ヘアモード誌上コンテスト【12月号_審査結果】テーマ／フィンガーウエーブ
若手ヘアデザイナーの育成とスキルアップを目指し、厳しい視点での評価を行なっている「ヘアモード誌上コンテスト」。時代性、テーマ性、デザイン構成、モデルへの似合わせなど、投稿フォト作品をヘアモード編集部がさまざまな視点から厳正に審査する。
月間賞3回獲得で年間賞達成。ヘアモード誌面での作品撮りへと、クリエイターとしての道も広がっている。
【今月の課題】フィンガーウエーブ（ヘアモード2020年12月号）
【総評】テーマと出題の意図を意識しつつ、デザインとして調和がとれているものが上位に
今回は、レトロな印象になりがちなフィンガーウエーブを、現代にも通用するように試行錯誤した作品が多く、テーマと出題文から編集部の意図を汲むことを意識できていました。多くの場合、フィンガーウエーブは長くとったフロントにウエーブをつけていきます。しかし、眉上のバングをウエーブ状に添わせて主張するデザインが多かった点も興味深かったです。美しいフィンガーウエーブを表現できているだけでなく、今っぽくデザインとして生かせているかが、上位と下位の差につながりました。
上位の作品に関しては、ウエット以外の質感でやわらかさを生み出したものが目を引きました。また、バックのつくり方で遊びを効かせている点も良かったです。下位の作品は、フィンガーウエーブの部分とそれ以外の部分のデザインが分離してなじまず、作為的に感じました。そのため本末転倒ながら、「フィンガーウエーブが施されていない方がデザインとして成立する
のでは？」と思うものも多かったです。
全体的にヘアカラーの使い方も面白く、今までにないバリエーション豊かなフィンガーウエーブが集まりました。今後もモデルに似合わせつつ、新鮮さを追求した作品を期待しています。
ヘアモード編集部 小林真紀、有本 彩、山田 翼
＜月間賞＞
★★ 坂本朋広 VISAGE（千葉県市川市）
ハリウッド美容専門学校卒（美容歴16年）
大きなうねりでつくられたフィンガーウエーブで、全体の構成とも調和が取れています。やわらかい毛流れとていねいな崩しが、エレガントさもありながら、今っぽい抜け感となり、とても美しい作品です。（小林）
トレンド感のあるゆるめなセットの中に、しっかりフィンガーウエーブを盛り込んでいて、坂本さんの高い構成力を感じました。サイドから見た時のシルエットも美しく、全方向素敵な作品でした。（山田）
まさに「時代性」を感じるセットスタイル。フィンガーウエーブはドライな質感でありながら、乱れることなく描かれた美しい曲線に、高い技術力を感じました。ライトサイドの毛流れ、バックの浮遊感も◎！（有本）
＜佳作1位＞
石井秀明 資生堂美容室（神奈川県横浜市）
横浜商業高等学校別科卒（美容歴16年）
ヘアカラーでエッジを効かせた今どきのフィンガーウエーブですね。ウエットな質感でもレトロに寄らず、クールな顔立ちのモデルにも似合っています。顔周りの毛先に違和感があり、もうひと工夫欲しかった。（小林）
今っぽい寒色系の金髪とフィンガーウエーブの組み合わせが面白かったです。毛先に遊びを持たせて、クラシカルになりすぎないようにセットしたのが、髪色とモデルの雰囲気に合っていました。（山田）
タイトなブロンドのショートにフィンガーウエーブをあしらうことで、クラシカルになりがちなこのテーマをエッジィに表現した点が素晴らしい！ フロントやフィンガーウェーブの毛先の処理がもう一歩です。（有本）
＜佳作2位＞
丸谷美樹 SHISEIDO（東京都港区）
石川理容美容専門学校卒（美容歴9年）
ヘアカラーの効かせ方、毛先のデザインが鳥の羽根のような美しさを感じさせるフィンガーウエーブです。その分、襟足のつくり方とのバランスが難しかったかもしれませんね。（小林）
フィンガーウエーブそのもののつくり方がとても美しく、高い技術力を感じさせました。長めに残した襟足との組み合わせも面白いです。右サイドからのシルエットは、少し不自然に見えました。（山田）
