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90日間、的に向かって手を伸ばし続けた結果

90日間。

月に直すと3ヶ月ですが、何かに取り組むと決めてから、集中して挑戦するのに適した期間であると、誰かが言っていました(物事が習慣化するまでの期間で、かつ間延びしない期間だったような)。

掲題にもある通り、私には2024年9月30日までの90日間、ただひたすらに練習していたことがあります。

それは、ダーツです。

きっかけ

7月上旬、何気なく友人と入ったダーツバーにて。

その日は的がいつもより大きく見える感覚を持っていまして、3投すれば2投はBULL(ダーツの真ん中のところ)に入るという、とても奇妙な体験をしたことがきっかけです。

ダーツ歴は学生の頃に遊びで投げたことがあるくらいの、マイダーツも持っていないズブの素人がです。

その日を境に、私は「これ、本気で練習したらプロになれるんじゃないか?」という勘違いをしてしまったのです(どうすればプロになれるかは、この時点でよく分かっていませんでしたが)。

その足でマイダーツ一式とDARTSLIVEカードを買いに行き、友人と共に90日間のダーツ漬けの日々が幕を開けたのです。

マイダーツ一式とDARTSLIVEカード

目標

プロになるには試験を突破する必要があります。

特に実技試験は、数ヶ月に1度ふらっとダーツバーで投げている頻度では到底合格できないほど、難度の高い技術が求められると知りました。

正直なところ、情報収集の時点で少し熱は冷めてしまったのですが、折角購入したマイダーツとDARTSLIVEカードが勿体無かったので、とりあえず90日間でどこまで上達できるかを検証することにしました。

まずは現在地把握の意味で、近場のインターネットカフェで購入したマイダーツを投げてみることに。

すると、先日とは打って変わって、BULLをはじめ全く狙ったところに投げられないのです。


余談ですが、DARTSLIVEカードには専用のアプリがありまして、自分の成績やレーティングを確認することができます。

記念すべき初回に記録したレーティングは……!


3.00(スタッツは01ゲームが45.00、クリケットが1.50)


レーティング3という数値がどれほどのレベルなのかを少し解説しますと、一言で言えば「めちゃくちゃ普通」です。

DARTSLIVE公式に掲載中のレーティング人口の分布(2020年8月~2021年8月のデータより算出)

私はDARTSLIVEという機種を主に利用するのですが、DARTSLIVEにはプレイヤーのレベルを表す『レーティング』という数値と定義が存在します。

レーティングは1から18まであり、スタッツ(01ゲーム、クリケットでの平均点数または平均本数)を元にプレイヤーの実力が数値化されたもので、ダーツの実力が上がるにつれて数字が大きくなっていきます。

レーティング3が割合としては一番多く、全体の18.9%を占め、レーティング3を境にレーティングが上がるごとに割合は減っていきます。

DARTSLIVE公式に掲載中のレーティング人口の分布(2020年8月~2021年8月のデータより算出)

DARTLIVE公式にも記載がありましたが、レーティング16(SAフライト)以上は合計でも全体の1%に満たず、わずか0.7%と希少性の高さが伺えます。

ちなみに日本ソフトダーツのプロ団体である『SOFT DARTS PROFESSIONAL TOUR JAPAN』には、SAフライトの中でもレーティング17もしくは18のプレイヤーがゴロゴロいました(年間ランキングを見て愕然としました)。


ご多分に洩れず私も3だったわけですが、実技試験の内容やスタッツを鑑みると、90日間でSAフライトは流石に現実的ではないと考えました。

ひとまずは90日間で、SAフライト入りのレーティング16から数えて半分に位置するBBフライトのレーティング8を目指すことにしました。

何をしたか

基本的には『質より量』の戦略を取り、具体的に下記を行いました。

  1. 月の半分(30日のうち15日)は練習する

  2. 技術と負けん気を高められるライバルを作る

  3. その日の練習で意図した点をメモする

月の半分(30日のうち15日)は練習する

普段はサラリーマンとして企業に勤め、退勤後はダーツバーやインターネットカフェに直行する日々(もちろん土日も練習です)。

DARTSLIVEアプリ内の記録(白い点が付いている日付が練習した日です)

友人や同僚から「よくそんなに練習できるね……」と驚かれましたが、私個人としては「大量に練習するぞ!!!」と意気込んで投げていた感覚はありませんでした。

と言うのも、90日間チャレンジ開始当初のレーティング3は伸びしろでしかなく、練習をすればするほど上達する実感が得られていたことが大きな理由だと思います。


90日間、自分がどれくらい練習したのかを数値化してみました。

  • 備品代を含むダーツの練習に投資した額は、90日間で約10万円

  • 90日間で約1,000〜1,500ゲームをこなす(推定です)

