新たな研究はPfizer社のmRNA COVID-19ワクチンが「ターボ癌」を誘発することの根拠にはなりません。
新しい研究は、「Pfizer社のmRNA COVID-19ワクチンが『ターボ癌』を引き起こす」ということを証明しているのでしょうか？いいえ、それは違います： ソーシャルメディアの投稿に引用されている研究は、Pfizer社のmRNA COVID-19ワクチンが「ターボ癌」と呼ばれるものを誘発することを証明しているわけではありません。加えて、ある癌の専門家は、「ターボ癌というものは存在しません」と書いています。それは医学用語として認められていません。
この主張は、2023年7月7日に公開された「🚨ターボ癌： 新たな研究でPfizer社のmRNAがターボ癌を誘発したことが証明された」とタイトル付けられたツイッター上の投稿（アーカイブはこちら）で登場しました。投稿のキャプションは次の通りです：
Sander Eensらによるベルギーの新しい研究では、14匹のマウスに2種類のPfizer社製COVID-19 mRNAワクチンを注射した。
2回目のPfizerワクチン投与2日後、1/14匹（7％）のマウスが突然死し、肝臓、腎臓、脾臓、肺、腸といった多くの臓器にリンパ腫が浸潤したターボ癌を発症した。
このターボ癌マウスは、突然死するまでは病気の臨床症状を示さなかった。
これは、Pfizer社のmRNAワクチン接種後にターボ癌を示した2例目の研究である。
これらの研究は、Pfizer社とModerna社がマウスで実施すべきであったが、実施しなかったものである。
キーポイント：この14匹のマウスによる研究は、何億人もの人々に投与されたCOVID-19オミクロン2価mRNAブースター注射を承認するために実施されたたった8匹のマウスによる研究よりも大規模であった：https://ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/P
執筆時のツイッターでの投稿は以下のようなものでした：(センシティブな画像が添付されていますので、苦手な方は以下をクリックしないで下さい)
https://leadstories.com/assets_c/2023/07/turbo%20cancer%20tweet-thumb-900x1575-3115549.png(⇦出典: 2023/07/10 月曜日 17:04:25 UTCに取得されたTwitterのスクリーンショット)
問題となっている研究
投稿に引用されている研究「BALB/cマウスにおけるBNT162b2 mRNAブースター静注後のB細胞リンパ芽球性リンパ腫： 症例報告」では、「ターボ癌」と呼ばれる疾患については一切 言及されていません。加えて、この研究がPfizer社のCOVID-19ワクチンとガンとの関連性を示すことは決してありません。この研究では、ワクチンが癌を引き起こすことを証明することは不可能であると、三度に渡って述べられています（文字強調は弊社によります）：
１．悪性リンパ腫の発生は、そのような稀な有害事象の一つとして懸念されていますが、潜在的に関与しているメカニズムの理解はまだ不十分です。
２．COVID-19に関連した入院と死亡を減少させることに成功し、世界中で130億回以上接種されたことは議論の余地がないにも関わらず、COVID-19ワクチン接種に関連した様々な有害事象が一般集団の間で報告されてきました。mRNAのCOVID-19ワクチン接種後に悪性リンパ腫が出現したことは、そのような稀な有害事象の一つとして懸念されていますが、因果関係の証拠や潜在的に関与しているメカニズムの深い理解は不足しています。
３．SARS-CoV-2のmRNAワクチン接種とリンパ腫の発生または進行との因果関係を証明または反証する強力な証拠はありませんが、類似症例の良心的な報告と、前述の関連を説明しうる作用機序の更なる調査により、警戒する必要があります。
Pfizer社
2023年7月10日、Lead Stories社への電子メールで、Pfizer社の国際広報部は、ソーシャルメディアへの投稿の主張に対して、次のような声明を発表しました：
国際的な規制当局並びに弊社独自のモニタリングシステムによる継続的な安全性監視システムを実施した結果、本ワクチン（COVID-19ワクチン）と癌との因果関係を示唆するような事象は認められませんでした。ワクチンの安全性はこれからも引き続きPfizer社及びBioNTech社にとって最優先事項であり、たとえ稀なことであってもあらゆる事象が考慮されます。
現在までにPfizer-BioNTech社製COVID-19ワクチンを数億人に接種しており、当社のワクチンのベネフィット・リスク・プロファイルは依然として良好です。
米国CDC
米国CDCのDave Daigle報道官は2023年7月10日にLead Storiesに宛てた電子メールで、このクレームに対する公衆衛生局の回答を発表しました。それによりますと：
現在までのところ、米国CDCは、COVID-19ワクチンが癌の原因あるいは一因となっていることを示すような、予防接種後の癌の異常なあるいは予期せぬパターンを検出していません。米国CDCは引き続き、対象者全員が予防接種を受けることを推奨しています。
米国CDCは、生後6カ月以上の全ての人が最新のCOVID-19ワクチンを接種すべきであると述べています。
「ターボ癌」とは何ですか？
ウェイン州立大学医学部がん生物学プログラムの外科腫瘍医David Gorski博士は、2022年12月19日にScience-Based Medicine誌に掲載された論文「COVID-19ワクチンは『ターボ癌』を引き起こすか」において、「ターボ癌」という概念を否定しました。彼は次のように述べています：
ここ数カ月間、反ワクチン接種者達は、COVID-19ワクチンが「ターボ癌」を引き起こし、特に攻撃的で急速に成長する種類の癌（または癌の再発）が、若年層の患者で診断されると主張してきました。「ターボ癌」は存在しませんし、引用されている証拠も、逸話や疫学の誤った解釈といった、反ワクチンな人が「証拠」と言い張る物と同じくらい弱いものです。
スローン・ケタリング記念癌センター
スローン・ケタリング記念癌センターは、mRNAワクチンが癌を引き起こす可能性があるという考えは神話であるとしています。同病院のウェブサイトには次のように書かれています：
どのワクチンもDNAと相互作用したり、DNAを変化させたりすることはありません。
メッセンジャーRNA（mRNA）はDNAとは異なり、DNAと結合して遺伝暗号を変えることは出来ません。mRNAワクチンが実際に機能するのはここからです：
mRNAワクチンは、コロナウイルスの遺伝コードの極一部を使い、感染した場合に免疫反応を引き起こすタンパク質の作り方を免疫系に教えます。mRNAは壊れやすく、あなたの細胞にSARS-CoV-2に対する抗体を作るように命令を伝えます。mRNAは細胞の核（DNAが入っている部分）には入りません。
そのため、mRNAワクチンが腫瘍を抑制する遺伝子を不活性化するという俗説は成り立たないのです。
Lead Storiesによるワクチンに関するその他の主張のファクトチェックは、こちらでご覧頂けます。
更新情報：
本日11:01；ヘッドラインを元のバージョンに戻しました。
本日10:36；Lead Storiesの調査結果を明確にするため、見出しを修正しました。
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