短い前髪と一緒にウエーブを構成したり、リッジを立体的にたたせたりと、フィンガーウエーブに工夫が詰まっていて、丸谷さんの豊かな発想に拍手！ ただ、ライトサイドとアンダーが少し成り行きに感じました。（有本）
＜佳作3位＞
住吉沙耶香 資生堂美容室（東京都中央区）
資生堂美容技術専門学校卒（美容歴6年）
眉上バングからのフィンガーウエーブがとてもかわいらしいデザインです。カジュアルなフィンガーウエーブのお手本のよう。ただ、それ以外のダウンスタイルがやや分離した印象だったのが残念でした。（小林）
ミディアムのダウンスタイルにフィンガーウエーブをあしらうというアイデアがとても面白く、かわいらしい雰囲気が異色な作品でした。ただ、部分部分のデザイン要素が調和していたかというと、少し疑問が残ります。（山田）
前髪の毛流れからゆったりと波打つヘビーサイドがとてもステキ！ ウエーブのたゆみ、バックのラフな質感もオシャレです。ライトサイドのフィンガーウエーブが全体になじんでいないように思いました。（有本）
＜準佳作＞
★吉川達朗 ANNABEL（京都府京都市）
関西美容専門学校卒（美容歴15年）
フィンガーウエーブの動きと、バックのウエーブは調和が取れていました。サイドから見たデザインはかわいいのですが、正面から見たときのデザインにも工夫が必要です。（小林）
尾花佑輔 資生堂美容室（東京都中央区）
早稲田美容専門学校卒（美容歴12年）
顔周りに配したピンクのヘアカラーをポイントにした緩いフィンガーウエーブは、若い女性にも好まれそう。ただ、カジュアルな仕上がりなので「プロの技」を感じにくかった。（有本）
中川まどか SHISEIDO（東京都港区）
高津理容美容専門学校卒（美容歴11年）
左サイドから見た時の、ダウン部分とウエーブのコントラストが、髪色ともあいまってとてもかっこいいと思いました。フロント部分は、少し粗さのほうが目立っています。（山田）
三河圭司 VISAGE（東京都港区）
ハリウッド美容専門学校卒（美容歴19年）
とても上手にフィンガーウエーブがつくられていますが、ライトサイドから見たときの乗っけた感が強く、違和感がありました。またもう少しメリハリをつけた、デザインの工夫が欲しい。（小林）
塚原茉里奈 SHISEIDO（東京都港区）
東京マックス美容専門学校卒（美容歴3年）
前髪カラーやひもでバックを結ぶデザインなど、今っぽい要素が随所に見られます。ただ、肝心のフィンガーウエーブの印象が薄いのと、そもそもこのスタイルには合わない気もします。（有本）
小林太郎 SHISEIDO（東京都港区）
山野美容芸術短期大学卒（美容歴11年）
サイドにさりげなくフィンガーウエーブをあしらい、ボブに仕上げた点が新鮮でした。でも、ライン感のある前髪やおくれ毛等、もろもろの要素は、調和していたでしょうか？（山田）
佐々木麻衣 佐々木美容院（岩手県花巻市）
盛岡ヘアメイク専門学校卒（美容歴16年）
フィンガーウエーブにアメピンで飾りを施し、とても上手にまとめられたセット＆アップです。その一方で、今っぽさに欠け、美しくまとまりすぎてレトロな印象が強まってしまいました。（小林）
高瀬祐希 VISAGE（東京都中央区）
北海道美容専門学校卒（美容歴7年）
このウエーブは、クセでしょうか？ どちらにしても、フィンガーウエーブらしい表面に波打つ毛流れが感じにくくて残念でした。あと、もう少しデザインの見どころが欲しいです。（有本）
橋之口芙美 VISAGE（東京都中央区）
北海道美容専門学校卒（美容歴4年）
クラシカルで上品な作品だと感じましたが、今っぽさが足りませんでした。髪そのものを美しく見せる努力がもう一歩。毛量が多くて、まとめるのが大変だったのでしょうか？（山田）
鎌田優子 air（東京都中央区）
青森県ビューティー＆メディカル専門学校卒（美容歴16年）
ロングヘアを生かして、フロントからバックにかけて、大胆にフィンガーウエーブを配したアイデアは◎！ でも全体のバランスや構成、後れ毛の出し方などは再考の余地がありそうです。（小林）
藤牧 衛 VISAGE（東京都中央区）
中部美容専門学校卒（美容歴6年）
