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推しの子

鮮やかなタイトル回収

まずは物語序盤のあらすじをご紹介。

地方の産婦人科医師・ゴローはアイドルグループ「B小町」の絶対的センター・星野アイの大ファン。患者の病室でライブDVDを流すほどの筋金入りのオタクで(曰く「美しいものを見ると健康に良い」から)、充実した日々を過ごしていました。

そんなある日の診察で彼に衝撃が走ります。なんと「病気療養中」のはずのアイが双子を身ごもった妊婦として目の前に現れたのです。最初こそショックを受け、葛藤しますが、アイの「母としての幸せ、アイドルとしての幸せ」両方を絶対に掴むという思い、そして「子どもは公表しない=愛を持ってファンに嘘をつき続ける」という覚悟を受け、全力で彼女をサポートすることを誓います。

経過は良好、いよいよ出産予定日を迎えますが、ここで事件が。門外不出のトップシークレット「アイの妊娠」を知る“フードの人物”に突如夜道で襲われ、崖から転落。朦朧とした意識の中、ゴローはアイの出産の成功を願いながらまぶたを閉じていきます……。

――次に暗闇から目を覚ました瞬間。目の前に広がるのは病室の風景。全身に感じるのは自分を抱きかかえた母の温もり。

ゴローはアイの子どもとして産声を上げていたのでした

タイトル「推しの子」とは、単に「自分が推している子(アイドル)の物語」という意味だけではありません。「“推しの子に転生した”物語」という意味でもあるのです。

もうひとりの転生者

かくしてアイの息子・星野愛久愛海(ほしのアクアマリン 通称:アクア)として生きることとなったゴロー。転生の事実に混乱しながらも、徐々に推しの成長を間近で見られる&愛を注いでもらえる生活になじみ始め、息子という新たな形で彼女の人生を支えていくことを決意します。

同じく推しの赤ちゃんライフを満喫する者がもうひとり。アクアの双子の妹・星野瑠美衣(ほしのルビー)です。彼女も転生者であり、その正体はゴローが勤務していた病院の入院患者だった少女「さりな」でした。

難病を患っていたさりなは学校に行くことも満足に運動することもできず、寝たきりに近い生活を送っていました。その心の拠りどころとなっていたのがアイであり、その熱狂ぶりこそがゴローをアイの“沼”に導いたのです。アイトークに花を咲かせ、仲良しだったふたりでしたが、ゴローより先にさりなはわずか12歳で息を引き取っていました。

前の人生で面識のあるふたりですが、過去を詮索しないようにしたため、お互い同じ転生者だということは分かっても正体に気づきません。あくまで「熱烈なアイファン」として、ふたりでアイを支えよう、応援しようと活動(赤ん坊なのでできることは限られる中)していきます。

そんなことはつゆ知らず、アイは子持ちを隠しながら芸能活動を再開。子どもたちに存分に愛を注ぎ、また逆に愛されたことで表現に一段と磨きがかかり、いよいよトップアイドルと呼ぶにふさわしい、めざましい躍進を遂げていきます。

続きが気になる方はみてください

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