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なぜ私達はハイブランド品を買ってしまうのか?

買い物の動機は人それぞれである。何が原因で買っているのかを読み解くのはフロイトの精神分析並みに労力を要する課題だと思うが、ハイブランド品については比較的信頼性の高いエビデンスが一つある。

これは、社会的地位が低いと感じる人は地位財にお金を出しやすくなるというものである。

地位財というのは、不動産や衣服、宝飾品など、実際の生活には直接役立たないが、自分の地位を誇示するうえで役立つような財である。またこれと対象的に、非地位財というのは、健康や人間関係などを指す。

ある研究では、白人に黒人の視点を取らせることで、地位財に対する財布の紐のゆるさがどのように変わるかを調べている。すると、黒人の視点を取ることで地位財にお金を出したい気持ちが高まることが示されている。

また白人の清掃業者の視点を取らすことでも地位財にお金を出しやすくなることも示されている(脳外科医の視点との比較で)。

このように自分の地位を低いと感じることで、ヒトはどうも地位財に対してお金を出しやすいようである。地位財自体に良い悪いはないが、これにコストを掛けすぎて、非地位財がないがしろになるのは、人生のポートフォリオ的にあまり好ましくはない。うまい塩梅で、人生の終わりまでたどり着きたいものである。

【参考文献】

Mazzocco, P. J., Rucker, D. D., Galinsky, A. D., & Anderson, E. T. (2012). Direct and vicarious conspicuous consumption: Identification with low-status groups increases the desire for high-status goods. Journal of Consumer Psychology, 22(4), 520-528.

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