【Pants on Fire!】査読付き論文で『FauciがCOVID-19を作った』と掲載している物は見つかりませんでした。

【主張】

  • 「査読付き論文」は「FauciがCOVID-19を作った」ことを示している。

【お時間の無い方向け要約】

  • 10月20日に掲載されたプレプリント論文で、SARS-CoV-2は自然発生ではなく、合成であることが示唆されました。

  • この研究は査読を受けておらず、査読のない論文の公開を募っている無料のウェブサイトに掲載されたため、科学界の多くの人々から批判を浴びています。

  • この研究では、国立アレルギー・感染症研究所の所長で、Joe Biden大統領の首席医療顧問であるAnthony Fauci博士については触れられていません。

【レビュー】

COVID-19のパンデミックが発生し、100万人以上のアメリカ人の命を奪ってから2年以上が経過しましたが、あるInstagramの動画では、新しい研究により、その全てがアメリカの感染症専門家であるAnthony Fauci博士によって作られたことが明らかになったと主張しています。

10月24日のInstagramの投稿に登場した動画クリップのサイロンには、「FauciがCOVID-19を作った」と表示されています。動画には、極右のトークショー司会者であるStew Petersが映っています。 投稿のキャプションには、「査読付き論文は、我々が言ってきたことの正当性を証明した。それは人工の生物兵器であり、『呼吸器ウイルス』ではない」と書かれています。

この投稿は、ニュースフィード上の偽ニュースや誤報に対抗するためのプラットフォームの取り組みの一環として、Metaによってフラグが立てられました。(FacebookとInstagramを所有するMeta社とのパートナーシップについてはこちらをご覧下さい。)

この動画クリップは、Petersの番組の10月24日のエピソードに由来し、番組のInstagramページで共有されました。Petersは、COVID-19に関する #陰謀論 #デマ吐き反ワクチン#暴言 を繰り返している過去があります。

元の動画でPetersは、最近出版された学術研究のプレプリントを出典として指摘しています。Petersはそれが「査読済み」であるという主張を繰り返しましたが、プレプリントは査読を受けていないことを意味しています。10月20日に論文が掲載されたウェブサイトのトップには、「bioRxivは多くのCOVID19関連論文を掲載しています。注意:これらは正式な査読を受けていないため、健康に関する行動の指針にしたり、決定的なものとして報道したりしてはなりません」と記されています。

「エンドヌクレアーゼの特徴からSARS-CoV-2の合成起源が判明」 と題されたこの論文は、自身のLinkedInページで「微生物科学イノベーションのベンチャー企業」と説明しているSelva社をニューヨークに設立したAlex Washburne、デューク大学の薬学准教授Antonius VanDongen、ヴュルツブルク大学の分子免疫学を専門とするドイツの科学者 Valentin Bruttelによって執筆されたものです。

研究者達は、体外ゲノムアセンブリと呼ばれる方法を用いて「合成ウイルスに典型的な特徴」を示すと思われるパターンに気づいたと記しています。

「この制限部位に関する特徴やそれを生み出す突然変異のパターンは、野生のコロナウイルスでは極めて稀であり、合成ウイルスではほぼ普遍的なものであり、我々の発見は、SARS-CoV2が合成ウイルスに由来することを強く示唆するものである」と、その論文では述べています。

このプレプリントには、国立アレルギー・感染症研究所の所長で、Joe Biden大統領の首席医療顧問であるFauci氏については触れられておりません。

この論文には、 多くの人々 から 批判が寄せられています。

「科学には多くの『誤り』がありますが、このプレプリントは『偽り』です」と、ジョンズ・ホプキンス公衆衛生大学院の微生物学者であるAlex Crits-Christoph氏はTwitterのスレッドのトップに書き、彼がこの研究の欠陥分析として見たものを並べ立てました。論文に書かれている研究は、その結論を裏付けるものではなかったとCrits-Christoph氏は言います。

ディーキン大学の疫学准教授であるHassan Vally氏は、この論文は論理的な根拠がないとニューズウィーク誌に述べています。

「この論文の論理には欠陥があるように思われますが、その理由はウイルスを製造するために全ゲノムを一つ一つ縫い合わせなければならないからです」とVally氏は述べています。「私には、これは意味不明です。もし、著者らが主張するようなことが起こったのなら、ほとんど無傷のウイルスゲノムに少量の製造された遺伝物質を挿入するはずで、ゲノムを細かく分割して組み立てる必要はないはずです。これは理にかなっておらず、この論文とその解釈の背後にある論理の根本的な欠陥を指摘しています。」

プレプリントの著者のうち、WashburneとVanDongenの二人は、ウイルスが中国の武漢の研究所から逃げ出したという説を押し出しています、とThe Economistは報じています

科学者らは2年以上にわたって、SARS-CoV-2の起源について議論し研究してきました2月に発表された2つの大規模な研究は、人間にCOVID-19を引き起こすウイルスが研究室ではなく、2019年末に中国の武漢の海鮮市場で発生したことを示唆する詳細な証拠を提示しました。

【評定】

インスタグラムの投稿と動画で、「査読済み」研究によってFauci氏がCOVID-19を作成したことが判明したと主張しました。

証拠として引用された論文は、ウイルスの起源が合成であった可能性を示唆する非査読論文です。この論文ではFauci氏のことは触れておらず、論理と分析に欠陥があるとして批判されています。

我々はこの主張をPants on Fireと評価します。

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