【あたおか】武漢での5G導入は、コロナウイルスのパンデミックを引き起こすことも、世界的な広がりを促進することもありませんでした。

中国の武漢は5G技術が「普及」した最初の都市で、この無線通信ネットワークがCOVID-19の発生と拡散を促進したのでしょうか?いいえ、そんなことはありません:電気通信の専門家がLead Storiesに語ったところによりますと、この主張に対する信憑性のある証拠は存在しないとのことです。武漢の5G技術展開のタイミングとコロナウイルスの流行は偶然であり、本書の時点では直接的な因果関係は立証されておりません。

5GがCOVID-19を引き起こし、その拡散に影響を与えたという主張は、2020年以降、ソーシャルメディア上で世界的に流布するパンデミック関連の #誤報 の中心となっています。この考え方は、2022年12月5日にInstagramで共有された動画で再登場しました。動画では、正体不明の司会者がカメラに向かって次のように語っています:

あなたは、全世界で最初に5G技術で覆われた都市は、2019年に中国の武漢だったことをご存知ですか?5Gは本当に速く、その症状は我々が言い尽くせないほどのワードを模倣することが出来ます ...

https://www.instagram.com/reel/Clxq4cEAP0-/?utm_source=ig_embed&ig_rid=27d23f73-fb4e-4c80-a381-4da3a8e8be03 

動画に添えられたキャプションには以下のように書かれていました:

中国の武漢は、2019年に5G技術を完全に導入した最初の都市となった。人間は、この放射性マイクロ波に耐えられるものではない。自分で調べてみて。あの鉄塔の近くにはいられない。自然が唯一の道なのだ。かつて愛したパソコンや携帯電話を片付けよう。#bigtech #manvsmachine #thematrixisreal ⚡️ 📞 ... 絶望的な気分にさせたくない、最後には神が勝利を与えてくれる。私は信じている。神のご加護を。おやすみ。#wuhanchina #5gtowers

https://www.instagram.com/reel/Clxq4cEAP0-/?utm_source=ig_embed&ig_rid=27d23f73-fb4e-4c80-a381-4da3a8e8be03 

以下は、このファクトチェックの執筆時の投稿のスクリーンショットです:

(出典:2022/12/08 水曜日 22:05:07 2022 UTCに取得されたInstagramのスクリーンショット)

5G通信技術がコロナウイルスのパンデミックを深刻に悪化させた、或いは引き起こしたという考えは、信頼性の高い科学者や機関によって「全く根拠のない」主張とされ、国連によって「技術的根拠のないデマ」と表現されています。

Martin Sims氏は、欧州委員会が支援する5G市場追跡サイト《European 5G Observatory》を制作する企業の1つ、PolicyTrackerのマネージングディレクターを務めています。2022年12月7日にLead Storiesに寄せられた電子メールで、Sims氏は、5GがCOVID-19の大流行を促進したという主張には根拠がないと述べました。更に、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)や英国政府といった正規の機関も、この説を論破していると付け加えました。

その中でICNIRPは以下のように述べています:

これらの主張はいかなる証拠にも裏付けられておらず(極めて弱い証拠ですらない)、5Gに関連する電磁波に関する多くの科学的知識は、これらの主張が実現不可能であることを実証しています。5G機器からのEMF(電磁波)曝露はCOVID-19の原因とはならず、COVID-19の原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した人の疾病過程や健康状態に影響を与えるものでもありません。WHOが説明しているように、コロナウイルスに感染するには物理的に接触する必要がありますが、5Gからの電磁波はウイルスを運ぶことが出来ませんから、ウイルスに接触させることは出来ません。

https://www.icnirp.org/en/activities/news/news-article/covid-19.html 

5G技術とは?

