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元祖ノンセックス女装?現代アーティスト森村泰昌

この記事は、女装っ子 Advent Calendar 2021 9日目です。

コロナで変わったことの一つは、外に出ない影響からか内省的になって、アートに興味を持つようになりました。
美術館とかは人と濃厚接触やおしゃべりする可能性が極めて低いこともあり。

最近、知ったのが現代美術家の森村泰昌さんです。現代美術の世界では超有名人らしいけど、村上隆と草間彌生くらいしか知らなかったので。
ただ、ゴッホの自画像を真似して撮った写真作品は、見たことがあるくらい。ググると出てくる、下の左上の写真です。

ググれば右上や左下のように女装してる作品も出てくるのですが名前も知らなかったので。

芸術新潮という雑誌で、森村泰昌さんの展覧会の特集をしていて、「女装やん!」と思い、アーティゾン美術館という洒落オツなところに行ってきました。
ポスタービジュアルがこれ。絶対女装してる人と思いませんね。

森村泰昌さんは、男性女性、時代や人種に関わらず、特殊メイクや特注の衣装などを使ってあらゆる人になりきって、それを自撮りする「セルフポートレート」という手法の芸術家です。
ゴッホをはじめ男性にも変身するので、「女装」を全面に出してるわけではありません。
めちゃくちゃ「性(セックス)」が希薄なのです。

↑図録の表紙

私が女装を知り、始めたのは、セックスと明確に紐付いていました。
ハッテン公園であったり、ゲイ向けのハッテンサウナであったり、今はなき神楽坂の成人映画館だったり。
だけど、女装を名古屋で本格的に始めて、セックス要素無しで、女のコの格好をしたい、女のコの声で歌いたいといった女装が結構な割合でいることを初めて知りました。

ただ、名古屋から東京に引っ越して、暇つぶしに、国立国会図書館に通って、戦後〜2000年以前の女装の歴史を調べたところ、女装のキーワードで適当に見た限り、見つかった文献上は「女装」はほぼ「セックス」と結びついていました。
それで、ノンセックス女装は21世紀以降の新しい女装なんだなぁと考えてきたのですが、今回、森村泰昌さんを知り、調べたところ、

1998年のプリンツ21という雑誌です。(hontoで電子版が買えます、便利だなぁ)
ご本人のインタビューやらメイク方法まで特集してるのですが、ざっと読む限り「女装」という言葉やセックスな視点はほぼゼロ。
唯一、他人(中村明夫)の言葉として

「森村泰昌と寝てみたい」と比喩的な批評が引用されてる(spaだしね)くらいで、女性のヌード作品になる作品も多数あるけど、性っぽさは皆無。
国立国会図書館で「女装」で検索しても出てこなかったわけだわ。

話を戻して、展覧会「M式」で、大量増殖した森村泰昌さんの半分くらいは、明治の鹿鳴館からジュリアナ東京のバブルダンサーまで、女性でした。

↑図録から。この十人全員森村泰昌さん!

会場のインスタレーション(この言葉も最近知った、カッコええ)では、森村泰昌さんが女装する過程(メイクや衣装着換え)を動画早回しで流していて、その流れはさっさと変身したい時短女装家は必見ですよ!
あと、森村泰昌さんは足のサイズが24センチとのこと。うらやましい。

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