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甘えてきてくれました



 私の名前は弓木奈於。私は、二個年下の金川○○君と付き合っています。彼と付き合い始めてもうすぐ一年半。彼の家族は、私の親友である、金川紗耶との二人家族です。というのも、二人のご両親は、○○君が小学一年生の時に、事故で亡くなったそうです。それ以来二人は、親戚の家に引き取られ、育てられたそうです。そして、私と"やん"が高校を卒業したタイミングで、二人は親戚の家を出て二人暮らしを始めました。やんとは高校で出会い、直ぐに仲良くなり、よくおうちに遊びに行っていました。そこで出会ったのが○○君でした。付き合い始めたのは、○○君が高校を卒業した時からで、現在○○君は大学二年生。そして、私とやんは、大学四年生です。




奈於:ふぁ~🥱今日は休みだし、ゆっくりしようかな。

 講義が休みだった私は、家でゆっくりしようとしていた。そんな時・・・

📱Prrrrrrr

 スマホが鳴った。相手は金川紗耶こと、やんだった。

📱ピッ

奈於:もしもし。どうかした?

紗耶(電話):奈於ちゃん助けて!

奈於:え!?ど、どうしたの?

紗耶(電):○○が・・・○○が!

奈於:落ち着いて!○○君がどうかしたの?

紗耶(電):○○が・・・風邪引いちゃったの!

奈於:そうなんだ。やんが看病してるんじゃないの?

紗耶(電):してはいるんだけど・・・今日講義が入ってて、行かなきゃいけないの。かと言って、○○を1人にするのは気が気じゃないし。ほら。あの子って、人に甘えたり、弱いところを見せたりしないでしょ?

奈於:うん。それは、あるかも。

紗耶(電):昔から、一人で抱え込んで無理するから。

奈於:・・・○○君はなんか言ってた?

紗耶(電):「気にしないで行って来て良いよ。俺は大丈夫だから。」って、言われた。

奈於:そっか・・・熱は?

紗耶(電):38.9℃

奈於:え!?それ、絶対大丈夫じゃないじゃん!

紗耶(電):そうなんだよぉ~。かといって、頼れる人も居ないし。

奈於:ご家族は?

紗耶(電):町内会の旅行で、熱海に行ってるんだ。

奈於:成る程。今は、○○君はどうしてる?

紗耶(電):今は眠ってるよ。でも、とても苦しそうで。だからお願い!○○のお世話をお願いしたいんだ。

奈於:分かった!今から行くよ。

紗耶(電):ありがとう奈於ちゃん!

奈於:ううん。ところで、お粥とかは作ったの?

紗耶(電):・・・作ってないです。ていうか作り方分かんないし。

奈於:そっか。何か食べさせないと、薬も飲めないからね。

紗耶(電):うん。

奈於:あれだったら、果物とか薬とかも買ってこようか?

紗耶(電):ホント!?助かるよぉ~。とりあえず、後一時間は私も居れるから。

奈於:分かった。なるべく急ぐよ。

紗耶(電):うん!

📱ピッ

奈於:よし。急ごう。



スーパー


奈於:薬、薬・・・うーん。あ、症状とか聞くの忘れたな。とりあえず、色々買おう。後は、果物だな。やっぱりリンゴは外せないよね。よし。


 果物や薬を買い終えた私は、直ぐにやんの家に向かった。


ピンポーン🔔

紗耶:はーい。

🚪ガチャ

紗耶:奈於ちゃん!いらっしゃい。

奈於:色々買ってきたよ。

紗耶:ありがとう!上がって。

奈於:お邪魔します。○○君はまだ寝てる?

紗耶:うん。でも、魘されてるって、言うのかな?あそこまで弱ってる○○は見たことなくて。

奈於:そっか。ちょっと覗いても良い?

紗耶:うん。

奈於:失礼します。

🚪ガチャ

奈於:○○君?

○○:う~ん・・・んっ・・・お姉ちゃん?

奈於:あ、起こしちゃった?

○○:!?せんぱっ・・・ゴホッゴホッ!

