「猛毒SM-102」の原材料安全警告は、Moderna社製のCOVID-19ワクチンに使用されている形態のものではありません。
あるラジオ司会者が、mRNAワクチンの一部分の製品安全データシートが、Moderna COVID-19ワクチンに毒物があることを証明していると言ったのは正しいのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。使用前にSM-102のような脂質に保持されている化学物質は、タラを保存するために使われる灰汁を調理して食べる前にルートフィスクから取り除くように、製造工程で取り除かれるのです。脂質は人間の細胞の構成要素となる脂肪で、研究所や工場に届けるためには、保存液で保持する必要があります。連邦規則では、研究所や工場で使用される多くの材料の各バージョンについて情報シートを要求しており、最終製品に添加するために準備されるまで保持される溶液も含まれています。ラジオ番組の司会者の主張で言及されたデータシートは、SM-102と呼ばれる脂質の研究用グレードのもので、製造用グレードの材料ではありません。
この主張は、2021年5月17日にHal Turner Radio Showが 「コネチカット州、Moderna社製COVID-19ワクチンの成分を公表:致死性毒物(SM-102 - 人間または獣医学的用途には使用不可)」というタイトルで公開した記事(アーカイブはこちら)に掲載されています。次のように続きます:
記事執筆時のHalTurnerRadioShow. comでの表示は以下のようなものでした:
この「SM-102」の記事を書いた人は、化学実験や製造プロセスの基本、そして製品安全データシート(MSDS)制度について無知なようで、研究所へ送られた脂質の入った媒体が注射器に入って腕に注入されると主張することで、怖い印象を与えることが出来るのではないかと考えているようです。これは、レクチンを含む豆が消費者を毒殺するために使われているとか、リンゴの生産者が「人間用ではない」製品を売っていると叫ぶのと同じようなものでしょう。赤インゲン豆を浸す過程でレクチンは除去されるし、リンゴもシアン化合物を含む種を除去して加工処理するのが普通です。
この『SM-102毒』の主張もまた、間違ったMSDSシートに依存している、とJesse Erasmus 博士は語っておられます。博士は、医学部の教授として、またワシントン大学の Deborah Fuller 氏の研究室で 博士研究員として、mRNAワクチンの動物への影響について研究されておられましたが、FDAがパンデミックに立ち向かうためにこのワクチンを承認する前に行われた安全試験の一つを主導されていた方です。この研究室は、mRNAワクチンの中心的な期待である、老化したヒトの免疫システムで良好に機能することを確認しました。2021年5月18日、Lead Storiesに宛てた電子メールで、Erasmus博士は、Turnerの主張はいくつかの誤った仮定に基づいていると述べておられます:
この「SM-102」記事の著者は、FDAによるModerna社製ワクチンの承認についても調査していなかったようです。HalTurnerRadio.comがコネチカット州で見つけた文書は、2020年12月のFDAの発表で、脂質の使用について次のように記されていますので、スクープとは言えません:
Lead Storiesでは、FDA並びにModerna社に対し、追加情報を求めており、回答があり次第、このファクトチェックを適宜更新する予定です。
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