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【解説】みきとPのスタジオ紹介動画が上がったので解説してみた

6スタさんからみきとPのスタジオ紹介の動画が上がりました。
だた、みきとPのファンの同志がこの動画を理解して観れるとは到底思えないほどコアなものを淡々と紹介しているので、私の方でもできる限り解説したいと思います。

スタジオ内装

1:18
ここで現在のスタジオが貸家ではなく建てたことを語っています。大胆・・・

1:25
「角が・・・」と語っているのは、一般的に90度の角があると音響的によろしくないので、90度を避けた空間にしたり、ベーストラップを設けたりして対策します。家を建てる段階でこの辺も盛り込み済みなんですね。というコミュニケーションが一瞬でされているわけです。

ギターアンプ

2:10
de Lisleのアンプ/キャビネットセレクターだそうです。
https://www.delisleguitar.com/shop/de-lisle-amp-speaker-selector-v2/
複数アンプヘッドをかんたんに切り替えるために、複数のギターアンプヘッドのアウトプットをこのセレクターに合流させ、後に登場するUniversal Audio OXへ繋いでるのだろうと思われます。

2:47
Huges & Kettnerのミニアンプ。普通に小さいギターアンプヘッドです。

2:57
Universal Audio OX
ギターアンプヘッドから出力されるスピーカー駆動信号を、このOXへ送って、実際にスピーカーを鳴らさないでOXにスピーカーで鳴らした音をマイクで拾った音をシミュレーションさせるというブツです。
これのおかげで爆音で近所迷惑にならずにギターアンプの音量をあげさせることができるのでとても重宝しているのです。
それだけじゃなくて、いちいちマイクを立て直す必要がなく、毎回同じセッティングで録ることができるのもOXの利点です。

3:16
さり気なく後ろに映っている、部屋の隅にある箱みたいなのはRolandのTR-330という古いリズムマシンです。
友達募集Pから借りっぱなしというエピソード付き。
京都のSole Cafeで行ったアコースティックイベントではこのリズムマシンを使って演奏された『しゃったーちゃんす』が個人的にめっちゃくちゃ好きでした。

3:25
Dumbleのクローン(Akg Sound Design)
「ダンブル」とは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンやそのフォロワーなギタリストなどが愛用していることで有名な幻のオーダーメイドアンプのことです。
あまりの希少っぷりにその音色への評価に尾ひれがついて神話的に持ち上げられ、崇め奉れている滑稽なカルチャーがあったりします。(個人の感想です。)
そんなムーブメントにメスを入れたDumble弾き比べ動画がデジマートから上がってたりします。

ギタリスト界隈では、他にも「ケンタウルス」、「PAF」など、似たような"神話"がはびこっています。
みきとPはオーダーメイドで入手したとのことで、後にも出てくるフェンダー系のサウンドが好きなんだなということが伺えます。
というのもDumbleアンプはフェンダーアンプが源流で、
というか、世の中で評価されているギターアンプのほとんどがフェンダーアンプか、フェンダーアンプの改造から始まってます。もう1つの大きなシェアを持つマーシャルアンプすらフェンダーが源流ですから。

4:00
フェンダーのThe Twin
赤ノブツインなんて言われてる時期の個体です。1980年代後半(1987年からだっけ?)のフェンダーアンプです。後に出てくるDeluxe Reverbよりも出力が高く、いじれる音色(イコライザー)も1つ多いです。(The TwinはMiddleがあります。)

4:05
フェンダーの1965年製Deluxe Reverb
みきとPのはブラックフェイスと呼ばれる1960年代の個体です。
この時期のデラリバはいい音だと評判で、このアンプの音を模したエフェクターやクローンアンプが多く出てます。
『 E S P R 』では、Dream '65という、この時期のデラリバを再現したシミュレータを使用してバッキングのギターが録られています。今回の動画では出てきてませんが、サンレコで取材されたときにはDream '65が紹介されてます。

4:11
マーシャルのJTM45
ここで語られている知り合いのギタリストは木下哲さんな気がします。みきとPのライブのリードギターを努め、最近発表された曲のいくつかもリードギターを再び担当するようになった方ですが、哲さんは一時期フェンダーのブリティッシュタンのコンボアンプを使ってた時期以外はずっとマーシャル使いです。
またJTM45は非常にフェンダーのアンプの回路を色濃く残しているので、実質フェンダーなんて言われてる機種だったりします。それでも使われている部品でマーシャルっぽい音になってたりします。(個人談)
なので、みきとPのスタジオには実質ほぼフェンダーのアンプが並んでるわけです。オタクってそういうもんなんです。(個人の感想です。)

