映像は、オリンピック選手がセーヌ川で泳いだために嘔吐したことを映しているのではありません--彼の嘔吐の原因は気温の高さによるものです。

映像に映し出されたオリンピック選手の嘔吐は、パリのセーヌ川で泳いだことが直接の原因なのものでしょうか?いいえ、そんなことはありません。トライアスロン後に吐いている選手が映っているのは、セーヌ川ではなくパリの暑さのせいです。トライアスロンの前の数日間、川の水質は悪かったものの、そのせいでオリンピック選手が集団で病気になったという事実は存在しません。

この主張は、2024年7月31日のXへの投稿(アーカイブはこちら)で暗に示されていたものです。その投稿には、選手が川に飛び込み、別の選手が嘔吐する様子を映した動画が含まれており、病気の原因が川にあることを示唆していました。投稿のキャプションには次のように書かれていました: 

🇫🇷🚨‼️ LMAO: パリのセーヌ川で泳がせて、何が悪いんだ?

もう一つのオリンピックの傑作

web.archive.org/web/20240801230111/https://archive.ph/Fx92u

この投稿は、記事執筆時点ではXで以下のように表示されていました:

( 出典:2024/08/01 木曜日 14:18:23 UTCに取得されたXのスクリーンショット)

動画は2つの異なる競技をまとめたものとなっています。最初の映像では、水着に "SEREGNI" と "ITA" の文字が入った選手が映っており、最初の単語が水泳選手の名前の一部で、2番目の単語が所属チームのイタリアであることを表しています。Lead StoriesがGoogleを使って "Seregni Italy Olympics"を検索した所、トライアスロン女子でイタリアのオリンピック代表選手として出場したBianca Seregni選手(アーカイブはこちら)に関する情報が見つかりました。この映像では、Seregni選手と他の女子トライアスロン選手がセーヌ川に飛び込む様子(⇦版権の問題で日本では未公開)(アーカイブはこちら)が映し出されています。

2つ目の映像では、選手が吐いており、明らかに男子大会の映像であることが分かります。この動画では、2024年のオリンピックで撮影されたことを示す看板が地面に置かれています。Lead StoriesがGoogleを使って、"male athlete vomiting Olympics 2024"を検索した所、男子トライアスロンのTyler Mislawchuk選手が3段階ある競技(アーカイブはこちら)のランニングパートで吐いている映像の静止画が見つかりました。カナダ代表としてオリンピックに出場していたMislawchuk選手は、嘔吐の原因をセーヌ川の状態ではなく、パリの暑さによるものだと述べています(アーカイブはこちら)。また、持久系アスリートが競技中や競技後に嘔吐することは珍しくはありません(アーカイブはこちら)。

セーヌ川は水泳の場所として物議を醸しています(アーカイブはこちら)。男子トライアスロン大会は、川の水質が悪いという理由で延期されました(アーカイブはこちら)。Lead StoriesがGoogleのキーワードで検索した結果はこちらで、Xの主張を裏付ける信憑性のある文書や報道は見当たりませんでしたが、2024年7月31日に発行されたTime Magazineの記事(アーカイブはこちら)で、トライアスロンの選手たちがセーヌ川で泳いだ後にどのように感じたかを取り上げていました。記事には「下痢、胃けいれん、嘔吐といった症状が数時間後、数日後に現れる可能性がある」と書かれていましたが、この記事で取り上げられた選手達の中で、そのような症状が現れたという人は誰も居ませんでした。

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