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非人間化とはなにか?

人間はしばしば他の人間を人間として見なさなくなることがある。このような心理状態では様々な悲劇が引き起こされるが、今回取り上げる論文は、この非人間化についての総説論文。

Dehumanization and infrahumanization

非人間化と非人間化

この論文の要点をまとめると以下の通り。

・非人間化にはいくつかのパターンがある。
・大きく分ければ、人間として扱わない非人間化(Dehumanization)  と、十分な意味では人間ではないとして扱う非人間化(infrahumanization:劣位の人間として扱うもの)がある。
・また人間として扱わない非人間化においても、動物のように扱うものと心を持たない機械のように扱うものの2つがある。
・相手を人間として見なさない時には、脳の中でも社会的認知に関わる領域の活動が低下する。
・非人間化が起こりやすい性格としては、生理的嫌悪感を感じやすい人、自己愛性が高い人、サイコパス傾向がある人、自閉症傾向が高い人、選民的意識のある人など。
・非人間化が引き起こされやすい状況としては、対象が嫌悪感を引き起こすこと、対象に脅威を感じること、権力格差があること、生存が脅かされること、など。
・非人間化によって引き起こされるのは、社会性の低下、反社会的行動の増加、道徳的判断能力の低下、など。
・非人間化を克服する方法としては、グループ間の交流と、より上位の概念(ヨーロッパ人、アジア人、中流階級、など)を意識すること。

Q: 道徳性の低下を示す尺度を知りたい。

Moral disengagement
道徳的離脱

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