5G技術とは、第5世代の無線携帯電話通信技術のことで、米国連邦通信委員会は、この技術を使って、以前のバージョンよりも高速かつ大規模な情報の共有と転送が可能になると報告しています。5Gを採用する携帯電話やその他のスマートデバイスは、FMラジオやAMラジオで使用されているような周波数帯を越えて接続するために中継局を使用すると、マサチューセッツ州のウスター・ポリテクニック研究所は指摘します。米国癌協会では、5Gはマイクロ波や可視光線のような非電離放射線であり、人間のDNAの化学結合を破壊するガンマ線やX線のような強い(電離)放射線とは異なるとしています。

中国の5G技術の導入状況

2019年8月、中国政府は多くの場所で5G技術が展開されたと表明しましたが、英国のファクトチェック機関であるFull Fact報じましたように、武漢が中国で最初の都市であったかどうかは不明です。

当時の報道では、武漢は中国で初期の5Gの試験と導入が行なわれた「最初のパイロット都市」の1つであると示唆されていました。中国政府は2019年11月1日のニュースリリースで、中国の3大携帯電話事業者である中国移動、中国聯合、中国電信によって、10月31日に北京、上海、広州、深セン等50都市で8万6000の基地局が立ち上げられたと発表しました。当時、「世界最大級の『5Gネットワーク』」と称されたとBBCは報じています。

5Gは人間の健康に影響を与えるか?

2021年の既存文献の調査レビューでは、COVID-19と5Gを含む無線通信による高周波放射線、即ち無線通信放射線(WCR)への曝露との間に関連性がある可能性が示唆されました。しかしながら、このレビューは、5Gの曝露に関する実験データへのアクセスや、調査を行なった研究における一貫性のない報告等、多くの要因によって制約がありました。

「これは見解の分かれるところであり、1つの論文が証拠となるわけではありません」と、PolicyTrackerのSims氏はLead Storiesに語っています。「私は、この論文で提示された証拠の質に大きな懸念を抱いています。--それは大多数の研究を代表するものではありません。」

著者ら自身が、今回の知見は5GとCOVID-19の因果関係を証明するものではないと述べています:

CDCを含む疫学者は、ある病原体の毒性を評価し、その病原体が病気を広げて引き起こす能力を理解する際に、複数の原因因子を考慮します。最も重要なのは、これらの変数に環境的な補因子と宿主の健康状態が含まれていることです。ここに要約した文献から、WCRへの曝露によるいくつかの健康への悪影響とCOVID-19の臨床経過との間に関連がある可能性が示唆さ れ、WCRは宿主を弱らせCOVID-19疾患を悪化させることによって、COVID-19パンデミックを悪化させた可能性があることが分かりました。しかしながら、ここで論じた観察は、いずれもこの関連性を証明するものではありません。具体的には、因果関係を確認するための証拠はないのです。COVID-19が無線通信の少ない地域で発生することは明らかです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8580522/ 

通信技術を扱う国連の機関である国際電気通信連合は、「コロナウイルスの感染と4Gや5G、その他の電磁波との間には、いかなる科学的根拠もありません」と強調しています。

他の信憑性のある国際機関による5Gに関する研究も、この技術が人間の健康全般に悪影響を及ぼすという考え方を否定しています。

欧州委員会は2、5Gの放射線への曝露レベルは以前のネットワークと同様であると2019年から主張しています。同機関が2020年6月に指摘したように、COVID-19は5Gの設置がない国でも広がっています。

2020年2月のQ&Aで、WHOは「無線技術への曝露と因果関係のある健康への悪影響はない」と報告しています。その高周波への「全体的な曝露」が「国際的なガイドラインを下回るままであれば、公衆衛生への影響は予測されない」とWHOは記しました。

最近では、Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiology誌に掲載された2021年のレビューで、「5Gネットワークで使用されているような6GHz以上の低レベル無線周波数は、人間の健康に有害であるという確証は得られなかった」と報告されています。

「科学的研究は、5Gや他のモバイル世代での携帯電話使用による健康への悪影響がないことを圧倒的に示唆しています」と、Sims氏はLead Storiesに語っています。

ワイヤレス通信技術に関する主張に対するLead Storiesのその他のファクトチェックは、こちらでご覧頂けます。

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