見出し画像

【本要約】『臆病者のための株入門』

 今回は橘玲著『臆病者のための株入門』を紹介します。

 この本は株式投資について、初心者にわかりやすく解説した本になっています。

 株式投資を用いて利益を生み出す方法は3つあります。株式投資を行って利益を生み出そうと考えるのであれば、この3つの方法の特徴を知り、自分に合った使い方をする必要があります。

 ではその3つの方法とはどういったのものなのか。詳しく見ていきましょう。


■株式投資はギャンブル

 3つの方法を見ていく前に、知っておくべき大切なことがあります。それは株式投資はギャンブルだということです。

 これを理解するためには他の世界を見る必要があります。例えば将棋の世界を見てみましょう。将棋の世界には長年修行を積んだプロがいます。このプロに素人が勝負を挑んでも絶対に勝てません。

 将棋がわかりにくければサッカーで考えてみると良いでしょう。サッカーのプロに素人が挑んでも確実に負けるでしょう。

 このようにほとんどの競技では、プロとアマチュアの間に大きな壁があります。「プロ」とは素人がどれほど努力しても到達できない高みに達した人たちの呼称なのです。

 株式運用のプロを金融業界ではファンドマネージャーといいます。しかし、このファンドマネージャーは素人に負けることがあります。

 一例を示すと「ジェイコム男」がいます。「ジェイコム男」は20代無職で株式投資の素人なのですが、株式投資で資産を1万倍にしました。こんなことはファンドマネージャーにはできません。

 では「株式運用のプロ」とはいったい何なのでしょうか?これを理解するにはプロのいない世界を考えてみると良いでしょう。例えば、コイン投げのプロは存在しません。コインの裏表は偶然で決まり、その確率は五分五分だからです。

 このように勝敗が偶然によって決まるゲームにプロはいません。それに対して将棋やサッカーでは、プロとアマチュアの間に乗り越えがたい力量の差が生じます。そこに偶然の余地はわずかしか働きません。

 ここに株式投資の本質があります。

 20代無職の「ジェイコム男」が「金融のプロ」を圧倒したということは、株がプロの競技ではなく、コイン投げやサイコロにちかい偶然のゲーム、すなわちギャンブルであることを示しているのです。

 株式投資に挑む際は、このことを頭に入れておかなければなりません。


■3つの投資法

 株式投資はギャンブルです。ですが、株式投資をするからと言ってギャンブラーになる必要はありません。なぜなら株式投資には色々な種類があり、その中にはギャンブル性の高いものもあれば、低いものもあるからです。

 株式投資には以下の3つの方法があります。

①トレーディング(デイトレード含む)
②個別株長期投資(バフェット流投資法)
③インデックスファンド(経済学的にもっとも正しい投資法)

 ①トレーディングはデイトレードと考えたほうがわかりやすいかもしれません。株価チャートを常に見ながら売買し、利益を得る方法です。

 これはかなりギャンブル要素が強く、ゲーム性が高いため、一度ハマるとやみつきになるという特徴があります。また、これにはちょっとした罠があります。トレーディングはゼロサムゲームなのです。

 ゼロサムゲームとは儲けと損の合計がゼロになることで、簡単に言うと誰かが得をすると必ず誰かが損をするということです。こういった世界で勝率50%以上を保ち続けるのはなかなか大変です。

 ②個別長期投資は有名な投資家、ウォーレン・バフェットが採用している方法で、個別株を長期投資する方法です。

 もう少し詳しく説明すると、財務諸表などから企業の本質的価値を推定して、現在の株価がその理論よりもはるかに安ければ大量に保有し、市場が自らの過ちに気づいて株価が上がるのを待つ、というものです。

 この方法はもっとも大きな利益が期待できる方法で、とても有力ではありますが、企業調査にかなりの時間と努力が必要です。

 ここまで読まれた方の中には「トレーディングはギャンブル要素が強そうで怖いし、個別長期投資はなんか大変そう…」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 そんな方には③インデックスファンドに投資をするのがおすすめです。インデックスファンドとは色々な株が入っている袋のようなもので、その袋を買えば、中に入っている株に分散投資ができます。

 実はこのインデックスファンドに投資するという方法は経済学的に最も正しい投資法で、ノーベル賞を取るような経済学者がそろってこの方法が正しいと述べています。(その裏には難しい理論があります。すべてを理解するのは難しいですが、概略だけでも知りたいという方は本書をお読みください。)

 この方法のメリットは何も考える必要がないことです。インデックスファンドに投資した後は放置するだけです。なぜ放置するだけで良いかというと、インデックスファンドに投資するということは市場そのものに投資をするということであり、長期スパンで見れば市場は拡大しているからです。

 しかしデメリットもあって、それは平均的にしか儲からないということです。なので②個別株長期投資のような大きな利益をは望めません。

 以上のことをまとめると以下のようになります
①トレーディング
メリット:ゲーム性が高く、一度ハマるとやみつきになる
デメリット:ゼロサムゲームなので、初心者の大半は敗退していく

②個別株長期投資
メリット:もっとも大きな利益が期待できる
デメリット:企業調査に時間と努力が必要

③インデックスファンド
メリット:あまりに簡単で考える必要がない
デメリット:平均的にしか儲からない

 これを踏まえて、いったいどこに投資をするべきなのでしょうか。これはあなた自身が決めることです。

 もしあなたが投資に娯楽を求めているのであれば、トレーディングが最高の機会を与えてくれるでしょう。

 もし投資家として生きる道を選ぶのであれば、企業調査に時間と努力を割いて、個別株長期投資を行うのが良いでしょう。

 もし他の仕事していて、余裕資金を株式市場で運用したいと考えるのであればインデックスファンドに投資するのが良いでしょう。

 これらは一つだけしかやってはいけないということではありません。資産の80%はインデックス投資に回して、残りの20%でギャンブル性の高いトレーディングに興じるというのも良いでしょう。

 それぞれのメリット、デメリットを把握し、自分に合った投資法を自分に合った割合で行っていきましょう。


■まとめ

いかがだったでしょうか。より詳しく知りたいという方は以下のリンクからご購入ください。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?