ウクライナのナショナリストの本部で、NATOのノートパソコンが発見されたことを示す証拠はありません。

【和訳】
ウクライナのナショナリストの本部で、NATOラベルのついた情報満載のノートパソコンが発見されたのですか?いいえ、それは違います。NATOはLead Storiesに、このユニットは何年も前に売却された古い余剰ラップトップの1つで、売却される前に全ての機密ファイルが削除されていたものと思われる、と語りました。これとは別に、新興の安全保障課題を担当するNATO事務次長のDavid van Weel氏は2022年3月6日、「NATOは15年前のラップトップでは仕事をしません」とツイートしています。

この主張は、ロシア国営のSputnik Newsが2022年3月6日に掲載した「NATOラベルの情報付きノートパソコンがウクライナ民族主義者の本部で発見されたとDPRのトップが発言」という記事(アーカイブはこちら)にも掲載されています。書き出しは以下の通り:

これに先立ち、ロシアは、ウクライナ軍による度重なる領内への砲撃を受けて、当局がモスクワに支援を訴えたドンバス人民共和国ドネツクとルガンスクの市民を保護するため、ウクライナで特別軍事作戦を開始しました。
右翼セクター*(ウクライナ・ナショナリスト)の本部の一つで、情報データが入ったノートパソコンが発見されました。ドネツク人民共和国(DPR)代表のDenis Pushilinは日曜日に、このコンピューターにはNATOのライセンス登録番号があるとされる、と述べました。

https://sputniknews.com/20220306/nato-labelled-laptop-with-intelligence-found-at-ukrainian-nationalists-hq-dpr-head-says--1093639199.html

2022年3月7日、Sputnikのウェブサイトでは以下のような記事になっていました。:

(Source: Facebook screenshot taken on Mon Mar 7 18:21:10 2022 UTC)

2022年3月7日、Lead Storiesへの電子メールで、NATOは、ビンテージのLenovo ThinkPad R500ラップトップに関するレビューが進行中であると述べています。:

最初の調査結果では、このコンピューターは数年前に標準的な手続きに従って余剰品として売却されたものです。売却された時、コンピュータに機密ファイルはなかったはずだとのことです。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/03/fact-check-no-evidence-nato-laptop-with-intelligence-found-at-headquarters-of-ukrainian-nationalists.html

Sputnikの記事に加え、このラップトップの画像はソーシャルメディアで広く共有され、ツイッターでは以下のようなものも見られました。:

NATOの(David) van Weel氏は、NATO、米国、欧州連合がロシアとの戦争を強制していると非難したオランダの政治家、Thierry Baudet氏による投稿のリツイートに応えて以下のように述べました。 :

英訳しますと、van Weel氏の2022年3月6日のツイートは以下のようになります。:

いいえ、我々はNATOで15年前のラップトップで仕事をしていませんよ、 @thierrybaudet さん。もしそうなら、ウクライナとその無実の市民に対するロシアのこの戦争において、あなた方と同じように悪い情報しか持っていないことになりますから。

https://twitter.com/davidvanweel/status/1500564253400576001?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1500564253400576001%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fleadstories.com%2Fhoax-alert%2F2022%2F03%2Ffact-check-no-evidence-nato-laptop-with-intelligence-found-at-headquarters-of-ukrainian-nationalists.html

Sputnik Newsは、ロシアのメディアグループ"Rossiya Segodnya"が2014年11月に設立したロシア国営の通信社です。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻の直後、Facebook、Google、Apple、Microsoftなどのハイテク大手は、クレムリンに支配されたメディアの報道範囲を制限する動きを見せました。これは、2022年3月2日にNPRが報じたものです。

グーグルは、グーグルニュースサービスからロシアの国営メディアを追放しました。フェイスブック、インスタグラム、ツイッターは、クレムリン系の報道機関からの投稿を見つけにくくしています。TikTok、YouTube、Facebookは、ヨーロッパ全域でRT(旧称Russia Today)とSputnik Newsというロシアの2大マスコミをブロックしています。アップル、グーグル、マイクロソフトはそれぞれのアプリストアから彼らのアプリを引き上げました。

https://www.npr.org/2022/03/01/1083824030/techs-crackdown-on-russian-propaganda-is-a-geopolitical-high-wire-act

ロシアのプーチン大統領は2022年2月24日、ウクライナへの軍事行動を発表しました。その際、この行動は同国とその指導者を「脱ナチ化」するために行なわれると述べました。ウクライナのナショナリストの中には、極右団体と関係している者もいます。

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