ロンドン地下鉄の運転手が車内放送で「ジハード(聖戦)」と言った事実は確認されていません。

【主張】

  • 10月21日土曜日、ロンドン地下鉄の運転手が車内放送で「ジハード(聖戦)」と言った。

【評定】

  • ロンドン交通局によりますと、そのような報告はないということです。ロンドン交通局によりますと、地下鉄の運転手が列車内で親パレスチナ派の聖歌を先導したようで、停職処分を受けたということです。

【レビュー】

首相が述べられたように、土曜日、ロンドンの路上で「ジハード(聖戦)」が呼びかけられ、ロンドンの地下鉄の運転手も車内放送を通じて同様の言葉を発しています。

2023年10月23日、Dr Matthew Offord 議員による呟きより

先週、下院でイスラエルとガザの状況について討論した際、保守党のDr. Matthew Offord議員は、10月21日(土)、「ロンドンの路上で『ジハード(聖戦)』が呼びかけられ、ロンドンの地下鉄の運転手も拡声器で同じことを言った」と主張しました

アラビア語の「ジハード」は「闘争」や「努力」と訳され、イスラム教では複数の意味を持つとされています。これは「聖戦」を意味することもあり、アルカイダやダーイシュ(イスラム国)といった組織の台頭を受けてテロリズムと結びつけられてきた一方で、イスラム教徒としての信仰に対する個人の精神的・個人的な闘争を表すこともあります

この日ロンドンで開催された親パレスチナ派のデモで撮影された動画には、少なくとも1人が「ジハード」と発言したことが映っている、とロンドン市警は発表していますが、ロンドン地下鉄の運転手が車内放送で「ジハード」と発言したことを示す証拠は見つかっていません。我々はDr. Offordに対して、彼の主張を裏付ける証拠を求めましたが、回答はありませんでした。

10月21日にSNSに拡散された動画は、セントラル線の地下鉄の運転士が、公衆放送を使って乗客に親パレスチナ派の聖歌を歌っているように映っているようです。ロンドン交通局によりますと、この地下鉄の運転士は停職処分を受けたということです。

動画の中には、運転手が車内放送システムを通じて乗客に次のように語りかけた後に始まっているものも含まれています:「...そして非人間化と抑圧に直面している全ての人々が...[聴き取れず]...現在進行中の占領に直面している。私はその場に居合わせることは出来ないけれども、その一員であることを実感している。暖まるためにも、さあご一緒に。ご自由に、ご自由に」この後、車内の何人かの乗客が《Palestine》を唱和し、ある動画の後半では、運転手が《no justice, no peace》の唱和を先導し、乗客に「もっと大きな声で」と伝えているように見受けられます。

動画では、やりとりの最後映し出されており、運転手が、「皆様が今日を祝福された一日とされることを願っております。気をつけてお過ごし下さいませ。皆さん、大きな声援を送って下さい。そして、これら全ての人々に祈りを捧げて下さい」、と言う前に、《Free Palestine》の大合唱が続いていました。

Full Factが閲覧した動画の中では、運転手がスピーカー越しに「ジハード(聖戦)」という言葉を使ったようには見えませんでしたし、運転手がそうしたという公式な報告は他に見当たりません。

ロンドン交通局はFull Factに対し、他の運転手が車内放送を使ってデモに関連するアナウンスをしたという報告はないとし、また把握している限りでは、セントラル線の運転手は車内放送で「ジハード(聖戦)」とは言っていないと述べています。

政治家は、特に国会で主張する際には、自らの主張の根拠を示すか、公的に認められた証拠に頼るべきです。自分の発言が正確であるよう注意すべきですし、間違ったことを言った場合は記録を訂正すべきです。

映像協力:Chris McAndrew氏


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