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自我

私はことのほか自我が強い。これまでしてきた事を振り返ると、よく分かる。


負けるのが嫌いだし、人の事は気になり欲張りだし、認めて欲しい気持ちは強い。思いやって譲る事もあまりないし、できるだけ損をしないように考える。

でもそうすればするほど得は遠のき、かえって自分が傷ついてきたように思う。


そして自我は何もできない、と聞いた時にやっぱりな、と思った。私が何かをしようと強く思うと、必ず失敗したからだ。


弓をやっていた時、段を取ろうと頑張ると下手になったなと先生にがっかりされ、勿論審査にも落ちた。

射は小さくなり、本来の豪快で伸びやかな弓は消えてしまうのだった。

多分欲の塊になった私は、このままではいけないと頭で考えた理想の弓を追いかけ、内に持っている力を殺していた。

何も考えず、自分に任せて自由にさせるだけでよかったのに。


お楽しみの試合で夢中で弓をひき、誰もできなかった小さな的を当てた時も、誰かの意地悪い言葉に腹を立てた勢いでただ引いて、何時間も当たり続けたことも、我を忘れたからできたことだった。


自分を否定し、何とかしようと外に求めて、自我が大きくなってしまった私。


ありのままの姿でいられないほど、未消化の感情がマイナスのエネルギーとして溜まったままでいた自分が、そんな状態でも生きてこられたことが、また驚異でもあるのだ。

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