所属欲求と被差別感情の関係とは?
人間何処かに所属したいという欲求がある。これは心理学で所属欲求と言われ、食欲や性欲と同じくらい、人間の生存にとって大事なものだとも考えられている。
しかし、この欲望にも個人差がある。生まれつき所属欲求が強い人もいれば、スナフキンのように一人でもさほど苦にならない人もいる。
またこの欲求は置かれた状況によっても変化する。あまりに孤独を感じるような状況では必然的に何処かに所属したいという気持ちが強くなる。異国で暮らしたことがある人なら、愛国心や宗教心が強くなった経験がある人も多いのではないだろうか。
興味深いことに、所属欲求が強い人は、集団としての被差別感覚が強いことがわかっている。ある集団への所属感が強ければ強いほど、「我々は不当に扱われている」と感じる程度が高くなるというのだ。
例えばある研究では、所属欲求の高低が、集団としての差別感情(自分が所属する集団が差別されている)と、集団内での差別感情(集団の中で差別されているという感覚)にどのような影響を与えているかを調べている。すると、所属欲求が高いほど、集団としての差別感情が高くなることが示された。
つまり、所属欲求が強い人は、集団内では平等に扱われていると感じるが、自分が所属する集団は差別されている感じる傾向が強くなる。
また所属欲求とは別に、スティグマ感情(自分は社会的にネガティブな印象を抱かれているという感覚)が高いと、集団としての被差別感覚も強くなることが示されている。
ここまで書いて、話の落とし所がどうも分からない。
差別されている、誤解されている、と感じることは誰にでもあることである。しかし、それは個人として差別されているのか、あるいは所属する集団が差別されているのか、そもそもあなたは自分を何者と捉えているのか、「わたし」とは一体何なのか、とどうも問題の焦点が拡散してしまう。
もう少し、追って考えてみたい。
【参考文献】
Carvallo, M., & Pelham, B. W. (2006). When fiends become friends: The need to belong and perceptions of personal and group discrimination. Journal of Personality and Social Psychology, 90(1), 94.
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