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fin.

控えめに生きてきました
質素な暮らしとささやかな贅沢を持って

窓から見えるピンクの洗濯バサミが
風と揺れる様を見るのは この上ない幸せでした

道を歩くときはいつだって端を歩きました
黒き小さな働き者にも注意を払って

太陽が照る日にはそっと息をするよう努めました
その分濃くなるあらゆる影に身を潜めて

そして今ようやく 深い安堵とともに
ステージに立ちます
一生分の光を浴び 重厚な音楽とともに

肉体がうねりを上げて最後のダンスを踊るのです

やがてエンディングを迎えます
光が闇に溶けてゆくにつれ
私は砂となり やがては鳥の人となって
風に乗るのでしょう

闇から生まれ 闇に帰るように

inspiration of
#HayaoMiyazaki

p/s
私には何かを訴えるほどの知識も、考えを巡らせ続ける忍耐も持ち合わせていないかもしれません。

ただ、だらしなく流れたままのSNSが伝える映像や、見えない蜘蛛の糸から伝わるあまりに多すぎる言葉が、目を瞑っても耳を塞いでも体内へ流れてくるような感覚に襲われます。
目の前の日常と遠く想像しきれない場所で起こっていることのGAPに、心が追いつかないのです。

先日、駿さんの『風の谷のナウシカ』を読み直した後にナウシカの「人間は闇から生まれ闇に帰るのだ」と言うセリフが非常に心に残ったので、そこから派生して浮かんだ様々なことを書いたものです。

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「この詩が何かを意味しているか」と問われたら
「虚無かもしれない」と答えるでしょうか。
脳裏にある映像を言葉に変換しただけのこと。
でもこうして言葉にしてみると、何かが生まれる音がする。

引っ張れば引っ張るだけ芋が土から出てくるように
喉の奥に痞えているものを取ってしまえれば楽なのだろうかー