エフェクター

4:30~
みきとPの足元が紹介されています。

上段左から

StrymonのCOMPADRE
コンプレッサーです。かつてはAya Compというコンプレッサーをライブで使用していたのが印象的でした。ファーストワンマンの頃からCD音源に近づけた音色にしたいという意図のもとコンプレッサーを入れているそうです。(第一回みきうちにて聴取)

Neo Instrumentsのmicro VENT
ロータリースピーカーのような音色を出すためのエフェクターです。
先日の星街すいせいワンマンライブのゲスト出演でも使用していました。
以前からロータリースピーカーエフェクトを使用した曲もありますし、特段足元にあっても何も疑問はないです。
StrymonのLexというロータリースピーカーエフェクターがあって、そっちのほうが有名な気がするんですがこれを使ってるんですね。
なぜLexじゃないのかインタビューしてほしかったところ・・・

Electro-HarmonixのNano POG
シンセペダルの王道です。後の演奏している最中で高い音と原音が混じったようなエフェクト音がするシーン(5:59~)はこれの音です。

Crazy Tube CircuitsのTIME
ディレイペダルです。簡単に言えばやまびこエフェクトです。
なぜこれを選んだのか、正直初めてみました。サンレコ掲載時にはなかったです。

TC Electronicsのpolytune mini2
定番のチューニングペダルです。

Limetoneのジャンクションボックス
動画で詳細が解説されてます。

下段左から

HomeBrew ElectronicsのUFO Ultimate *Fuzz* Octave
オクターブファズです。
演奏シーンでビシャビシャと深い歪みの音が聴こえる場面(6:14~)はこのエフェクターです。
『YONAKI』の最後のギターソロで聴けます。

IbanezのTube Screamer
『PLATONIC GIRL』のサウンドはPositive GridのBias FX内蔵のチューブスクリーマーのシミュかこの現物のどっちかを使ったと伺ってますので長いことみきとPのスタメンなはずです。

WeedのBOSS Blues Driver Mod
ぶっちゃけどこで使ってるのか私も知りませんが、ソロとかで踏んでそうですよね。

Vemram Jan Ray
みきとPの音と言えばとこのエフェクター。
皆が聴き馴染んでいるみきとPのテレキャスターサウンド(5:54~)はこのペダルで作られてます。これも長期選手です。

Jim DunlopのCrybabyワウ
Crybabyのワウといえばジミー・ペイジなので、VOXじゃないのは案外それが理由かもしれませんね。

スイッチャーはBOSSのES-8
プログラマブルスイッチャーといって、たくさんあるフット・スイッチにそれぞれどのエフェクターとエフェクターとを介すかを設定できるすぐれもの。いちいち配線をつなぎ直さなくていいのでライブで重宝します。

マイク

6:44~

Umbrella CompanyのSM57 Mod
2015,16年頃にここの会社のModが流行りましたね。CD900STのバランス改造とか。
かくいう私もここのヘッドホンアンプを今も愛用してます。
このSM57はトランスを取り除いて"アクティブ回路"をつけたもので、ダイナミックマイクなのに48V電源を使用します。

Neumann TLM102
おそらくU87 Aiを導入するまで使ってたのでしょうか。2019年のスタジオ紹介記事ではこれがマイクスタンドについてました。

ROYER R121
ド定番のリボンマイクです。
マイクにはダイナミックマイク、リボンマイク、コンデンサーマイクという仕組みが全然違って音が全然違うマイクがあって、
みきとPのスタジオではリボンマイクの役をR121が担っているというわけですね。

SHURE SM57
こちらは普通の57ですね。ギターアンプの直録りで使用してそうです。

SHURE BETA 57A
ボーカル向けのコンデンサーマイクです。見た目がダイナミックマイクみたいですがTLM102同様コンデンサーマイクです。音色の使い分けとして持ってるのでしょう。

AKG C414 XLII
U87 Aiよりも高音寄りのアコギサウンドを録るのに使ってそうですね。
みきとP、そのうちCK12カプセルを再現したC414 EBのクローンとか持ちそうな気がする。

Sennheiser MD 421
白クジラと言われているダイナミックマイクです。
みきとPが『ぼっち幸福論』で使っているので見覚えがあるかと思います。

ピアノ

7:12~
Petrofのアップライトピアノ
値段見てびっくりしました。
みきとP、ピアノスコア出してますしギターの前はピアノやってましたし。
その上にはみきたまごクッション。

ラジカセ

8:24~
SONYのZS-M5(赤)
ふっつうにコンポです。

飾ってあるLP

10:06~

KIRINJIの『7 -seven-』

山下達郎『FOR YOU』

Vulfpeck『The Joy of Music, The Job of Real Estate』

ちょっと前にVulfpeckシグネイチャーのプラグイン導入してた気がするしCory Wongシグネイチャーのプラグイン買おうとしてたし、Luis Coleは昔から好きだって言ってるし、流石っす。

Led Zeppelin 『The Song Remains the Same』

みきとPの曲では初期のツェッペリンの面影を感じたことはあるのですが、飾ってるのは1973年のマディソン・スクエア・ガーデン公演なんですね。

Theatre Brook『Theatre Brook』
シアター・ブルックの初期のミニアルバムだそうです。希少品・・・!

