臨床推論 Case139
JAMA Oncol. 2019 Jul 1;5(7):1055-1056.
PMID: 30869736
【症例】
30歳 女性
【主訴】
皮疹
【現病歴】
■ 疣贅状の色素沈着したプラークが、腋窩、肛門、鼠径部、両掌に左右対称に分布し、わずかなかゆみを伴っている
■ 疣状皮疹は結膜、口唇、歯肉にも認めていた
■ 3ヵ月間で6kgの体重減少あり
■ 最近1ヵ月は食欲不振と腹部不快感を認めている
【現症】
■ ラボ:CA19-9 CA125 CEAの上昇あり
■ 皮疹の生検:過角化を伴う乳頭状構造を認めた
■ 内視鏡で粘膜下腫瘤を認め、生検で印環細胞癌の診断となった
What's your diagnosis ?
【診断】
悪性黒色表皮種 malignant acanthosis nigricans
【経過】
■ CT:胃壁肥厚と多発転移を疑う病変を認めた
■ 胸腺と膵臓の生検の結果、胃癌の転移を認めた
■ その後化学療法を受けるために転院したが、癌の進行により4ヵ月後に永眠された
【考察】
■ 黒色表皮腫(AN)は、ほとんどの症例は良性で肥満とインスリン抵抗性のある患者に認める
■ そのためANをみたら血糖測定およびA1cをチェックする
■ 良性のタイプは腋窩、頸部、鼠径部、臍部など皮膚の間擦部に生じる
■ ビロード状から疣状の色素沈着斑を呈する反応性皮膚パターンである
■ 悪性黒色表皮腫は口腔、結膜、手掌など良性のタイプでは出現しないところに認める
■ またレザートレラsignなど他の悪性腫瘍を示す皮膚所見と併発することがある
■ 皮膚病理では良性と悪性の区別はできない
■ 悪性ANは消化管の癌、特に胃癌に認めることが多く次いで肺癌、肝細胞癌、食道癌、卵巣癌などにも認める
■ 発症は40-70歳に多い
■ 治療は原疾患に対するコントロールである
■ 原病が抑えれたら改善した報告あり
■ ただし進行した癌で生じることが多く、予後は基本的には悪い
■ 皮疹も初期段階ではただの湿疹と間違われることがあり発見が遅れてしまう
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