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COVID19による昏睡 (アブストのみ)

Neurology. 2022 Jan 18;98(3):e315-e325.
PMID: 34862317

【背景】
■ 重症COVID-19患者において, 意識障害(DoC)が深刻な合併症である.
■ COVID-DoCの予後と病態生理は不明であり, 延命治療を継続するかどうかの判断が難しい.
■ 我々は, COVID-DoCの自然経過を記述し, それに関連する脳機能を調査した.

【方法】
■ 前向き縦断研究で, COVID-19患者で鎮静薬や脳の構造障害では説明できないDoCを有する重症成人患者のうち, 脳MRIを予定している患者を登録した.
■ 安静時fMRIと拡散MRIを行い, 健常対照群と重症外傷性脳損傷(TBI)によるDoC患者の機能的・構造的ネットワークと比較した. 退院時, 退院後3ヶ月, 6ヶ月の意識回復(指示動作)と機能的転帰(Glasgow Outcome Scale Extended: GOSE, Disability Rating Scale: DRS)を評価した.

【結果】
■ COVID-19患者1,105名をスクリーニングし, COVID-DoCの12名を登録した.
■ 年齢中央値は63.5歳(55-76.3歳).
■ 登録直後に死亡した1名を除外すると, 残りの11名全員が鎮静剤中止後0-25日(中央値7日, 5-14.5日)で意識レベルが回復した.
■ 退院時, 生存患者全員が介助を要した:GOSE中央値3(1-3), DRS中央値23(16-30).
■ しかし最終的には, 重度の多発ニューロパチーの2名を除き, 全員が正常認知機能と最小限の障害で自宅に戻ることができた.
■ 3ヶ月時点でGOSE中央値3(3-3), DRS中央値7(5-13);6ヶ月時点でGOSE中央値4(4-5), DRS中央値3(3-5).
■ COVID-DoC患者の機能的・構造的脳ネットワークは健常対照群と比較して低下しており, 構造ネットワークは重症TBI患者と同等だった.

【考察】
■ 
COVID-DoCから生存した患者は全員意識を回復した.
■ 退院直後は障害が多かったが, 数ヶ月間には改善した.
■ 今後の研究が必要だが, これらの前向き研究の結果はCOVID-DoCの予後と病態生理に関する情報をしている.


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