CDCが乳児のB型肝炎ワクチンの安全性に関する研究結果を非公開にしたことはありません -- 結果は20年前からずっと入手可能です。

米国CDCは、生後1カ月以内にB型肝炎ワクチンの接種を受けた新生児に神経発達遅延のリスクが高まることを示すとされる研究結果を隠蔽したのでしょうか?いいえ、それは事実ではありません: この研究結果は、何十年も前から公開されていたものです。2000年6月、2段階に分けて行なわれた研究の初期の結果が、初めて医療関係者に発表されました。完成した研究は、2003年11月1日に学術誌《Pediatrics》に掲載されました。

この(デマ)主張は、2023年4月6日に公開されたInstagramの投稿に現れています。投稿の説明文には次のように書かれています:

c*v*d jibby jab...B型肝炎ワクチンの接種を受けた新生児は受けなかった新生児に比べて「ADHDで829%、自閉症で762%、ADDで638%、チックで565%、睡眠障害で498%、言葉の遅れで206%のリスクの増加」が見られたそう😳。しかし、ビッグファーマは、あなたが子供のために十分な情報を得た上で決断することを望まないのだ!

Make America Logical AgainはInstagramを利用しています:「It’s not just the c*v*d jibby jab… they found an “increased risk of - 829% for ADHD, 762% for autism, 638% for ADD, 565% for tics, 498% for…」

投稿のミームの一部不明瞭なテキストには次のように書かれています:

2001年にCDCが、生後1ヶ月以内にB型肝炎ワクチンを接種した子供と接種しなかった子供を比較する、ワクチン接種者と未接種者の狭義の研究を密かに行なっていたことを知っているか?

生後1ヶ月以内に推奨されるワクチンはB型肝炎だけであり、この研究の時点ではチメロサールを含むB型肝炎ワクチンしかなかったため、この研究では主にB型肝炎ワクチンを接種した子供と接種しなかった子供とを比較した。

この研究の結果はCDCから発表されることはなく、最近になって情報公開請求により研究の要旨が入手されました。

生後1ヶ月にB型肝炎ワクチンを接種した子供は、生後1ヶ月にワクチンを接種しなかった子供と比較して、以下のリスクが増加した: 
      
ADHDで829%、自閉症で762%、ADDで638%、チックで565%、睡眠障害で498%、言葉の遅れで206%。

Make America Logical AgainはInstagramを利用しています:「It’s not just the c*v*d jibby jab… they found an “increased risk of - 829% for ADHD, 762% for autism, 638% for ADD, 565% for tics, 498% for…」

執筆時のInstagramでは以下のような投稿がありました:

(出典:2023/04/10 月曜日 15:58:18 UTCに取得されたInstagramのスクリーンショット)

この投稿では、「一度も公開されていなかった」この研究結果が「FOIA(情報公開法)の要請でつい最近入手出来た」という主張を裏付ける根拠は示されておりません。どちらも真実ではありません。この情報は約20年前から広く流布されており、決して圧力がかかって非公開とされたり隠蔽されたりしたことはありません。

二相研究の初期の結果は、2000年6月7日から8日にかけてジョージア州ノークロスで開催された「ワクチン安全性データリンク情報の科学的検討」会議で初めて発表されたものです。このセッションの発表者の中には、研究の筆頭著者であるThomas Verstraeten博士も含まれていました。

CDCの全米予防接種プログラムのディレクターであったWalter Orenstein博士は、開会宣言の一部として、この会議は「これらのワクチンのいずれかに水銀による健康被害があるかどうかを評価するためのものである」と述べました。FDAによりますと、水銀を含む有機化合物であるチメロサールは、1930年代からいくつかの生物学的製品や医薬品に防腐剤として広く使用されています。

ワクチン安全性データリンク

CDCのワクチン安全性データリンクは1990年に開始され、ワクチンの安全性を監視し、予防接種後の稀で深刻な有害事象に関する研究を実施するために使用されています。VSDのウェブサイトに掲載されているプロジェクト概要には、以下のように書かれています:

VSDは、医学文献から提起された疑問や懸念に基づいてワクチンの安全性調査を行い、ワクチン有害事象報告システム(VAERS)に報告します。米国で使用が推奨された新しいワクチンがある場合、またはワクチンの推奨方法に変更があった場合、VSDはこれらのワクチンの安全性を監視します。

Vaccine Safety Datalink (VSD) | VSD | Monitoring | Ensuring Safety | Vaccine Safety | CDC

完了した研究、「チメロサール含有ワクチンの安全性: 電子化されたHealth Maintenance Organization(HMO)データベースの2段階にわたる研究」は、初期の研究結果の発表から3年後の2003年11月1日にPediatrics誌に掲載されました。研究の結論は次の通りです::

TCV(チメロサール含有ワクチン)と神経発達の結果との間には、一貫した有意な関連は認められませんでした。特定の結果について、異なるHMOで矛盾した結果が検出されました。相反する結果を解決するためには、様々な累積チメロサール暴露を受けた子供達の神経発達の評価を統一した研究が必要です。

Safety of Thimerosal-Containing Vaccines: A Two-Phased Study of Computerized Health Maintenance Organization Databases | Pediatrics | American Academy of Pediatrics (aap.org)

この研究は、すぐに反ワクチン・ロビイストから非難を浴びました。この批判を受け、Verstraeten氏は2004年に『Pediatrics』誌の編集者に手紙を出しました。以下に、その全文を掲載します:

(出典:2023/04/10 月曜日 21:38:03 UTCに取得されたSci-Hubのスクリーンショット)

研究の結論に対する立場がどうであれ、インスタグラムの投稿で主張されていることは誤りです。この研究はCDCによって隠蔽されていたわけでも、情報公開法の要求の一部として「最近入手された」わけでもありません。20年前から広く公開されていたものです。

CDC

CDCの広報専門家であるNick Spinelli氏は、4月10日にLead Storiesに送ったメールの中で、Instagramの投稿にある主張は誤りであると述べています。彼は次のように続けました:

ワクチンの接種と自閉症スペクトラム障害(ASD)の発症に関連性がないことは、研究によって繰り返し示されています。米国医学アカデミー(旧医学研究所)は、子供と大人向けの8種類のワクチンの安全性をレビューしました。このレビューでは、稀な例外を除いて、これらのワクチンは非常に安全であることが判明しました。更に、2013年に発表されたCDCの研究により、ワクチンがASDの原因にならないことを示す研究結果が追加されました。
2003年以降、CDCが資金提供または実施した9つの研究で、チメロサール含有ワクチンとASDの間に関連性がないことが判明しています。また、これらの研究では、麻疹・おたふく風邪・風疹(MMR)ワクチンと子供のASDの間に関連はないことが判明しています。特に、あなたが言及した2004年の科学的レビューは、「チメロサール含有ワクチンと自閉症との因果関係を否定する証拠の方が有力です」との結論を出しています。

Fact Check: CDC Did NOT Suppress Results Of Study On Safety Of Hepatitis B Vaccine In Infants -- Results Available For Decades | Lead Stories

COVID-19ワクチンに関連するその他のファクトチェックは、こちらでご覧頂けます。

更新情報:2023/04/10 00:37:CDCからの回答を追加

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