新入社員研修~マナー研修~

新入社員研修の最初に、
だいたいマナー研修があります。
マナー研修の中心は「敬語」ですが、
私はそこで迷います。

文化審議会から「敬語の指針」というのが出てますが、
マナー本(マナー研修のテキスト)には、
2007年2月に出された「指針」に準拠せず、
それ以前の、いわば「古い敬語」の場合があります。
そこの部分をどうすればいいか・・・

40代以上の人は「古い敬語」に馴れているので、
それに合わせて「古い敬語」で指導するか。
「新しい敬語」で指導するか・・・

「指針」で指摘されているのは、主に二つ。
一つは「一般形の敬語と特定形の敬語」という区分です。
敬語教育は「特定形」を使うことを良しとする傾向がありますが、
これは関東人の発想だということです。
「指針」p51に
「あしたの会議で意見を言うか」という「言うか」を上位者に尋ねる場合
という事例があり、
関東では「おっしゃいますか」(41%)「言われますか」(34%)
近畿では「おっしゃいますか」(40%)「言われますか」(48%)
と逆の結果になっているとのことです。
「れる・られる」という助動詞に「尊敬」の意味があると、
学校の国語の授業では教育されます。
マナー本の著者が関東圏に偏っているのでしょうけど、
特定形を使わないと敬語表現にならないというのは間違いです。

もう一つ「指針」で変更された部分は
「とんでもございません」の使い方。
従来は「とんでも・ない」と分けられないから、
「ない」を「ございません」に変えて、
「とんでもございません」は間違いとされていましたが、
「指針」では認めています。
さらに「とんでもないことでございます」について、
褒められたときに返す言葉として、これを使うと
>「あなたの褒めたことはとんでもないことだ」
>という意味にも受け取られるおそれがあるので、
>注意する必要がある。
と注釈をしています。

仕方がないので、私は「両論併記」で指導します。
ただし、一般形でよく間違われる
  「お~できる」(尊敬語)
は間違いであるとはっきり指導します。
「お~する」は謙譲語で、「お~なさる」「お~になる」が尊敬語。
「お~できる」は「お~する」を可能形にしたものなので、
謙譲語になります。
駅やスーパーのアナウンスで、間違っていることが多い敬語です。


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