主張2:不正確:「New England Journal of Medicineの研究によりますと、30歳未満でブースト接種をしていない人の死亡リスクはゼロであることが分かりました。リスクゼロの物にわざわざブースター接種をしても、これ以上下げることは出来ません。」

Makary氏は、「30歳以下のブースター未装着者の死亡リスクはゼロだった」という主張を裏付けるために、New England Journal of Medicineの研究を引用しています。しかし、その研究へのリンクは提供されていません。Health Feedbackではその研究を特定しようと試みたが、うまくいきませんでした。

2021年11月、CDCは、COVID-19のブースター接種の推奨を更新し、18歳以上の全ての人がCOVID-19ワクチンの追加接種を「受けるべき」であると述べました。この決定は、感染症や重症化に対するワクチンの有効性が時間の経過とともに低下していることを示す新たな証拠を受けたものです。

ワクチンを接種した若年層は、それ以上の年齢層のワクチン接種者よりもCOVID-19の重症化と死亡のリスクが低く、全ての年齢層のワクチン未接種者よりもはるかに低いリスクであることが分かっています。しかし、米国CDCのCOVIDデータトラッカーの死亡率データによりますと、2021年4月から2022年1月までに米国で18歳から29歳のワクチン接種者が119人(18歳から29歳のワクチン接種者10万人あたり0.6人)死亡していることが示されています。ワクチンを接種した若者の死亡率は非常に低く、同じ年齢層のワクチン未接種者の死亡率(2,042人、18歳から29歳のワクチン未接種者10万人あたり1.15人)の半分程度ですが、ゼロではないのは明らかです。従いまして、Makary氏の主張は不正確です。

健康な若年成人におけるブースター接種の必要性に関する現在のエビデンス

科学界では、ブースター接種は高齢者層やその他のリスクのある集団に必要であるとの一般的なコンセンサスが得られていました。しかし、ニューヨーク・タイムズの記事にあるように、健康な若年成人に対して3回目の接種を行なうかどうかは、激しい議論の対象となりました。

利用可能なデータでは、若年成人は一次接種によって重度のCOVID-19から十分に保護されており[14,15]、多くの専門家は、追加投与によって更なる利益が得られることはないと考えていました。しかし、オミクロン変異型によってCOVID-19の症例が急増したことから、一部の専門家は考えを改め、感染者数を減らしウイルスの拡散を抑える方法として若年層へのブースター接種を支持するようになりました。

米国CDCの死亡率データによりますと、ワクチンを接種した若年成人の登録死亡者の75%が、オミクロン変異型が優勢になった2021年12月から2022年1月の間に発生しています。これは、オミクロンによる高い感染率とワクチン免疫の衰退によるものと考えられ、ブースター投与がこの年齢層にも有効である可能性が示唆されました。

2022年3月10日、米国CDCは、米国におけるブースター接種の実際の効果に関する最初のデータを発表し、ブースター接種が18歳から49歳を含む全ての年齢層で入院の可能性を減少させることが示されました(図1参照)。

図1. 2021年11月から2022年1月までの18歳から49歳の成人におけるワクチン接種状況別の実験室で確認されたCOVID-19による入院の割合
データは米国CDCのCOVID Data Trackerから2022年3月21日に取得


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