Stefan Lankaによる「ウイルス学への最終的な反論」の主張は、COVID-19ウイルスが存在しないことを証明するものではありません。

ちょっと古い記事ですけど、 #あたおか がまた蒸し返しているようですので、取り敢えずこの和訳をしておきます。数日中に今回の件のファクトチェック記事が出ると思います。

【和訳】

微生物学者Stefan Lanka(原文ではリンクがきちんと貼られていません)は、ウイルス学が科学的手法に基づかないことを証明しているでしょうか?いいえ、そんなことはありません。陰謀論者として知られ、論破された反ワクチン(⇦グロ注意)活動家は、ある実験が「ウイルス学が構築された理論に反する」という証拠を示さず、COVID-19ウイルスが存在しないことの証拠も示していないのです。

この主張は、2021年6月3日にBitChuteで公開された「ウイルス学の最終的な反論」と題する動画(アーカイブはこちら)として登場し、冒頭では次のように述べています。:

親愛なる友人の皆さん、こんにちは。今日はとても重要な歴史的出来事についてお話します。

https://editor.note.com/notes/nabb60bff4fc2/edit/

ソーシャルメディア上のユーザーは、このタイトルと説明文、サムネイルしか見ていません。:

BitChuteの動画の説明によりますと、この動画では、「自然療法士で研究者」であるEkaterina Sugakという女性が話しています。26分のビデオの中で彼女は、麻疹ウイルスやHIVは存在しないという誤った主張で信用を失ったLankaの主張を繰り返しています。ここで、彼はCOVID-19ウイルス、SARS-COV-2も存在しないと主張しています。

ビデオでは、「2021年4月21日の微生物学者Stefan Lankaのおかげで、ウイルス学が科学的手法に基づいていないことの反論の余地のない証拠を手に入れました」と、20分頃に述べています。

ビデオは50秒にウイルスの存在を証明する方法を主張しています。

  1. 分離、言い換えれば、病人からウイルスを抽出し、それを精製して、分離したものを手に入れる。

  2. 顕微鏡でウイルスを可視化し、写真を撮り、ユニークな生化学的構造として特徴づける。ゲノムの塩基配列を決定し、どのタンパク質からできているかを調べる。

  3. 精製したウイルスを実験用の宿主に移し、病気を引き起こす。

これらのステップを過剰に踏めば、はじめてウイルスが存在し、病気を引き起こすことを証明することが出来ます。

4分34秒で、ビデオはこれらのステップが 《COVID-19という1年半前の話 》では一度も取られていないと主張しています。

ウイルスが存在しないという研究の主張は、《冷静に現実を否定する精神科医 》と題する記事で論破されています。この記事はLankaには触れていませんが、なぜその説が誤りであるかを説明しています。

4:40に動画の主張があります。:

SARS-CoV-2が分離されたとする膨大な数の出版物のタイトルにも関わらず、実際には、これは決して行なわれませんでした。

https://www.mcgill.ca/oss/article/covid-19-pseudoscience/psychiatrist-who-calmly-denies-reality

CDCによりますと、ウイルスは分離され、ウイルスの検査の手順と方法はウェブサイトに記載されています。

CDCにおけるSARS-CoV-2ウイルスの培養について
2020年12月29日更新

  • COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2は実験室で分離され、科学・医学界の研究用に提供されています。

  • CDCがSARS-CoV-2について実験室で研究し学ぶ世界的な取り組みを支援した重要な方法の1つは、ウイルスを細胞培養で増殖させ、広く利用出来るようにすることでした。科学・医学界の研究者は、この作業で得られたウイルスを研究に利用することが出来ます。

タイムライン

  • 2020年1月20日、CDCは、米国で初めて報告されたSARS-CoV-2に感染した患者から採取した臨床検体を受領しました。CDCは直ちにこの検体を細胞培養に入れ、研究用に十分な量のウイルスを増殖させました。

  • 2020年2月2日、CDCは細胞培養で増殖したSARS-CoV-2を十分に生成し、医学・科学研究者に配布しました。

  • 2020年2月4日、CDCはSARS-CoV-2をBEIリソースリポジトリに出荷しました。

  • このウイルス検体の分離と特性について論じた記事がEmerging Infectious Diseasesに掲載されています。

以下は、その論文の要旨である。:

中国の武漢で発生した肺炎の病因は、2020年1月に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2であることが確認されました。米国では2020年1月20日にワシントン州とCDCからこのウイルスに感染していると診断された患者がいました。我々は、この患者の鼻咽頭および口腔咽頭検体からウイルスを分離し、ウイルス配列、複製特性、細胞培養トロピズムの特徴を明らかにしました。その結果,トリプシン非存在下でVero-CCL81細胞およびVero E6細胞においてウイルスが高力価で複製されることを見出しました。また、このウイルスを2つのウイルスレポジトリに寄託し、公衆衛生および研究コミュニティが広く利用出来るようにしました。この試薬へのオープンアクセスにより、医療対策の開発が促進されることを期待しています。

https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/6/20-0516_article

動画の注釈 Lanka「...対照実験を行ないました。彼はどんな結果を得たと思
いますか?John Endersと同じです。感染性物質を加えず、抗生物質の大量投与や栄養状態の低下など、同じ条件で細胞培養を行ったところ、全く同じ細胞障害作用が起こりました。」

19分54秒、「実験」の証明はなく、ただ「ウイルスは存在しない」という主張がなされています。:

この実験は、ウイルス学が構築されている全ての理論を否定するものです。ウイルスが存在し、病気を引き起こすという説はこれで完全に否定されました。 これらの実験は、ウイルス学者が組織サンプルにウイルスが存在する証拠と呼ぶものは、実験室での実験の条件そのものによって引き起こされる結果に過ぎないことを示しています。決して存在しないウイルスが原因ではないのです。つまり、もしSARS-CoV-2ウイルスが存在せず、そしてそれが科学的に確実に証明されたならば、それは次のことを意味します:ウイルス構造も #スパイク・プロテイン も存在しない。

Lankaの主張は、細菌説の否定として知られており、COVID-19だけでなく他の病気でも否定されています。

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