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臨床推論 Case46

Eur J Case Rep Intern Med. 2021; 8(12): 003060.
PMID:35059345

【症例】
44歳 女性

【現病歴/現症】
⚫︎ 3ヶ月前から倦怠感あり 咳嗽や発熱などは認めず
⚫︎ 3日前から、びまん性の無痛性の紫斑、血腫、歯肉出血、鼻血のために受診された

⚫︎ 両側下葉優位にcracklesあり
⚫︎ 肝脾腫やリンパ節腫脹はない
⚫︎ PLT1000/μL  ESR30mm/hr  ACE168
⚫︎ LDHや肝酵素、自己抗体、ウイルス抗体は陰性

⚫︎ レントゲンは以下の通り両側肺門部リンパ節腫脹あり

⚫︎ PLT低下が重篤であり、出血症状もあるためIVIG+PSL1mg/kgで治療し3日後には10万を超えた
⚫︎ CTでは腋窩、肺門部、縦隔に対称性にリンパ節腫脹と一部石灰化あり
  肺野は小葉間隔壁肥厚、気管支壁肥厚あり


⚫︎ BALはリンパ球77%でCD4/CD8は1.88であった

What's your diagnosis ?









【診断】
サルコイドーシス+ITP

【経過】
⚫︎ ステロイドテーパリング中に縦隔鏡でリンパ節生検を施行したところ非乾酪性肉芽腫を認めた
⚫︎ サルコイドーシスとして少量MTX+ステロイドで維持できている

【考察】
⚫︎ サルコイドーシスは原因不明の慢性的な肉芽腫疾患である
⚫︎ CD4/8はmildに上昇する(<3.5)
⚫︎ ACEは75%で上昇するが特異度にかける

⚫︎ サルコイドーシスはリンパ球減少、貧血を呈しやすいが血小板低下はまれ
⚫︎ サルコイドーシスは血小板低値はよく見られ、ITPを合併しやすい
⚫︎ 機序は以下の通り
 ①脾腫
 ②骨髄浸潤
 ③免疫学的な破壊
⚫︎ 重篤な血小板低下は③が関与していると報告が多数あり
⚫︎ 今回の症例も他の血球減少なし、脾腫なし、スメア異常なし、よりITPが疑わしい
⚫︎ また免疫治療に反応性よかったのもそれを示唆する

⚫︎ 他にサルコイドーシスは免疫異常を合併しやすい(Joint Bone Spine 2021;88(6):105236.)

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