臨床推論 Case140
Front. Med. 11:1329381.
【症例】
67歳 男性
【主訴】
発熱 咳嗽 労作時呼吸苦
【既往/治療歴】
なし
【現病歴】
■ 5日間続く、熱、咳、呼吸苦のため受診された
■ 痰を伴う咳で、痰は若干粘っこい
■ 喫煙歴や結核暴露歴はない
【現症】
■ バイタル:体温39.6℃ 脈拍79回/分 呼吸数21回/分 血圧150/84mmHg
■ 診察:両側にcoarse cracklesあり
■ ラボ:WBC14290 (neut88%) CRP8.14 βDは正常範囲内
■ CT:多発する結節影、浸潤影を認めた
【経過】
■ 市中肺炎としてスルペラゾンを開始した
■ 治療3日経っても改善なく、喀痰・血液培養は有意な菌は検出されず
■ 入院4日目にCTを再検したところ空洞病変を多数認めた
■ 入院4日目に気管支鏡検査を実施し、mNGSを実施し結果は以下の通り
What's your diagnosis ?
【診断】
レジオネラ肺炎
【経過】
■ モキシフロキサシン投与を開始したところ3日後に解熱し、咳の症状も改善した
■ 2週間後のCT検査で空洞病変は小さくなっていた
【考察】
■ 以下の条件で文献検索を施行し14例を解析した
■ 14例中8例で空洞病変or膿瘍をていした
▫️8例中7例は免疫抑制因子あり
▫️4例亡くなっており、うち3例は生前にレジオネラを特定できず
■ 免疫正常患者はレジオネラ菌の除去効率が高く、そのため膿瘍や空洞病変を作りにくいのかもしれない
■ 本例では免疫不全になるような背景疾患は認めなかった
■ レジオネラを免疫細胞がキャッチすると強い応答が起き、それによって肺が損傷し、空洞ができたのかもしれない
■ レジオネラの治療はレボフロキサシンとモキシフロキサシンの治療効果は同等である
■ レジオネラの治療期間は症状や個々の要因によって異なるが2週間で十分とされている
■ しかし重症例、免疫不全、初期治療失敗例4-6週がよいよされている
■ 空洞病変の治療は不明確であるがマクロライド系もキノロン系も空洞に対する治療は問題ない
■ レジオネラの空洞病変の治療は空洞が消失するまで最低4週間は実施した方がよいという報告もある
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