奈於:あ、駄目だよ。寝てないと。

○○:すいません。ゴホッゴホッ!ゴホッゴホッ!

紗耶:○○・・・大丈夫?

○○:大丈夫だって。ゴホッゴホッ!それより大学は?

紗耶:そろそろ行くけど・・・やっぱりやっぱり休もっか?

○○:でも、大事な講義なんでしょ?

紗耶:うん・・・

○○:だったら、ゴホッゴホッ!行かないと。

紗耶:うん・・・

奈於:大丈夫。私がちゃんとてるから。

紗耶:ありがとう。じゃあ、お願いね。

奈於:うん。

紗耶:なるべく、早く帰ってくるから。

○○:ゆっくりで大丈夫だよ。

紗耶:じゃあ、いってきます。

○○:ゴホッゴホッ!いってらっしゃい。

奈於:いってらっしゃい。

🚪ガチャ

○○:・・・

奈於:お腹空いてない?

○○:ちょっとだけ・・・

奈於:じゃあ、お粥作ってくるから、待っててね。

○○:はい・・・先輩。

奈於:ん?

○○:・・・やっぱり、何でも無いです。

奈於:言ってみて?大丈夫。迷惑だなんて思わないから。ね?

○○:・・・卵粥が、良いです。

奈於:分かった。ちょっと待っててね。

○○:・・・うん🙂

奈於:ふふっ。




奈於:お待たせ。

○○:ありがとうございます。ゴホッゴホッ!

奈於:・・・熱いから、冷ましてあげるね。

○○:自分でやります。

奈於:ダーメ。

○○:でも・・・

奈於:○○君。

○○:・・・お願いします。

奈於:うん。


 ちょっと強引だったかな。でも、これくらいじゃないとね。


奈於:ふー、ふー、ふー、ふー。はい。あーん。

○○:パクッ

奈於:美味しい?

○○:🙂はい。

奈於:😊ふー、ふー、ふー、ふー。はい。

○○:パクッ。先輩・・・

奈於:なに?

○○:・・・ゴホッゴホッ!あの・・・その・・・

奈於:いいよ。言ってみて?

○○:・・・今日は、ずっと一緒に・・・居てほしい・・・です・・・

奈於:ふふっ。・・・○○君ってさ、あんまり、他人に頼ろうとしないでしょ?

○○:それは・・・迷惑を、かけたくないから・・・

奈於:迷惑だなんて思わないよ。他の人がどうかは分からないけど、少なくとも、私は思わない。それはきっと、やんも同じ。だから、もっと周りを頼って良いんだよ?

○○:先輩・・・

奈於:それに、今こうして頼ってくれてる。

○○:え?

奈於:ずっと一緒に居てほしいって、言ってくれたじゃん。私は嬉しかったんだ。○○君が頼ってくれたから。これからも、もっと頼ってよ。いつでも助けるから。

○○:先輩・・・

奈於:それと。その先輩って呼び方嫌だ。名前で呼んで欲しい。

○○:・・・弓木さん。

奈於:奈於!奈於って呼んで!はい!

○○:な、奈於・・・さん。

奈於:むぅ~。

○○:じゃ、じゃあ、奈於ちゃん、で良いですか?

奈於:宜しい!はい、あーん。

○○:あ、あーん。パクッ

奈於:全部食べる?

○○:全部は、いいかな。

奈於:そっか。じゃあ、もう少し食べる?

○○:うん。ゴホッゴホッ!

奈於:あーん。

○○:パクッ。美味しい。

奈於:ふふっ。

○○:奈於ちゃん。

奈於:ん?

○○:ごちそうさま。

奈於:うん。一応とっとくから、食べたくなったら言ってね。

○○:うん。

奈於:じゃあ、薬飲まないとね。

○○:うん。


 その後、薬を飲んだ○○君は、再び横になった。


○○:奈於ちゃん。

奈於:なに?

