米国政府は、Moderna社のCOVID-19ワクチンを所有・共同所有しておりませんので、接種を義務付ける「下心」なんてありません。
米国政府は、Moderna社のCOVID-19ワクチンを所有または共同所有しており、予防接種を義務付ける「下心」を持っているのでしょうか?いいえ、そんなことはありません:この主張を裏付ける証拠は何もありません。この注射でModerna社と協力した国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は、2022年9月28日のLead Storiesの電子メールで、「mRNA-1273 COVID-19ワクチンは所有も共同所有もしない」と述べています。更に、米国政府は、数十億ドルを費やして、Moderna社を含むワクチンメーカーから数億回分を購入しています。しかしながら、NIAIDは、ワクチンの背後にある技術に関して、Moderna社との間に未解決の知的財産権紛争を抱えています。
この主張は、2022年9月17日にInstagramで"😯 #jab The Blaze W/ Glenn Beck "というタイトルで公開された動画に登場しました。画面には以下のようなテキストが表示され、始まりました:
このような戯言を許してはいけない!
皆でこの機運を盛り上げようぜ!!!
この地獄な状況を共有してくれ。
記事執筆時点のInstagramでは、以下のような動画が公開されていました:
![](https://assets.st-note.com/img/1664465657708-JEJloUQ3cB.png?width=1200)
告発の内容
この映像は、Blaze TVで放映されたBeckの番組の1つで、ソーシャルメディア上で広く共有されています。この映像は、Beckが視聴者に見せるために書類の入ったファイルフォルダを手に取るところから始まります:
これは、Moderna社と米国政府との間の153ページの秘密協定で、2015年にまで遡ります。
Beckはこの文書を使って、COVID-19の接種を義務付けた米国政府の「下心」を非難しています:
政府がワクチンを共同所有していることをご存知ですか?今、その使用を義務付けているのと同じ政府が、このワクチンを所有しているのです。
NIAIDはそのメールの中で、そうではないと述べています。NIAIDの親機関である国立衛生研究所(NIH)とModerna社は関係を持っていますが、それはワクチンの共同所有というものではありません:
2020年、NIHの科学者は、Moderna社が製造し、mRNA-1273として知られる製品として販売するCOVID-19ワクチンの設計と試験のために、Moderna社と協力しました。この共同研究は、元々MERS、SARSやSARS-CoV-2に関連するコロナウイルス、ニパウイルスと戦うためのmRNAワクチンの開発とテストに焦点を当てた数年間のものから発展したものです。
mRNA-1273ワクチンは、コロナウイルスのスパイク・プロテインを前駆状態で安定化させるためにNIHの科学者と学術協力者によって開発された手法を利用しています。NIAIDは、複数のワクチン開発者が独自のワクチン・プラットフォームで利用することを可能にするため、この特許技術の非独占的ライセンス方式を採用しています。
法的紛争
NIAIDのメールによりますと、NIHはModerna社製ワクチン自体の所有権を主張していませんが、その背後にある知的財産を巡ってワクチンメーカーと法的紛争に巻き込まれているとのことです:
Moderna社はmRNA-1273 COVID-19ワクチンの特許申請を行ないましたが、その際、ワクチンを共同開発したNIHの科学者数名の記載を失念していました。主要な特許出願からNIHの発明者を省くことは、その出願とそこから最終的に発行される特許の共同所有権をNIHから奪うことになります。NIHとModerna社は、共同発明権に関する合意に向けて取り組んでいます。米国特許商標庁から特許が発行されるまでは、強制力のある所有権は存在しません。
Axiosは、2020年6月25日の記事で、この事件のニュアンスを説明しています:
何故それが重要なのか:連邦政府はこのワクチンに実際の利害関係があるため、ワクチンを無料または低コストの公共財として広く流通させようとする可能性があるからです。
全体像:NIHは主に外部の研究に資金を提供していますが、基本的な科学技術を発明し、それが後にライセンスアウトされて、巨額の利益を得て販売される医薬品に組み込まれることもよくあります。この機関が、所有権を主張したり、特許権を追求したりすることは稀ですが、このコロナウイルスワクチンに関しては違うようです。
・NIH長官のFrancis Collins氏は5月のEconomic Clubでのインタビューで、
Moderna社製のコロナウイルスワクチンの背後にある『知的財産に何らか
の特別な利害関係がある』と述べました。
Lead Storiesは、何度もModerna社に回答を求めましたが、本稿執筆時点では回答がありませんでした。製薬・バイオテクノロジー企業から回答があった場合は、そのコメントを本記事に追加する予定です。
COVID-19に関連するLead Storiesのファクトチェックは、こちらでご覧頂けます。
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