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昇進ストレスと所属欲求

世の中には偉くなることがストレスになる人がいるという。いわゆる昇進ストレスと呼ばれるものだが、これは心理学的にはどのように考えられるのだろうか。

私達には所属欲求と言われるものがあり、本能的に集団とつながりたいと思い願う傾向がある。またこれが満たされないと、睡眠不足で体調を崩すように、心身の不調を生じることも分かっている。

しかし、この所属欲求には個人差があり、ひょうひょうとして一人でもさほどストレスにならない人もいれば、どこかに所属していないとウサギのように体調を崩してしまう人もいる。

興味深いことに、所属欲求が強い人というのは、権力を手に入れるとかえって従順性が増すという。そして、その背後には高い評価を受けることで集団から排除される恐怖があるのではないかと考えられている。


無論、所属欲求だけで昇進ストレスを説明できるわけではない。しかし、世の中には権力を手に入れても、それを行使することに不安や恐怖を感じる人がいるようだ。

このようなケースを考えると、軍人社会で見られる絶対的な上下関係があったほうが、かえって楽な場面もあるのかなと思うのだが、どうなのだろう。


【参考文献】
Rios, K., Fast, N. J., & Gruenfeld, D. H. (2015). Feeling high but playing low: Power, need to belong, and submissive behavior. Personality and Social Psychology Bulletin, 41(8), 1135-1146.

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