ルーヴル美術館の「豊穣の神像」の写真が「カアバのアッラー像」として改竄されています。

世界中のイスラム教徒が毎年恒例のハッジ巡礼の準備を進める中、イスラム教の最も神聖な場所であるカアバにアッラー像があると捏造した編集写真がFacebookに投稿され、話題となりました。しかしながら、イスラム教はこのようなアッラーの表現を禁じており、カアバ内部を360度見渡したところ、そのような像は存在しないことが確認さ れました。元の写真は、パリのルーヴル美術館にある豊穣の神バアルを描いた像です。

2024年5月6日、「カアバ内部のアッラー像」というタイ語のFacebookの投稿が捏造された画像をシェアしました。

カアバとは、メッカの大モスクの中心にある黒い立方体の建物のことです。イスラム教で最も神聖な場所であり、イスラム教徒は祈りを捧げる時にその方を向きます。

写真は、台座の上に立つ右腕が2本ある角のある像を示しています。

2024年6月17日に取得された、虚偽の主張を共有するFacebook投稿のスクリーンショット

この画像は、今年180万人のイスラム教徒が参加した、イスラム教の5本柱のひとつであるメッカへのハッジ巡礼を前に、Facebook上で公開されました。

ルーブル美術館の彫像

しかしながら、この写真はカアバではなく、パリのルーブル美術館に展示されている同様の像の写真を元に捏造されたもののように思われます。

Googleの逆画像検索とキーワード検索で、豊穣と天候の神バアルに関する世界史百科事典の記事に写真が掲載されていることが判明しました(アーカイブリンク)。

2024年6月11日に取得されたバアル像の画像のスクリーンショット(FS)

この写真は、本名をMarie-Lan Taÿ Pamart氏という写真家、Jastrow氏の作品としてクレジットされています。

Taÿ Pamart氏はAFPの取材に対し、ルーヴル美術館のバアル像を撮影したことを認めています。

また、彼女はこの画像を2006年にウィキメディア・コモンズに投稿しています(アーカイブリンク)。

ルーヴル美術館のウェブサイトでは、バアル像は1934年にシリアで発見されたと紹介されています(アーカイブリンク)。

以下は、AFP通信が強調表示を付加した画像(左)とTaÿ Pamart氏の写真(右)のスクリーンショットの比較です:

AFP通信が強調表示を付加した画像(左)とTaÿ Pamart氏の写真(右)のスクリーンショット比較

更に、カアバ内部の写真にはそのような像は写っていません。

Islamticsのウェブサイトに掲載されたカアバ内部の360度写真には、捏造された写真と同じ台座と柱が写っていますが、そこには彫像はありません。

6月11日に取得されたカアバの360度ビューを描いた投稿のスクリーンショット(FS)

以下は、捏造画像(左)と、カアバの360度ビューから同じ場所をミラーリングした画像(右)のスクリーンショット比較です。

捏造画像(左)と、
カアバの360度ビューから同じ場所をミラーリングした画像(右)とのスクリーンショット比較

イスラム教はアッラーの画像や彫像を禁じています。
➡イスラム教で偶像崇拝が禁忌って常識じゃないかなあ?

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