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臨床推論 Case60

Cureus. 2023 Dec 11;15(12):e50352.
PMID:38205472

【症例】
17歳男性

【主訴】
皮疹

【現病歴/現症】
⚫︎ 数ヶ月前からの激しい痛みを伴うニキビ、倦怠感で受診された
⚫︎ 顔、背部、胸部に瘢痕を伴う、潰瘍性丘疹性膿疱性ざ瘡を認めた
⚫︎ 来院前にイソトレチノイン40mg/日による治療を3ヶ月受けたが改善なし

What’s your diagnosis ?







【診断】
acne fulminans (AF) 劇症型ざ瘡

【経過】
⚫︎ プレドニン30mgを4日ごとにテーパリングする治療を開始した
⚫︎ 漸減に伴い、痛みを伴うざ瘡が再燃した
  漸減しては増量してを繰り返した
⚫︎ そのためステラーラを導入した
⚫︎ 0週 4週 12週ごとに90mg皮下注を実施したところPSL減量できた
  またイソトレチノインを増量していった
⚫︎ PSLは30mgから2週間ごとに漸減し、オフできた
⚫︎ 最終的にはステラーラとイソトレチノインも両方オフできた

【考察】
⚫︎ AFは発熱、関節痛、筋肉痛、倦怠感、肝脾腫、まれに溶骨性病変を伴う重症のざ瘡である
⚫︎ 出血性痂皮を伴う有痛性の結節性膿疱性ざ瘡を特徴とし、顔面、胸部、背部に後発する
⚫︎ 見た目によりうつ病になったり、症状により日常生活が著しく障害される

⚫︎ 好発年齢は13-22歳で長期間にわたるざ瘡の既往の患者に生じる
⚫︎ リスクはステロイドホルモン使用によるテストステロンの上昇、イソトレチノインの使用である
⚫︎ イソトレチノイン適応が広がり、これによる誘発の報告が増えてきている
⚫︎ 開始容量が多いのがリスクになる

⚫︎ ざ瘡はアクネ菌と関連しており、AFは炎症性ポルフィリンを産生するアクネが関連する
⚫︎ ざ瘡にはIL17が関連しており、IL23がTh17細胞を刺激してIL17産生を促して炎症反応を増強させる
⚫︎ この経路は乾癬、化膿性汗腺、アトピー、円形脱毛症などいくつかの皮膚疾患とも関連している
⚫︎ ステラーラはIL12/23を標的とするためざ瘡疾患にも使用が検討される

⚫︎ 治療はステロイド(0.5-1mg/kg)とイソトレチノインである

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