短くカットし、ポイントカラーを施した顔周りがヘアスタイルをぐっと魅力的に見せています。作品自体はステキですが、もう少しフィンガーウエーブを主役に構成してほしかった。（有本）
和田瑞穂 VISAGE（東京都中央区）
日本美容専門学校卒（美容歴5年）
ヘビーサイド表面のウエーブはしっかりシェープされているのですが、毛先にかけてやや雑になってしまっているのと、他の部分の成り行きな感じが気になりました。（山田）
市原 弦 VISAGE（東京都中央区）
北海道美容専門学校卒（美容歴5年）
今どきのカラーリングと、ドライな質感で、カジュアルなイメージにまとめたかったのは伝わりますが、デザインとしてのフィンガーウエーブの主張がもっと欲しいです。（小林）
蔭山和香 hair design hal（長崎県諫早市）
長崎県美容専門学校卒（美容歴5カ月）
サイドパートを取り、ヘビーサイドに大きくフィンガーウエーブをつくったエレガントなスタイルですね。もう少し美しくつくってほしいのと、フロントに対してバックがラフ過ぎるかも？（有本）
小市匡也 VISAGE（千葉県市川市）
早稲田美容専門学校卒（美容歴14年）
モデルの雰囲気や髪の質感など、今っぽくてオシャレだと思いました。ただ、フィンガーウエーブが普通の「カール」に見えてしまい、全体的にも「パーマスタイル」のイメージでした。（山田）
澤田純希 VISAGE（千葉県柏市）
国際理容美容専門学校卒（美容歴14年）
センターパートで全体的にフィンガーウエーブをつくっていったデザインですね。しかし。見る角度によっては、ハチが張って見え、モデルの顔立ちに似合っていたかは疑問が残ります。（小林）
【2021年3月号のテーマ】ミディアムレングスでつくるウエーブスタイル（応募締切 12月15日（火）必着）
長さはミディアム、肩付近の長さとします。
カットベース、ウエーブの形状、
また、ウエーブを主役にした全体の構成を考えながら、
どうやってデザイン的な新しさを表現するかがポイントです。
質感が美しく見えることはもちろん、
時代性のあるウエーブスタイルをお待ちしています。
誌上コンテストへの応募要項と応募方法
■応募資格 美容師免許を取得した方。
■システム
ヘアモード編集部による厳正な審査の結果、お送りいただいた作品のうち優秀と認められたものは、誌面にて寸評とともに掲載する。
12カ月を通して、月間賞を3回獲得された方は、年間最優秀賞受賞者として表彰する。なお、各月間賞の年間賞に対する有効期限は1年間。たとえば、2020年12月号で獲得した月間賞は、2021年11月号まで有効。
※応募者の名前の横についている★マークは、その方の月間賞獲得回数
※新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、既に月間賞を受賞している方の★の有効期限を2カ月延長します
■特典
年間最優秀賞受賞者は、新人ヘアデザイナーとして企画「THE DEBUT!」をはじめ、「ヘアモード」誌での活躍の場が優先的に設けられる。
■応募方法
1．モデルは女性に限る。
2．作品はバストから上を写し、服は写さない。ピアス、イヤリングなどの装飾品は使用不可。
3．写真はカラーに限る。また、背景は白か灰色で撮影する。
4．1作品につき、3枚以上。正面と左、右など、アングルに明確な差をつけ、髪がしっかり見えるものを。
◎紙焼きの場合
作品をキャビネットサイズ（2Lサイズ）にプリントし、①テーマ名 ②氏名・サロン名 ③住所 ④電話番号 ⑤卒業学校名（正式名称を明記）⑥美容歴（現在）を記入した別紙とともに郵送。
【宛先】〒107-0062 東京都港区南青山5-15-9-201
（株）女性モード社 ヘアモード誌上コンテスト係
◎データの場合
「紙焼きの場合」と同様の①～⑥を明記の上、作品データ（タテ2200ピクセル以上×ヨコ1800ピクセル以上）をzipファイルにまとめてメールに添付し送付。件名は「HM1 誌上コンテスト_（テーマ名）／作品送付／氏名（サロン名）」とする。
【宛先】mezase-gekkansyo@j-mode.co.jp
