【酷い捏造】動画にはサッカー選手であるクリスティアーノ・ロナウド氏がパレスチナ人への支援を表明する姿は映っていません。

イスラエルが、ガザを拠点とするハマス過激派による前代未聞の攻撃に対して、パレスチナ領土への容赦ない砲撃で報復する中、何人かの有名人が、双方で何千人もの犠牲者を出している紛争について発言しました。しかしながら、TikTokで数百万回再生された動画では、サッカーのスーパースター、クリスティアーノ・ロナウド氏がパレスチナ人への支援のジェスチャーとして記者会見からコカ・コーラのボトルを取り除いている様子は映っていません。2021年6月、ロナウド氏がメディアに向かって話す前に、水を好むことを表明している様子が映っているだけです。

「コカ・コーラを私の前に置かないでくれ、私はそれがユダヤ人の製品だと知っているからだ」と、2023年10月16日にシェアされたTikTokの動画にインドネシア語で書かれています。

これは、現在サウジアラビアのチーム、アル・ナスルでプレーしているポルトガルの偉大なサッカー選手の言葉として紹介されています。

動画では、彼がコーラの瓶2本をカメラの視界から外し、水の入った瓶と取り替えています。ソフトドリンクのボトルにはイスラエルの国旗が重なり、水のボトルにはパレスチナの国旗が浮かんでいます。

ロナウド氏の声は聞こえませんが、彼の唇が動くと、頭の上に吹き出しが重なり、「パレスチナ」と表示されます。

ビデオの英語字幕は、「ロナウドがパレスチナを語る」となっています。

この21秒の映像は980万回以上再生されています。

2023年10月30日に取得されたデマ投稿のスクリーンショット

この動画は、TikTokの他の場所(こちらこちらこちら)でも同様の主張と共に掲載された後、5,200回以上再生されました。

同様の投稿は英語マレーシア語スペイン語でも拡散されました。

この投稿がアップロードされたのは、2023年10月7日にハマスの武装集団がイスラエルとの国境を越えてガザを襲撃し、この地域を戦火に巻き込んだ奇襲攻撃の数日後のことでした。

イスラエルによりますと、武装勢力は1,400人以上(その大部分は民間人)を殺害し、220人以上を人質にとったということです。

ハマスが支配するガザ地区の保健省によりますと、史上最悪の攻撃に対し、イスラエルは一連の空爆でガザ地区の近隣を空爆し、8000人以上のパレスチナ人を殺害したとのことです。

AFP通信によりますと、Bono、Gigi Hadid、Madonna、その他多数の有名人がこの暴力に恐怖を表明しているとのことです。

ロナウド氏の映像に対するコメントから、一部のTikTokユーザーは彼のジェスチャーが紛争に関連していると考えていることが伺えます。

「クリスティアーノ・ロナウド氏に最大限の敬意を」、「パレスチナを支援するのにイスラム教徒である必要はない」とコメントしている人も居ました。

別の人は次のように言っています:「私はこのクリスティアーノ・ロナウド氏の声明に敬意を表します」

TikTokユーザーのコメントのスクリーンショット

しかしながら、この出来事が起こったのは、現在中東で暴力が再燃している2年以上前のことであり、ロナウド氏がイスラエルとパレスチナの紛争について言及することは全くありませんでした。

ユーロ2020記者会見

動画のキーフレームを使ってGoogleで逆画像検索したところ、この映像は2021年6月14日に撮影されたことが判明しました。

オリジナルの映像は、こちらの英国の新聞The TelegraphのYouTubeチャンネルを含む様々なメディアにより共有されています(アーカイブリンク)。

この映像は、COVID-19の流行により1年延期となったブダペストでのユーロ2020大会の記者会見に臨むロナウド氏とポルトガル代表監督のフェルナンド・サントス氏を映したものです。

記者会見はポルトガルの開幕戦、ハンガリー戦の前に行なわれました。

書き込みにあるように「パレスチナ」と言う代わりに、ロナウドはポルトガル語で水を意味する《agua》と言い、コーラよりも天然の水を選ぼうとしただけのように見受けられます。

イスラエルやパレスチナ人、ユダヤ製品と思われるものについての言及は一切ありません。

アナリストによりますと、ロナウド氏の行動は、スポーツスターが自分の価値観に合わないスポンサーの製品を拒否する傾向が強まっていることを示していると言うことです。

以下は、デマ投稿の動画(左)とThe Telegraphの本物の動画(右)とのスクリーンショット比較です:

デマ投稿の動画(左)とThe Telegraphの本物の動画(右)とのスクリーンショット比較

コカ・コーラ社はアメリカの多国籍企業であり、株式公開されているので、世界中の何千という株主や投資家によって所有されています。同社のオーストラリアのウェブサイトによりますと、世界最大の株主は米国の実業家ウォーレン・バフェット氏だということです。

30年以上にわたり、バフェット氏は自身の投資会社バークシャー・ハサウェイを通じて、コカ・コーラ社の6%から10%を所有しています(アーカイブリンクはこちらこちら)。

AFP通信は、ロナウド氏がイスラエルとパレスチナの紛争に関与しているという他の主張についても、こちらこちらこちらこちらで論破しています。

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