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はじまり

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超短編。全5話 毒親・虐待サバイバーの半生記。
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#毒親

借り物のはじまり

退院後のある日主治医から 「突然お母さんから電話があったよ」 と言われた。 私が入院していることは言ってない。 私のパートナーから連絡がいったらしい。 パートナーは、一応「親」だから連絡をしたという。 しかし、先生の話を聞いて言葉がでなかった。 「私、母親です。娘はどうなんですか? どれくらい入院するんですか?重いんですか? 母親なんですから教えてください!」 それを主治医の口から聞き、私は唖然としてしまった。 しっかり日本の法律で「個人情報保護法」が 定められている時

怪物か人間か

「先生、私。本当に弱い人間なんですね。こういう病気になるって…」 遠くのどこかを見てため息交じりに 弱々しく吐いた。 すると、主治医はこう答えた。 「弱かったらここに来てないでしょう」 意外な答えだった。 この言葉は2院目の診療内科で言われたことだ。 あ、そうそう。 私の人生の中の23年で、 心療内科2院 精神科1院 ご厄介になっている。 「弱い人間なら、ここに来る前に死んでるよ。 よくここまで生きてこられました」 主治医はまっすにぐに私をみて言った。 私は言葉がでな

サンクチュアリ

サバイバーとして生き残った理由の一つ。 それは、私に「聖域」と呼べる居場所があったからだろう。 「仏壇」だ 先祖代々とか檀家とかそういうものではない。 一応、両親は宗教団体に属していたが活動なるものはしていなかった。 強制されたわけでないが、幼い私には心落ち着く唯一の場所だった。 神社・仏閣ではなく、家にある仏壇の曼陀羅に惹かれた。 墨で書かれた大小の文字が躍っているように私には見えた。 そこだけ空気が違うのだ。 人類に救いを求めることはできなかった。 血のつながった親