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いざ!飛込み受診

 月が代わり、3月1日月曜日に母とハートセンターのある日本初の社会医療法人である近森会近森病院に行く。一般外来受診窓口と思い込み、ER救急車受け入れ口が見える方の再診窓口に間違えて行き
受付の綺麗な女性から
「初診なりますので、初診料が必要になります。本館の総合受付で受診手続きをして頂きまして、本館内での診察になります。かかりつけ医には当院から病歴等を問い合わせても差し支えありませんか?」
と言うサービス満点な案内を受け、かかりつけ医への病歴等問い合わせに同意して本館受付窓口に行く。
 
 2月半ばの紹介状病院の2年後受診について初回2年後受診手続きの説明が全くなく、普通に赤十字病院に行けば良いと母が判断してしまう言葉を言っていなければ、普通は2年後再診に直接は行かない。すったもんだして再度かかりつけ医の紹介状が必要だから帰れ。と居丈高に言われたので患者に判るように説明していないそちらの落ち度は皆無ですか?と指定して初診料を支払い受診した、紹介状書き忘れのかかりつけ医も悪いのだけれど…
同じ高次機能病院でも、病院が違えば、こうも違うのか?仰天する典型的落差。
 当たり前の事をなかなか出来ない病院が多いのに、当たり前に出来ているからこの病院の入院期間中も居心地が良かったのは、経営方針に伴うサービスを高齢者である母にも分かりやすく伝えるだけではなく、患者を門前払いせず、患者のかかりつけ医に紹介状の問い合わせをしてくれる等の気配りがそこかしこにあるからだ。

 再度本館受付で手続きして、かかりつけ医に照会中でロビー待合室で待っていると、「かかりつけ医が一度かかりつけ医クリックに戻って来て欲しいと言っている」と病院スタッフから聞いた途端
『[嫌です!]』
ハモるつもりはなかったけれど、母と2人でハモるかかりつけ医への生理的拒否反応。
 多分制服から推察して医療事務の方があまりに驚いていたので
『[・心臓弁膜症の疑いがありながら、患者に告知する事無く
・2月10日の健康診断の日に突然「心臓弁膜症です」と告知を受け、青天の霹靂だった事
・紹介状先の病院では心臓弁膜症の治療が出来ないのに紹介状を書いて受診強要し続けた事
・紹介状先病院で診察受けてもハートセンターある病院でしか進行した母の現在の治療は出来ないというのに紹介状を書いてくれなかった事
・紹介状先病院医師は聴診器は持っていたけれど心音すら確認しなかった事
・紹介状先病院医師に「心臓発作何度も起こして1年後にはトイレ行くのにも這いながら行けば良い」と言われた事
・患者自身に自らの命の選択や、家族による話し合い等端から除外しているかかりつけ医師&紹介状医師である事
・かかりつけ医の言う通り、かかりつけ医クリックに行けば、おそらく二度とこちらのハートセンター受診不可能にされるであろう人柄なので戻る事は嫌である事
・セカンドオピニオンを受けて診ないか?という話は、かかりつけ医から一切出ていない事
・家族の総意で、治療する気のない病院や医師に頼っても無駄なので、県下1位の症例件数をこなしているので、一番信頼できるハートセンターで、きちんと実績がある専門医に診てもらう方が良いと思うという結論に達した事
・総合的に鑑みて、かかりつけ医クリックに行く事は嫌である]』
母『かかりつけ医の顔を見るのも嫌!』
という経緯と主旨を伝え
大変申し訳なかったけれど、医療情報提供手続きをしていただける事になり、母と2人心底安堵出来た。

 飛込み受診だったので、ER医師が急患の合間に診てくれるのと、病院間の医療情報提供ならばかかりつけ医も仕事が遅い医師と思われる事はプライドが許さないだろうから、患者の多さのわりには、想定外に早く受診出来た。
 「月曜日は混むので大変お待たせしました
今日はどうされましたか?」と濃紺のスクラブ(白衣羽織っていたかは覚えてごめんなさいいない)を来た若手に見えるERのA医師
父の付き添いで散々予約時間帯迄に検査内容が主治医の手元に届いていても、1時間超え等普通だったので、早いと感じたけれど、そのほんの一言の気配りが心に染み入り患者自身にも、付き添い家族にも有り難くて心底安堵する。
『斯々然々で…』と説明し、傾聴してくれる。
A医師が
「胸の音を聞かせてください」
と言って、至極当然の事なんだけれど、母の心音を聴いてくれているのを見て、今迄が今迄だったから、少し安堵して泣きそうな心境になる。
 「重症ですね」
と、心音を確認したA医師
母は自らの両膝人工関節置換手術の両膝合わせて2kgのチタン入りの両膝を考えず
『重症の自覚状況がないんですが…自覚症状としては、プールで250m泳いだら、息が切れやすくなった位です』
と答えていて、
[お母さん、それ、普通の人でも息が切れるやつ]と内心突っ込んでしまう。
A医師が、ほんの少し患者に悟られないように驚いたように見えた。
「自覚症状がない方も意外と多いですよ。
気になるので、検査を追加させてもらいます。検査結果の診断は、昼休み(だったかな?お年寄りに理解出来るように)の関係で、B医師になるかも知れませんが、よろしいでしょうか?」
と、とても親切丁寧で
母も掛け時計の時間を見て
『はい、大丈夫です』
と、答えて診察室を出て、受付から心エコー等の検査オーダーが出るのを待って、必要な検査を受けて戻り、再度診察室に呼ばれるのを待つ。

