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臨床推論 Case178

AIM Clinical Cases. 2024;3:e231027.

【症例】
37歳 健康な女性

【主訴】
指の痛み

【現病歴】
■ 2日前から左示指に突然発症した激痛を伴う腫れと発赤を主訴に救急外来を受診した. 外傷歴なし.

【現症】
■ 診察では, 末節骨を中心に腫脹が見られた.

■ DIPに著明な圧痛を認めた. 波動は触れない.
■ 赤沈40mm/hrと上昇しており, その他は正常であった.

■ Xpは以下の通り.

What’s your diagnosis ?






【診断】
石灰沈着性腱炎

【経過】
■ Xpから深指屈筋の石灰沈着性腱炎が疑われた.
■ シーネ固定し, NSAIDsを開始した. 2週間後のフォローで改善していた.

【考察】
■ 石灰沈着性腱炎は, 関節周囲の腱や靱帯にリン酸カルシウムが沈着する疾患である.
■ 手では稀であり, 肩, 膝, 股関節に多くみられる. 手では, 中手指節関節と母指に多く見られる. 典型的な症状は, 罹患関節周囲の突然の疼痛と腫脹である.

■ ほとんどの症例は保存的治療のみで軽快する.
■ 再発する場合にのみ, まれに手術が必要となる.

■ 指に発症した場合, 不必要な抗生物質投与や手術を避けるために, 瘭疽, 屈筋腱滑膜炎, 化膿性関節炎, 裂離骨折と急性石灰沈着性腱炎を見分けることが重要である.

■ 明らかな侵入門戸や波動などの所見がないこと, 外傷の既往などきちんと問診と診察することは正しい診断に至るために重要である.

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