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Snap diagnosis* Case12

Brown Hospital Medicine. 2024;3(2).

【症例】
66歳 女性

【主訴】
手指の皮疹

【現病歴/現症】
■ 1週間前から両側の親指内側と人差し指外側に対称的に分布する有痛性の皮疹を認め救急外来を受診した. 全身症状, 既知の接触者との接触歴, 最近の外傷, 新しい薬剤の使用はなかった.

■ 身体所見:中心部が暗色を呈する境界明瞭な浮腫状の紫色の皮疹を認めた. 他の部位には皮膚所見なし.

■ 血液:WBC11,000/μL(好中球73.5%), CRP 1.99 mg/dL, 赤血球沈降速度42 mm/hr

■ 皮膚生検:グラム染色, グロコット メセナミン銀染色, 過ヨウ素酸シッフ染色, 抗酸菌染色が陰性. 病理では高密度の好中球浸潤が認められた.


What’s your diagnosis ?







【診断】
Neutrophilic dermatosis of the dorsal hand(NDDH)

【経過】
■ ステロイド投与で急速に改善したため, 手背限局のスウィート症候群(NDDH)の診断を裏付けるものとなった.

【考察】

■ スウィート症候群は, 急性発熱性好中球皮膚症とも呼ばれ,病理で高密度の無菌性好中球浸潤をきたす.

■ スウィート症候群は多数のサブタイプがあり, 膿疱性スウィート症候群, 壊死性スウィート症候群, NDDHなどがある.

■ NDDHは, 皮膚病変が手背に限局し, 典型的には親指と人差し指の間に出現する.鑑別診断は幅広く, 感染性, 腫瘍性, 自己免疫性の病因が含まれる.

■ 中心壊死および潰瘍は壊死性感染症と混同される可能性があるため, これにより不要な指切断につながるおそれがある. 他の好中球性皮膚症と同様に, スウィート症候群は25%でpathergyを示す. そのため, デブリードマンまたは切除を受けたNDDH患者は, 手術後に拡大する可能性がある.

■ NDDH患者の約78%は両側性疾患で発症する. 手掌側に病変が出現するのわずか4%である. 古典的なスウィート症候群と同様に, NDDHは全身性疾患と関連することがあり, 血液疾患が約14%, 固形腫瘍が約11%, リウマチ性疾患が約10%, 炎症性腸疾患は約3%に含まれる.

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