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臨床推論 Case126

Intern Med. 2020 Mar 1; 59(5): 711–714.
PMID:32115519

【症例】
65歳 男性

【既往歴】
高血圧症
腎硬化症 慢性腎障害  

【現病歴】
⚫︎ X-7年 Cr 1.90であった
⚫︎ X年1月 Cr 2.74まで上昇した 血圧はコントロール良好であった
⚫︎ X年8月 Cr 3.70まで悪化し入院となった
⚫︎ 診察で甲状腺腫大あり、圧痛はない 
⚫︎ IgG4 1550と高値のため精査のため当院に転院された

【現症】
⚫︎ ラボは以下の通りでIgG4高値、甲状腺機能は正常であった
  低補体や好酸球上昇はない


⚫︎ CTで顎下腺の軽度腫脹あり

⚫︎ IgG4関連疾患による甲状腺腫大、腎症、顎下腺炎が考えられた
⚫︎ しかし甲状腺の生検、口唇生検からはIgG4の特徴的な病理は得られず
  萎縮が強いため腎生検は実施できず、顎下腺の生検は拒否された

⚫︎ 進行性の貧血があり悪性腫瘍があるのではと考え、PET検査を施行したところ骨盤に集積あり

⚫︎ 免疫固定法でIgGκのM蛋白検出し、尿中BJP陽性、血清κ/λ227であった
⚫︎ マルクは異常形質細胞>20%であった

What’s your diagnosis ?











【診断】

IgG4産生型多発性骨髄腫


【考察】
⚫︎ MMとIgG4RDはプレゼンテーションが似うる
⚫︎ ともに塊病変をつくり腎障害を呈する

⚫︎ 158例のIgG型MMにおいてIgG4を分泌していたのは6例4%のみであった
⚫︎ 平均IgG4は2700mg/dLであった
⚫︎ ほとんどの症例は骨溶解、免疫電気泳動検査で診断がついている
⚫︎ 2例はリンパ節腫脹、膵頭部腫大ありIgG4RDっぽい臨床像であった

⚫︎ 今回貧血が進行していたがMMの影響も腎性貧血の影響もあるだろうからIgG4RDでもあり得た

⚫︎ 本例のようにIgG4高値だが病理からIgG4RDらしいものが得られなければ積極的に他の疾患を考える必要あり(Medicine (Baltimore) 94: e1707, 2015. )

⚫︎ 上記の通り膵癌、胆管癌は10%でIgG4>135となるため、そこに塊があれば積極的に生検を検討する


⚫︎ こちらサイトにIgG4関連疾患とκ/λ、M蛋白について解説されているhttps://rheumafuoild.hatenablog.com/entry/2024/01/13/232131

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