薬木キハダの樹皮採取体験。宇陀松山、薬草、発酵博覧会にて。
『薬木キハダの樹皮採取体験』
宇陀市菟田野にある“奈良カエデの郷ひらら”さんを訪れた折に、見つけたこのチラシ。
宇陀松山 薬草、発酵博覧会。
宇陀は、前から行ってみたかったところの一つ。
町並みや、森野旧薬園などへの興味から、Googleマップに、“☆”を付けていたので、これはチャンス!と、行ってみることに。
当日、まずは、キハダ樹皮採取体験を目指し、会場である奈の音さんへ向かう。
マルシェでも賑わう奈の音さん。
時間ギリギリだったので、靴を脱いで、奥にある受付へ急ぐ。
予約は?と聞かれ、
あ、予約してないと駄目でした?
と、あわてましたが、一人なら大丈夫とのことで入れてもらえました。
案内された会場は、すでに満席。
入口の隅の方に、折りたたみ椅子を出していただく。
まずは座学からで、奈良県、宇陀と薬草の関わり、薬に関しての歴史から。
置き薬の箱を、見せて頂いたり。
そして、講師の保科政秀さんが、所属しておられる、ポニーの里ファームさんの事業内容、キハダに関わりだしたきっかけなど。
高市郡高取町にあり、障害をもつ方へ、乗馬セラピーを提供することから始まったそうです。
さて、本題のキハダの樹皮採取実習。
お庭に場所を移し、皮を剥きます。
キハダと言うだけあり、本当に黄色いのです。
と言っても樹木なので、表の皮は、ちゃんと木の色してます。
でも、その、ぶ厚めの、ぼそぼそとした、皮を剥がすと、すぐ下に、美しい黄色い樹皮があらわれます。
コルク質の外皮と、木の本体部分との間に、黄色い層があるのです。
こんなに爽やかで、鮮やかな黄色を秘めているなんて。
外皮を剥き、本体からも剥がして、黄色い部分だけにせねばなりません。
とりあえずスクレーパーで、縦にぐさっと、切れ込みを入れて、黄色い層が終わるところまで、繊維を切ってから、ぐいっと、沿わすように、捻じるように刃を入れていく。
最初はおっかなびっくり、、。
だんだん力加減などが、わかってくると、ぐいぐい、べりべりと、はがすことが出来てきます。
樹液が多い時期が剥きやすい為、採取シーズンは、梅雨入り前後から、8月お盆前まで。
指を黄色く染めあげている樹液を、舐めてみると、少し苦い。
苦みを強く感じる人ほど、消化器系にダメージがある、とか、、。
調子にのって、小枝の付いた樹皮剥がしにチャレンジ。
このあと、表皮剥がしにとりかかる。
でも、ポソポソしてる外皮は、あんまり氣持ちよくは剥がれず、地道な作業。
しかも、皮だけになってると、しっかり押さえられなくて、だんだんと乾いてくるのも、やりにくい。
本体から剥がすのが豪快で面白かったので、夢中で分離させてしまいましたが、実は、外皮を先に剥がしたほうが、やりやすかったのかな。(本職の方は、好みで、どちらの方もいるそうです。)
体験用に用意していただいた、スクレーパーではなく、皮剥くための、スプーンの様な工具を、少し使わせて頂いたら、全然違いました。
さすが、工具は大切です。
キハダの樹皮からとれる黄檗(オウバク)は、1300年以上前、修験道の開祖、役小角さまが、創られたお薬、“陀羅尼助”の主原料で、今なお、その名前のお薬は健在。
なので、キハダの需要はあるのですが、安価な外国産が主流となり、農家さんは減少気味。
キハダの皮を剥ぐ職人さんも不足しているそうです。
キハダの黄色い部分1kgで、千円にしかならず、一本まるまる剥いても、10kg。
一本で、、一万円・・・。
木を植えてから、採取出来るようになるまでは、20〜30年。
そして、多くの場合、薬の為だけに伐られ、その場で剥かれ、あとの木材は、山にそのまま放置、破棄。
そんな現状を見て、ポニーの里さんでは、日本文化を守り、キハダ栽培に取り組む農家さんを増やしたい、との想いから、キハダプロジェクトと称して、
今まで使われずに廃棄していた、キハダの芯材を活用、生薬残渣の堆肥化、葉や実の活用、などの取り組みをされています。
黄色い部分は、染料としても使用、
芯材は、コースター、カトラリーなどの、木工製品に、
葉っぱは、お茶に、
実は、クラフトコーラに、と。
このワークショップでは、お土産に、キハダ茶を、作業中には、クラフトコーラを振る舞って下さりました。
暑い日だったのもあり、とっても美味しく、身体に染みわたりました。
沢山の学び、貴重な体験をさせて頂き、すごく楽しく、有意義な時間を過ごすことができました。
ありがとうございました。
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