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鏡の国でアリスが気づかされること

「私がことばを使うとき」


ハンプティ・ダンプティは、

いくらかばかにしたような口調で言った。

「ことばは私が選んだとおりの意味になる--それ以上でもそれ以下でもなく」


「問題は」


アリスは言った。


「ことばにそんなにたくさんのちがった意味をもたせられるのかということよ」


「問題は」


ハンプティ・ダンプティは言った。


「どちらがご主人さまかということだ--それだけさ」


(ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』より)


ハンプティ・ダンプティは、この台詞のあと、高慢の報いを受け、塀の上から落ちて潰れることになる。


アリスが鏡の国で

何度も何度も

気づかされる大事なことのひとつは、


ことばが制御不能になって、

文脈にまったくかかわりなく、

さまざまなまぎらわしい意味を帯びることであった。


ことばは、こちらが「選んだとおりの意味」になるより、向こうが解釈した通りの意味になり、それは、こちらの意図したもの以上にも以下にも十分なり得る。

私の尊敬するある先生が、

「診断システムはどのようなことばが書かれているかではなく、どのようにことばが使われるかによって影響力を持つということだ。」

とかつて述べていたことを思い出した。

ハンプティ・ダンプティは、自分には言葉を支配して、

その定義を左右する力があると豪語するが、

誰もが、例外なく、ハンプティ・ダンプティのような危ない立場にいるし、

その危うさを自覚するのは難しいことを、さらに自覚しなければいけないのであろう。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

今日から、やっと雨予報です。

最近、暑さと水不足で、ところどころ街路樹が枯れています。

予報通り雨が続くと良いかなあ、と思います。

今回も読んでくださりありがとうございます。

では、また、次回。







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