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臨床推論 Case135

Intern Med. 2018 Aug 1;57(15):2185-2188.
PMID: 29607969

【症例】
44歳 女性

【主訴】
嘔気 腹痛

【既往/治療歴】
コントロール不良2型DM
糖尿病性壊疽

【現病歴/現症】
■ 受診4日前より嘔気 心窩部痛を認めていた
■ WBC12100 CRP8.93mg/dL
■ CTでは胃の壁肥厚、GIFでは胃粘膜ヒダの肥厚と発赤を認めた

■ 胃の生検培養と壊疽の部位からブドウ球菌が検出された

What's your diagnosis ?








【診断】
胃蜂窩織炎

【経過】
■ CTRX開始後9日目には胃の粘膜は正常化した

【考察】
■ 胃蜂窩織炎の成因は3パターンあり
▫️ 粘膜損傷部位からの直接感染する
▫️ 血行性の感染または近接臓器の炎症が波及する
▫️ 特発性

■ 碓氷先生は臨床経過を急性・亜急性・慢性の3パターンにわけている
▫️ そのなかでも急性は悪寒戦慄・発熱・上腹部痛・悪心・嘔吐を呈し、心窩部痛と炎症反応上昇を呈し急性腹症に分類される
▫️ 慢性型は軽い発熱や上腹部痛・食欲不振などを呈し、上腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知することもあり胃癌との鑑別が困難な場合が多い

■ リスク:加齢・暴飲暴食・アルコール・低栄養・過労・薬(PPI)など
■ 起炎菌:70%連鎖球菌 次にブドウ球菌 他に大腸菌など腸内細菌である
  報告によってはカンジダなどもある
■ CTで全周性びまん性壁肥厚所見を認め、急激な臨床経過や高度の炎症所見を伴った場合に疑われる

内視鏡後の胃蜂窩織炎の症例:日消誌 2008;105:1034-1043

■ 内視鏡で生検すると膿汁が流出するのも特徴的である
■ 超音波内視鏡で内部に低エコー領域、つまり膿瘍形成を伴う第3層の肥厚所見を認める

■ 1983年の報告ではあるが治療法の治癒率は以下の通り
  内科的治療50% 試験開腹38.5% 胃切除94% 切開排膿70%
■ 近年の報告では内科での治癒率は67%で、亡くなっているのは基礎疾患が関連している場合がほとんどである

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