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音楽家紹介:「ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル」


ヘンデルってどんな人?


<ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685年-1759年)>

 ヘンデルはバロック時代(1600年~1750年)に活躍した音楽家だ。ふわふわの羊毛みたいな髪型のドイツ出身のすごい人。大柄で、大食い。当時はバッハよりも評判が高かった。

 有名な曲:「ハーレッルヤ! ハーレッルヤ!」『メサイア』
      「パ~ン パーカ パーン ↑ パーン ↓ 」『マカベウスのユダ』

<おすすめ動画:sealedseal ch ヘンデル名曲10選~>

個人的なおすすめ:5.合奏協奏曲 ニ短調 Op.6-10 第5楽章 「ガヴォット」
         9.調子の良い鍛冶屋
カヴォットは静かで穏やかな曲調が、調子の良い鍛冶屋は陽気で明るいテンポが心地いい。

ヘンデルの人生は面白い!


 ヘンデルは小説の主人公のように波乱万丈な人生を送っていた。その中でも、今回は幼少期~青年期にかけての面白いエピソードを3つ紹介したい。

1.父に隠れて鍵盤練習

 ヘンデルがまだ幼い子供時代の話だ。

 幼きヘンデルは夜な夜な屋根裏部屋に閉じこもっては、クラヴィーヤという鍵盤楽器の練習をしていた。なぜ夜中の、しかも屋根裏部屋で音楽の練習をしていたのかと言えば、彼が自分のこの行いを父には内緒にしたかったからだ。当時、ヘンデルは音楽の道に進むことを父親から反対されていた。彼の父親は息子ヘンデルを法律家にしたかったのだ。

 だから、ヘンデルはクラヴィーヤを自分で密かに入手したし、父に見つからぬよう隠れて練習することにしていた。夜が更けたころに一人こっそりと屋根裏部屋を訪れ、ヘンデルはクラヴィーヤの練習を頑張っていたのだ。

 しかし、ある日の夜中、ヘンデルのこの行いはあっさり父にバレてしまう。ヘンデルの音楽家としての人生は早くもピンチを迎えたのだ。もし、この時を最後にヘンデルが音楽の道を諦めていたのなら、偉大な音楽家ヘンデルは法律家として働いていたのかもしれない。

 そうならなかったのは、ひとえに強力な助っ人がいたからだ。当時、ヘンデルは地元の権力者であったヴァイセンセルフ公爵に気に入られており、公爵から大きな助力を受けることができたのだ。そういうこともあって、ヘンデルは無事、その後も音楽の勉強を続けられたというわけだ。

2.予想外のリューベック旅行

 ヘンデルが18歳のころの話。

 彼はドイツの自由都市ハンブルクを訪れていた。そこでヘンデルはヨハン・マッテゾンという男と友人になった。
 ある時、彼らは偉大な音楽家ブクステフーデが後継者を探しているという話を聞きつけた。

「おい、ヘンデル! 聞いたか!」
「友よ! もちろんだ! これは我らが行かねばなるまいな!」

 ヘンデルとマッテゾンの二人は意気揚々とブクステフーデが待つリューベックへと足を運んだ。しかし、そこで彼らは衝撃の事実を知ることになる。ブクステフーデの跡を継ぐには、ある条件を飲まなければならなかったのだ。

「私の跡を継ぎたくば、私の娘と結婚してもらう」
「ええ……。じゃあ、結構です…………」

 ヘンデルとマッテゾンは条件を聞いて、ブクステフーデの後任となることを諦めた。当時、彼の娘の年齢は30歳近くであり、若い彼らにとって結婚はハードルが高すぎたのだ。
 その後、二人はリューベックで演奏を成功させ、リューベックでの時間を存分に楽しんで帰ったという。

 ちなみに、2年後にバッハも同じ経験をしたらしい。

3.親友マッテゾンと決闘

 ヘンデルとマッテゾンによる決闘騒ぎは、マッテゾンが開催したオペラ『クレオパトラ』の上演中に起きた。

 オペラ終盤、マッテゾンはオーケストラの演奏に加わるためにヘンデルの元へとやってきた。予定では、ここでヘンデルとマッテゾンは交代し、マッテゾンが彼の代わりにチェンバロの演奏を行うはずだったのだ。

 ところが、ヘンデルがこれを拒否してしまう。すると、すぐに二人は言い争いを始めてしまった。さらに聴衆が二人を煽ったこともあって、二人は劇場の前で決闘することになってしまったのだ。

 決闘の詳細は不明だが、マッテゾンの剣がヘンデルの胸に突きたてられたとされている。しかし、そこで奇跡が起きた。なんとヘンデルが着用していたコートの金属製のボタンがマッテゾンの剣からヘンデルの身体を守り、マッテゾンの剣先を砕いたのだ。

 その後、劇場支配人たちの仲介もあって、二人は和解した。この事件をきっかけに二人の友情はより強固なものとなり、マッテゾンがヘンデルを夕食に招くほどに二人の仲は回復した。


<感想的なサムシング>

 歴史に名を残す偉大な音楽家も、決して順風満帆な生活ばかりではなく、親とのいざこざや知人友人とのケンカ話といった我々と何ら変わらない親しみのある人生経験も積んでいるのだ。

 今後も、音楽家たちの親しみあるエピソードに焦点を当ててお話しできればと思う。ただし、すべてという訳ではない点においては了承願いたい。

 ちなみに、ヘンデルはその後、「あれ? 自分、外交官なんですか?」といった就職を果たしたり、貴族オペラとの経営争いに苦心したりもする。興味があればぜひ一度調べてほしい。

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