山下達郎『ARTISAN』

こうやってみてくと、ライブ感のあるアルバム(とライブ盤)が多いですね。

ギター

10:55
Harmony Sovereign H1260
動画のとおり、ジミー・ペイジやキース・リチャーズ、ピート・タウンゼントも使用した「時代の音」がするアコギです。
独特なシェイプとブリッジの構造が作用してか、ポロンポロンと乾いて浮いた音がします。低音も結構出ますが、だからといって重心の低い音では無いです。
動画でチラと演奏しますがそれだけでも1971年のBBCの『That's the Way』の音がモロ出てますもんね。

これを買って初めて弾いた当時からみきとPの『若草物語』や『絆創膏』にぴったりな音だなと思ってたので入手されて本当に嬉しい限りです。


『少女レイ』や『サラバーにゃカウダ』、コンピ収録の『桂川』のようなストロークが多い曲はJ-45のチャキチャキして湿度のある音が合ってますが、ソブリンが来てからはアルペジオを多用したアコギ曲とかが増えるといいななんて期待しちゃいますね。

12:05
GibsonのJ-45
みきとPといえばこのアコギ。
『少女レイ』を弾いたときにモロ同じ音がしてますね。
前述した『少女レイ』、『サラバーにゃカウダ』、コンピ収録の『桂川』の他にも『走馬灯』でも聴けます。

12:40
GibsonのSG
みきとPのハムバッカーサウンドはだいたいこれなはずです。
後に出てくるTokaiのレスポールはラックにこそ常駐してますが積極的に使ってる印象はなく、2010年代前半でハムバッカーサウンドを出す際にもSGを使用している話を記憶してますが、曖昧です。

12:42
Tokaiのレスポール
いわゆるジャパンビンテージなんて言われてる類のど真ん中なギターの一つですよね。これを手放したあとに後悔したオジサマ方は数しれず・・・
ピックアップセレクターを黒にしちゃってるところかピックガードが無いところとが時代を感じて、若いころから使ってるというエピソードを裏付ける感じになっててニヤニヤしてました。
ペグをレスポールJr.のタイプにして可愛くなってるのがみきとPっぽくていいですね。

13:26
フェンダーの1974年製 Telecaster
CBSフェンダーなんて言われてる、CBSに買収されたあとのフェンダーテレキャスターです。ヘッドのロゴが60年代のもの(スパゲッティロゴ)とは変わり、一直線にFender Telecasterと書かれているのが特徴です。
はりーPによるおすすめで、心斎橋の三木楽器で買ったというエピソードはみきとPのムック本でも紹介されています。
この時代のテレキャスターはブリッジサドルが鉄製なのが特徴です。
70年代のキース・リチャーズも50年代のテレキャスターに鉄製ブリッジをつけていた時期があって、それにすることで出てるなって思う音色があるので、みきとPサウンドにおいてもこのCBSフェンダーが不可欠なのではと思って私もテレキャスターのブリッジサドルは鉄製に交換してます。
今はCrews Maniacのテレキャスターが頻出してるなかであの音が出てるので、音作りでは支配的な要素では無いようなんですが、個人的に注目ポイントです。

13:41
フェンダーメキシコのテレキャスター
2015年、majiko(当時はまじ娘)さんとシンガポールのイベントに行く際に用意したテレキャスターでしたよね。

他にも雪ミクに出演したときに持っていってたのを記憶してます。
ツアー用のギターなんですね。今はCrewsのテレキャスターにとって変わられてそうですけど。

14:10
ダンエレクトロのジミー・ペイジのやつ
この前出たサンレコで初お披露目でした。
ここまで来たら本当にジミー・ペイジフリークだなって。

動画ではなぜかジミー・ペイジの話にならなかったですね。
参考までに中古のこのダンエレのギターを買う際は気をつけてください・・・
ボディーの合板が腐って虫が湧いことがあるので・・・