○○:・・・手、握っててくれないかな?その方が、安心して眠れる気がするから。

奈於:ふふっ。分かった。良いよ。ギュッ🤝

○○:えへへ/////ありがとう、奈於ちゃん。

奈於:うん。おやすみ。

○○:おやすみ。スー、スー、スー、スー😔

奈於:・・・ふふっ。可愛い寝顔。ナデナデ👋(心:これで少しは、周りを頼れるようになるかな。)

○○:スー、スー。んっ。奈於ちゃん・・・ずっと・・・一緒・・・スー、スー😌

奈於:うん。ずっと一緒だよ。何があっても。ずっと。



一時間後・・・



🚪ガチャ


紗耶:ただいま!心配だったから、講義終わってすぐ帰ってきた!○○、大丈夫?

奈於:あ、おかえり。

紗耶:ただいま!奈於ちゃん、○○は?

奈於:大丈夫だよ。お粥ちょっと食べて、薬も飲んだから。今は、眠ってるよ。

紗耶:あ、魘されてない。

奈於:?○○君、魘されてたの?

紗耶:うん。ずっと、「行かないで・・・行かないで・・・」って。多分、夢に見ちゃったんじゃないかな。お父さんとお母さんが死んじゃった時の事。それに、私や奈於ちゃんの事も呼んでた。

奈於:私の事も?

紗耶:うん。重ねちゃったんじゃないかな。両親に、私と奈於ちゃんを。それだけ、大切に思ってくれてるんだよ。

奈於:そっか。それだったら、嬉しいな。

紗耶:うん。奈於ちゃん。

奈於:なに?

紗耶:○○の事、お願いね。

奈於:うん!


 この日は、このまま泊まる事になった。そして、翌日。


○○:んっ。ん~~。

紗耶:おはよう、○○。

○○:おはよう、お姉ちゃん。

紗耶:ふふっ。熱計ろっか。

○○:うん。

紗耶:はい、体温計。ピッ

○○:ありがとう。


ピピピピピ


○○:はい。

紗耶:ありがとう。んーと、おっ!37.4℃だって。昨日より、遥かに下がってる。

○○:良かった。

紗耶:でも!油断は禁物だよ。風邪は、治りかけが大事なんだから。とりあえず、今日までは安静にしとくこと。分かった?

○○:うん!

紗耶:よし。

○○:奈於ちゃんは?

紗耶:今、朝ご飯作ってるよ。

○○:そっか。

奈於:おっ!起きたんだね。

○○:あ、奈於ちゃん。おはよう。

奈於:ふふっ。おはよう。やんちゃん、熱は計った?

紗耶:37.4℃だったよ。

奈於:そっか。大分下がったね。まだ油断はできないけど。

○○:さっき言われた。

奈於:ふふっ。○○君、何食べたい?

○○:うーん・・・うどん!うどんが食べたい!

奈於:ふふっ。分かった。待っててね。

○○:うん!

紗耶:・・・○○。

○○:?なに?

紗耶:私も、何があっても、○○の事助けるから。なんでも言ってね。

○○:ありがとう。お姉ちゃん。

紗耶:うん!風邪が治ったら、どこか行こっか。

○○:うーん、じゃあ、おもちゃが欲しい。

紗耶:え?

○○:ガッチャードの変身アイテムが欲しいな。ダメ?

紗耶:・・・(心:あの○○が、私を頼ってくれてる。よし!)分かった。私が買ってあげる。

○○:ホント?ありがとう、お姉ちゃん!

紗耶:うん。

○○:あ、奈於ちゃんも誘って良いかな?

紗耶:ふふっ。もちろん!昨日のお礼もしたいしね。

○○:やった!楽しみだなぁ~。ふふっ。

紗耶:😊(心:もう。可愛いなぁ。ふふっ。)

奈於:二人ともー!そろそろご飯出来るよ!

二人:はーい!


 今回の出来事を通して、○○君は甘えてくるようになりました。そんな○○君が可愛いくてたまりません。そしてこの数年後、私達は同棲生活を始め、○○君がもっともっと甘えてくるんですが、それはまた、別の話。




END



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