  • 90日間で約15,000回〜20,000回はダーツを投げる(推定です)

  • オンライン対戦で延べ約500人〜600人のプレイヤーと戦う(推定です)

こうして数値化すると、我ながら量はこなした感があります。

言行一致、我が90日間に一片の悔いなし。

技術と負けん気を高められるライバルを作る

90日間、練習を共にした友人(以降Kさんと言います)がいました。

Kさんとは職場が同じ、ダーツ歴も開始当初のレーティングも私とほとんど変わらず、目標や進捗を共有し合える最高のライバル。

職場近くのダーツバーをメインショップとし、少なくともKさんとは90日間で229ゲームを戦い、01ゲームとクリケット通じて93勝136敗(勝率40.6%)の戦績を残しました。

90日間を振り返るとKさんの方が成長が著しく、あらゆる面で数値化されることもあって非常に悔しい思いもしました。

しかし、Kさんに追いつけ追い越せでひたすらに手を伸ばし続けた記憶が思い出され、彼の存在なくしては途中で諦めていたようにも考えられます。

ライバルでありながら、アマチュアの大会にダブルスのペアとして出場予定のパートナーでもあるので、今後とも目標に向かって勝利にこだわれる関係でいたいものです。

その日の練習で意図した点をメモする

瞬間最大風速で駆け抜けるために、量に比重を置きつつも意図を持った練習を行うことだけは意識しました。

ひとつ工夫を紹介するならば、その日の練習で意図した点をDARTSLIVEアプリにメモすることです。

DARTSLIVEアプリ内のメモ機能の様子

ダーツを投げることだけが練習ではないと考えており、主にYouTubeを通してプロのフォームや考え方を学んでいました。

ダーツとは極論、狙ったところに正確に投げ続けられたら勝てる再現性のゲーム(またはスポーツ)であり、SAフライト以上のプレイヤーは言わば再現性のプロであると言えます。

インプットしたことをアウトプットする作業を繰り返すことこそが上達の近道であると考え、再現性を高めるための意図を箇条書きでメモするまでが、私なりの練習でした。

振り返ると、今日上手くいったことが翌日しっくりこなかったり(その逆も然り)と、その軌跡を追いながら分析することが意外と楽しく、自分の新たな一面を見られた気もします。

結果

さて、90日間チャレンジを経て、自分のダーツの実力(レーティング)はどれくらい上がったのでしょうか……!


7.33(スタッツは01ゲームが65.39、クリケットが2.41)

90日間チャレンジ前と比較してレーティングは4上昇し、Bフライトに突入しました。

01ゲームではBULLは8割くらいの確率でBULLに入れられるようになり、クリケットでは毎ラウンド2マークは入れつつ、3ラウンドに1回くらいは5マークを出せるようになりました(所感ではありますが)。

一時はレーティング8を超えましたが、調子の波による上がり下がりで、最終的にレーティング7で着地です。


また、ダーツバーの店員さんや常連さんとハンデなしで対戦できるようにもなり、思わぬ副産物として交友関係を享受できました。

先ほど「アマチュアの大会にダブルスのペアとして出場予定」という話をしましたが、これもダーツバーの店員さんからの招待で実現したものです。

「そこそこ打てる(ダーツは”打つ”とも言うんです)人がいる」と自分の存在や名前が広がっていくことは光栄で嬉しいことですね。

気付き

思えばずっと何者かになりたくて、何かのプロになりたくてあれこれ悩んでいたことがありました。

前提として、この90日間チャレンジは、かけたお金や時間以上に幸福感が高い日々であったことは間違いなく、自分の勘違いから始まった挑戦ではありましたが、改めて「何でも良いから、何かに思いっきり打ち込むことは素晴らしいし、青春である」と再認識しました。

ダーツに限った話ではなく、夢を追う人はみんな夢に向かって手を伸ばし続けていますし、私の人生も夢を掴もうと最後まで足掻き続けられたら良いと、強く思うのです。

技術的なことはさることながら、心理的に得られたことも中々大きかったことは大きな気付きだと言えます。


90日間チャレンジの集大成として、アマチュアの大会にKさんと参戦して優勝することを現在の最終目標に据えています(結果については追記します)。

90日間で自分の実力が変化したので、今置かれた状況を俯瞰し、自分に起こせる最大瞬間風速を維持しながら、自分のペースでダーツライフひいては人生を楽しんでいきたいですね。


最後に。

約15,000回〜20,000回ダーツを投げると、腕よりも軸足の母指球の方が痛くなります(むしろコツさえ掴むと腕は痛くなりません)。

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