14:30
Crews ManiacのJB-Modern、フェンダーのジャズベースとプレシジョンベースが淡々と紹介されています。
ちなみに全部ムック本に載ってない個体で、どうやら月日とともにスタメンが替わったのでしょう。
福生のThree Sisterzで買ったヴィンテージジャズベースは残ってるのでしょうか。
フレットレスのジャズベがあるとのことで、『YONAKI』のデモ音源で自身が録ってそうですね。

DTM

14:38
TRINNOV AUDIOのST2-HiFi
この機械にスピーカーと測定用の専用のマイクをつなぎ、マイクを所定のポジションに置いてスピーカーから出る音の周波数特性を、部屋の鳴りを介して測定し、補正する機材です。
部屋の音響特性を内装や置く素材で改善していきますが、この機材は対処療法的なアプローチで部屋の鳴りのクセを改善するといった感じです。

15:09
AppleのiMac Pro(2017)
みきとPは長らくWindows7を使ってましたが、移行のタイミングでmacOSにしたと思われます。にしても置き方が大胆すぎて・・・
画面をミラーリングして、32インチの外部モニターを使用しているようです。

16:00
FocalのTrio6 Be
動画でも出ているように、以前は友達募集Pからのお下がりと思われるADAMのS2Xだったようです。
友達募集PはADAMのS3Xに乗り換えた後、昨年壊れてTrio6をつかっているとのことで、今はみきともぼでおそろっちなんですよね。

16:07
FocalのClear MG Pro
まじでミュージシャン皆つかってますね。かつてRMEのFireFaceというオーディオインターフェイスを愛用するDTM民がたくさんいたのを思い出しました。いいものは広まりますよね。
Clear MG Proはエンジニア界隈はもちろん、ボカロPだときくおさんも使ってますね。

16:37
Neumann U87 Ai
ド定番のマイク。機材知らない人でも見たことある形だと思います。

16:44
UAD Satellite
Universal AudioのUADという高性能なプラグインがありまして、
制作ソフト(DAW)に機能追加する(なので"プラグイン")ソフトウェアを駆動するための機材です。
基本、DAWプラグインはPCのCPUを使用しますが、これは専用の処理チップを使用してCPU負荷を増やさず高性能な演算を実現するというすぐれものでした。今はCPUの性能が爆発的に上がってUAD SparkというCPUで駆動させる環境が出てきたので、あのUADが前時代的になりつつあるのは、時の流れを感じざるを得ないです。

17:23
後ろにでっかい電源ユニットが映ってますね。この辺もっと取り上げてほしかった・・・
家建てたわけだし、上流を200Vにして引っ張てきてそうですよね。(日本の100V環境だと、すぐ15Aに達してしまうので、大電力な音楽機材を揃えるには200Vじゃないとしんどいんです。)
上に乗っかってるオヤイデの電源タップはでかいのを導入する前のタップなのかもしれませんね。

17:55
NATIVE INSTRUMENTSの Komplete Kontrol M32
32鍵盤のMIDIキーボードです。

17:57
Universal Audio Apollo X8
オーディオインターフェイスです。
楽器やマイクの信号を受け、変換(アナログからデジタルへ)してPCへ送る機材です。逆の変換もして、スピーカーへ出力するわけです。
この機材がしっかりしているほど、安定した挙動だったり、音が良かったりするので、モニタースピーカーの次くらいに妥協してはいけなかったりします。
先述したUADを使用するためのチップがこのApolloにも入っています。
あと、友達募集Pも昔からApolloユーザーなので、みきとPの周辺で知見が溜まっているのもFireFace UCからApolloへ変えた理由の1つかもしれませんね。

18:02
AURORA AUDIO GTQ2
Neve 1073というマイクプリアンプのクローンです。
マイク信号をレコーディング機器へ合流させる際に増幅させる機材です。音の変化が顕著なのでたくさん種類があります。
「ブラインドで~」というは、音楽機材のコミュニティーではABテストやブラインドテストと呼ばれる、どっちがとっちか分からない状態で同じ音源を使用してそれぞれの音の違いを議論することがしばしばあって、それのことを言ってるのだと思います。掲示板だったりYouTubeだったり、いろんなとこで議論されてます。たとえば

私もGAPのPREQ-PERMIERを買う際にはググってそこら中見て、ABテストを探してました。

18:32
Generecの6010AW
みきとPがむか〜しから使っているモニタースピーカーです。

動画では2013年くらいに導入と言ってましたが、いやもっと前じゃね?と思ったら、やっぱりもっと前でした。

19:22
昔ツイッターのフリートでOutputのPlatformデスクを買った旨の投稿をしてたのですが、2019年時点のスタジオでは見当たらずだったので、やっぱり手放してたんですね。

以上、愛島工房スタジオの、紹介の、解説でした。
途中余計な話が混じってすんませんでした。

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