 A医師の予告通り、グリーン系のスクラブに白衣羽織っている小柄な指導医だったK医師(非スクラブ派)を何となく思い出すような若手のB医師に交代しており、申し送りも的確にされていて、家族としてはとても安心して説明を聴けた。
【結論としては、心臓弁膜症のなかでも大動脈弁狭窄症で左心室の方が非常に悪く、脳溢血や、失神、胸痛等の症状がいつ出てもおかしくないベリーシビア(あ、お年寄りに横文字通じないかもと即座に自主的に伝わるように言い直し)超重症です。
心臓内の血圧は普段測る血圧計よりも約90以上の負荷がかかり、心臓内の血圧は200~300位の状態で頑張り続けているので、出来るだけ早く負担を減らした方が良いと思います。

治療法としては、人工弁に交換する等で
・胸骨正中切開と言って、開胸手術により患部を取り除き人工弁に交換する手術
・カテーテルでの留置術もありますが、歴史が浅く、10年後のデータがまだ出ておらず、未知数な点も多いので、カテーテルでの手術は正直お勧めは出来ません
・カテーテル手術は開胸手術のリスクが高い人に希望的に行うもので
・○さんの場合、開胸手術が望ましいと思います】
と、きちんとリスクマネージメントの説明も分かりやすく且つ論理的に言ってくれるので、理解しやすく、3歩歩けば忘れる私の脳ミソでも記憶に残る説明をしてくれるので安心できた。

私達親子は
『[日赤病院では、僧帽弁の石灰化が酷いと聞いたのですが?]』
と、至極当然な質問をして、非難する訳でもないオブラートに包んだ言い方で、日赤病院紹介状医師の誤診だった事を悟った。

その後の母の疑問に
『開胸手術だと、縫合はホッチキスですか?』
と、母の知り得る限りの知識から素朴な疑問が出るので、今度はB医師が眼を白黒させてしまっていたので
細心の注意を払い丁寧な縫合が必須条件の循環器専門医師から見れば土木工事みたいな手術に見える
[両膝人工関節置換手術の時の、(土木工事よりも荒業かも知れない)骨と医療用チタンは接着剤で縫合はホッチキス(27年程前から既に整形外科では使われていた)だった事を説明]し、母の知識不足の補足を行う。
 母。心臓本体の手術でホッチキスだと、縫合しきれていない心臓の隙間から、滲出液どころか?心嚢にも血液流出して心タンポナーゼだけでなく、心嚢外にも血液流出して死んじゃうよ…と、殆ど医療ドラマの内容で得た素人知識ながら、内心突っ込んでしまう。

B医師は少し驚いたものの状況を把握すると即座に
【縫合は抜糸(勝手な推察だが心臓や心嚢の縫合は抜糸不要糸であろうけれど、多分胸骨や表皮辺りの縫合)が必要な糸を使う事等、母に理解出来るように、母の心臓の現状を踏まえて高齢者に理解出来る丁寧な説明】をしてくださるが、
母はバリバリのはちきんのわりには肝っ玉が小さいのか?私の時には手術中起きて 発作性上室性心再現手術は【発作の再現】だったのでまた違った怖さだったけれど、救急搬送された時よりも再現性が弱く、手術室は寒い印象と【本当に再現出来てる?苦しくないよ?】と、聞くと手術体験すると大違いだったので、母が開胸手術を最後迄渋り、カテーテルでの人工弁留置術を望むのでB医師も困ってしまったと思う。
 そして
「当院の副医院長で人気の教授でもあるカワイ医師に診察室してもらうように予約しますか?丁度運良く比較的早目に受診予約が出来ますが?」
と、おっしゃってくれたのて
『[先生のご都合の良い日で構いませんので、よろしくお願いいたします]』
と言って、少しずつ呪詛の歯車から抜け出し始める事となる。


 手帳を見て、書き抜かりがあったと思う部分を加筆訂正しています。

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