Pfizer社は、ワクチン関連の健康被害の予想される増加に対応するため、2,400人の雇用を「隠していた」わけではありません。

【主張】

「ファイザー社がワクチン被害を扱う2,400人の正規雇用を隠蔽しようとしている」

【評定概要】

  • ファイザー社は有害事象の分析結果をFDAに提出し、FDAは公文書公開請求の一環としてこれを公開しました。

  • 有害事象は、ワクチンによる被害を検証したものではありません。一般市民は誰でも有害事象報告書を提出することが出来、提出後まで審査が行なわれません。

  • ファイザー社は、増加した有害事象報告書を処理するために、(前)より多くの人を雇いましたが、これは検証されたワクチン被害の損害賠償(数が増えたから)同等(に増やした訳)ではありません

最初に、OANが #DQN 団体であることは、

にてご確認下さい。

【レビュー】

2021年4月にFDAが公開したPfizer社のCOVID-19ワクチンの文書が、文脈から外れた形で取り上げられ続けています。今回は、同社が有害事象を管理するために雇った従業員に焦点が当てられています。

「Pfizer社はワクチン被害を取り扱う2,400人のフルタイム雇用を隠そうとした」と、保守系ケーブルニュースサービス、One America News Networkの動画は言っています。このクリップでは、宗教法人Liberty Counselの創設者Matt Staverが、「Pfizer社と FDAが結託してCOVID-19ワクチン被害の本当の規模を一般から隠した」と主張しています。

このクリップは、フェイスブックのニュースフィードにおける偽ニュースや誤報に対抗する努力の一環として、フラグが立てられました。(Facebookとのパートナーシップについてはこちらをご覧下さい。)

私たちは、Pfizer社がCOVID-19ワクチンの安全性情報を隠したという虚偽の主張をファクトチェックしたことがあります。この最新の主張は、Pfizer社がワクチン被害に対応するために雇用した従業員の数を隠したというものです。

我々は、Pfizer社の雇用がいつどのように報告されたかに焦点を当てますが、まず、ワクチンの「被害」についての説明は誤解を招くものです。Pfizer社のスタッフは有害事象の報告に対応しなければなりませんでしたが、これは検証されたワクチン被害とは異なります。有害事象は、それがワクチンによって引き起こされたという証明を必要とせず、誰でも提出することが出来ます。Pfizer社は有害事象報告書を処理するために従業員を増員しましたが、これは世界中で数百万本のワクチンをほぼ同時に投与することから予想される、検証されていない報告書の大量処理の需要に対応するためのものでした。

採用数の経緯

これらの主張にあるPfizer社の文書は、2020年12月1日から2021年2月28日までに収集されたCOVID-19ワクチンに関連する有害事象報告の2021年4月30日の分析結果です。2021年11月、有害事象報告に関する情報公開法(FOIA)の要請に応えたFDAは、Pfizer社の活動の詳細を編集してこの文書を公開しました。それらの詳細には、有害事象に対応する新規採用者、採用予定者の数字や、出荷された投与量の数字が含まれていました。

これらの数字はもともと、企業秘密や商業・財務情報などの特権や機密と見做される情報公開法の免責事項に該当するため、再編集されたものです。

情報公開請求を行なったのは、Public Health and Medical Professionals for Transparencyという団体で、その目的は「FDAがCOVID-19ワクチンを認可する際に依拠したデータを入手し、広めること」であるということです。そのメンバーには、COVID-19をめぐる 誤報を流したことで 知られる 人々が 多数 含まれています。(⇦日本語訳に際し、どうしてもハイパーリンク先が直訳英語と合いませんのでご容赦下さい。)

この団体が #DQN  であることは、

なる記事にてご確認下さい。

2022年4月、このグループは、人員配置の数字を含むPfizer社の活動の編集されていないバージョンを掲載しました。その後、編集されていない文書がいつ、何故公開されたのかをFDAに尋ねたところ、担当者は 「潜在的、係争中、進行中の訴訟についてコメントすることは出来ない」と答えました。この文書を公開した団体は、私達の問い合わせに回答していません。

これらの文書が情報公開請求によって公開されたからといって、Pfizer社やFDAが悪意を持って重要な情報を非公開にしたということにはなりません。FDAは、承認されるまで新薬の申請書の存在を開示することを法的に禁じられているからです。

FDAは2021年8月に16歳以上を対象としたPfizer社のワクチンを承認しました。

私たちがOANNに回答を求めたところ、彼らは「Pfizer社は有害事象を処理するために2,400人の従業員の雇用を隠そうとした」と題したLiberty Counselの削除されたプレスリリースをメールで送ってきました。彼らはまた、Pfizer社の文書について同様の主張を繰り返す陰謀論者Naomi Wolfのインタビューへのリンクも転送してきました。OANN は電子メールの中で、Wolfと彼女のチームが最初の情報公開請求書を提出したことを指摘しましたが、彼女はthe Public Health and Medical Professionals for Transparencyのウェブサイトにはメンバーとして掲載されていません。

Pfizer社は、このファクトチェックのために記録可能なコメントを寄せてくれませんでした。

有害事象の報告件数の増加

製薬業界全体の有害事象報告件数は、VAERSのような有害事象報告システムに対する社会的認知の高まりもあり、パンデミック以前から既に増加していました。

ファーマコビジランスソリューション企業のMyMeds&Meによる2020年11月の白書では、COVID-19ワクチンキャンペーンにより、製薬業界全体の有害事象報告件数が大幅に急増すると予想されています。COVID-19ワクチンに対する国民の関心が高まっていること、多数の人が同時に接種されることを挙げています。

Pfizer社の文書にあるように、有害事象報告は受領後、手作業で確認されます。同文書では、症例処理負荷の増加に対応するため、「約600人の追加正社員を配属」し、「2021年6月末までに合計1,800人以上の追加リソースを見込んでいる」としています。

同社は2020年12月から2021年2月までに、全世界で1億2600万回分以上のワクチンを出荷していました。患者も医療従事者も、因果関係がはっきりしない場合でも有害事象報告書を提出することが推奨されていること、また、COVID-19ワクチンは成人への緊急使用が許可される前から 世間の 厳しい目に 曝されていたことを考えると、殺到する有害事象報告書を迅速に処理するために、より多くの従業員が必要になるのは当然と言えるでしょう。

CDC米国医師会米国小児科学会等の主要な医療専門機関はいずれも、子供と大人の両方においてCOVID-19感染から身を守る安全かつ有効な方法として、ワクチンを推奨しています。

当社の評定

One America News Networkのクリップは、Pfizer社がCOVID-19ワクチンによる傷害の程度をごまかすために2,400人の従業員を雇用したことを「隠そうとした」と主張しています。

しかし、このクリップは、これらの雇用数を文脈から外し、有害事象報告プロセスを誤って解釈しています。Pfizer社は、雇用情報を含む文書をFDAに提出した。FDAは公文書公開請求に応えてこの文書を公開しました。最初のバージョンでは、人員配置の数字が修正されました。後のバージョンでは、その数字が含まれていました。人員配置の数字は、連邦政府の透明性規則により、専有情報として扱われる可能性があります。

有害事象報告の増加に対応するためにより多くのスタッフを配置したからと言って、それが(真に)ワクチンが直接被害を与えたと確認された人が増加するわけではありません。

私たちはこの主張を「ほとんど誤り」と評価しています。

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