ですから。

先生:そうか。

宮島:彼奴、悲しい目をしてたんです。母親と一緒って言ったとき。それに、彼奴はまだ傷付くかもしれないんです。

先生:どういう事だ?

宮島:この学校の裏掲示板に、こんな投稿が有ったんです。

先生:裏掲示板?!そんなのが有るのか。

宮島:はい。これがその投稿です。


 そう言って、宮島はあの投稿を見せた。


先生:・・・何か証拠は?

宮島:多分、無いと思います。最初見たときは、気が動転してて気付かなかったんですけど、よく見たら、文章しか無いんです。普通なら、そういう写真が有るのに、この投稿には一枚も無いんです。

先生:つまり・・・誰かが、山下を陥れようとしてるって事か?

宮島:はい。そして、その犯人は恐らく、島山です。

先生:島山・・・隣のクラスだな・・・分かった。注意してみるよ。

宮島:はい・・・(心:少しは、罪滅ぼし出来たかな・・・)俺、改めて山下に謝罪します。許してもらえなくても、俺なりに彼奴を助けます。

先生:😏ああ。



○○:・・・

啓太:○○・・・帰るか。

○○:ああ。

?:○○君!

○○:・・・

?:大丈夫?

○○:・・・アンタには、関係無い・・・

?:あ・・・

啓太:中島さん?

美月:あ、うん。もしかして、啓太君?

啓太:はい。

美月:お母さんに聞いたの。だから、来てみたんだけど・・・

啓太:わざわざ、家から?

美月:うん。

啓太:そうですか。家では、どう過ごしてますか?

美月:・・・ほとんど、部屋に籠もってるかな。ご飯も一緒に食べたこと無いから。

啓太:そうなんですか。お父さんとはどうですか?

美月:それが・・・最近喧嘩ばっかりで。

啓太:・・・マズいかもしれないです。

美月:え?

啓太:何もなければ良いけど・・・

美月:・・・


山下宅


🚪ガチャ


美母:あ、おかえり。大丈夫だった?

○○:・・・

美母:あ・・・

美月:ただいま。

美母:おかえり。

美月:○○君。

○○:何?

美月:勉強・・・分かんないところとか無い?

○○:無い。

美月:そっか・・・

○○:・・・親父には連絡したのか?

美母:ううん。してないよ。

○○:・・・テクテク🚶

美月:あ・・・


二時間後・・・


○父:ただいま。

二人:おかえり。

○父:○○・・・

○○:・・・おかえり。

○父:ただいま。

全員:・・・

○父:何か有ったのかい?

○○:・・・

○父:○○?

○○:・・・何となく分かんないの?

○父:・・・ごめん。分かんないな。

○○:・・・(心:前なら、直ぐに気付いてくれたのに・・・)部屋戻る。

○父:あ・・・



三十分後・・・


○○:風呂入ろ。


一階


○父:○○。

○○:・・・何?

○父:母さんから聞いた。

○○:・・・

○父:学校で、先輩を殴ったそうだな。

○○:・・・

美月:お父さん。○○君が殴ったのは・・・

○父:分かってるよ。○○に関する嘘の情報が流れてる事も聞いた。

○○:・・・

○父:理由はともあれ、殴ったのは良くない。

○○:分かってるよ。

○父:ホントに分かってるのか?

○○:分かってるって言ってるだろ!

○父:待て○○!

○○:うるせえ!

三人:っ!

○○:何が・・・母さんに聞いた、だ・・・ふざけんな!その女に聞かないと分かんねぇのか!息子のことなのに!

○父:何を言って・・・

○○:再婚してから、ずっとそうだ!アンタは・・・俺のことなんて全然見てくれなくなった!いっつもいっつも、こいつ等の事ばっかりだ!どうせ!俺の事なんてどうでもいいんだろ!そうだろ!

○父:いい加減にしろ!

 パチーン🖐️

○○:っ!

美母:ちょっと貴方・・・

○父:あ・・・す、すまない・・・○○、大丈・・・

○○:触るな・・・

○父:○○?

○○:触るな!

○父:っ!

○○:・・・結局一緒なんだな・・・アンタも・・・アイツと一緒だ!

美月:○○君・・・

○父:すまない・・・僕は・・・

○○:もう良い・・・こんな所・・・出てってやる!ダッ🏃

○父:待て○○!


ガチャ🚪バタン


全員:・・・

○父:僕の所為だ・・・僕の・・・

美母:大丈夫よ。必ず帰ってくるわよ。

美月:そうだよ。

○父:うん・・・


 でもこの日、○○君が帰ってくることは無かった。


○○:・・・もう誰も・・・信じない・・・



To be continued……


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?