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▭とTシャツとわたし

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1枚の古ぼけたTシャツに秘められた歴史と文化。掘れば掘るほど見えてくる、誰かの思惑。ヴィンテージTシャツコレクター高橋 龍[anytee]がナビゲートするカルチャートリップを、ど… もっと読む
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記事一覧

ニューヨーク・ブロードウェイとTシャツとわたし/高橋 龍

最終回 ブロードウェイミュージカルのモチーフ、注目度急上昇中!  みなさんにとって秋は「何の秋」でしょうか? 食欲、読書……などいろいろありますが、最終回となる今回は、ブロードウェイミュージカルのTシャツを紹介したいと思います。  ミュージカルTシャツは、劇場や、その周辺で販売されているスーベニアTシャツの一種ですが、「なぜ、いきなりブロードウェイ?」と、疑問に思う方もいるかもしれません。実は最近、このジャンルのTシャツに一気に注目が集まり始めているからです。ブロードウェイ

1980-90sの日本とTシャツとわたし/高橋 龍

第9回 日本生まれのあのカルチャーに、再び魅せられよう  1980~90年代は、日本独自のカルチャーが大きく花開いた時代。そして今、その時代に青春時代を過ごし、センスを養ったクリエイターたちが、第一線で活躍しています。若者世代は、そんなバックボーンを持つ彼らがつくった服などに「エイティーズ」や「ナインティーズ」の新鮮さを感じ、身に付けているというわけです。今回はそんな、現在のトレンドキーワードの原点にある'80年代、'90年代の日本、東京のカルチャーにひもづいたTシャツを集め

HIP HOP/R&BとTシャツとわたし/高橋 龍

第8回 もはやヒップホップは、ストリートのものだけではなくなった  ジャズ、ロックと2回連続で音楽にまつわるTシャツのお話をしておりますが、今回取り上げる音楽ジャンルは、ヒップホップ/R&Bです。最近、僕の予想をはるかに超えて、ヒップホップやR&BのTシャツの人気が高まっています。以下で紹介している「2 PAC」のものは、探している人も多いのではないでしょうか?  今、LOUIS VUITTONのメンズウエアデザイナーを務めるヴァージル・アブローを始め、一部のハイブランドの

80-90年代ロックとTシャツとわたし/高橋 龍

第7回 ロックのあり方が変われば、ロックTシャツのあり方も変わる  覚えているでしょうか?連載第4回では、70年代ロックをテーマにTシャツをひも解きました。今回もロックTシャツがテーマですが、時代を80年代、そして90年代へと移してお話していきたいと思います。  まず、70年代ロックTシャツの2つの特徴について軽くおさらいしましょう。1つはサイズが小さかったこと、そしてもう1つはアーティストの顔がプリントされたフォトTシャツが多かったことでした。では、80年代から90年代に

ジャズとTシャツとわたし/高橋 龍

第6回 各奏者のセンスが光るアドリブに酔いしれる 今回から3回に渡り、19世紀以降の音楽の変遷をひも解きながら、3つのジャンルの音楽とそれにまつわるTシャツについて紹介していきたいと思います。そもそも、今存在するさまざまな音楽の根源は、民族音楽にあります。ある民族音楽が他の民族音楽と混ざり合い、新たな音楽の文化を形成し、それがまた、異なるジャンルの音楽とミックスして……と、この繰り返しで音楽は今日まで進化を遂げてきました。特に、ときに愉快で、ときに怒りや哀しみに満ちた黒人音楽

大学とTシャツとわたし/高橋 龍

第5回 「学生時代に戻りたい」が口グセの大人たちへ  電車に乗っていると、大学の校章や学校名がプリントされたTシャツを着ている学生をときどき見かけます。それらは通称「カレッジTシャツ」と言いますが、その歴史は長く、1930年代のアメリカにまでさかのぼります。プリントTシャツの始まりは、カレッジTシャツだと言われたりもするほどです。  もともとは学生の運動着として生協で売られているカレッジTシャツ。その大学や大学のある町を訪れた人のお土産としても人気です。各大学のスクールカラ

70年代ロックとTシャツとわたし/高橋 龍

第4回 1970年代のバンドTシャツと今のそれとのちょっとした相違点 映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒットを飛ばしました。伝説のロックバンド「クイーン」のリードボーカル、フレディ・マーキュリーの生きざまを描いたこの映画、ご覧になった方も多いのではないでしょうか(フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックはアカデミー賞主演男優賞を受賞)。「クイーン」の4人が活躍した1970年代は、「西欧至上主義」「消費文明」というマスの思考に対抗する、カウンターカルチャーとしての音楽が盛

お土産とTシャツとわたし/高橋 龍

第3回 スーベニアTシャツで脳内トリップ、ひとっとび! 春がやってきました!暖かくなると気分もうきうきして、どこかへ出かけたくなりますよね。「でも、仕事があるからそんな暇はないし、ましてや、海外旅行なんて絶対に無理!」なんて皆さんはぜひ、スーベニアTシャツを着て、海外旅行気分を味わってみてはいかがでしょうか?   「souvenir(スーベニア)」とは、「お土産」という意味。スーベニアTシャツは、その地域の名前や観光名所、名物がプリントされているお土産用のTシャツのことです

アニメとTシャツとわたし/高橋 龍

第2回 日本のアニメは、20年以上も前からとっくにクールだった 世界には、日本のアニメファンがたくさんいます。実際、日本のアニメをモチーフにしたアメリカ生まれのヴィンテージTシャツもたくさんあるんですよ。近年はそれらの人気がかなり高まっていて、いいお値段で販売されていたりもします。ということで今回は、日本のアニメにまつわるTシャツの話をしていきたいと思います。  今から30年ほど前、日本発のアニメがアメリカ、そして全世界を熱狂の渦に包みました。『AKIRA』と『攻殻機動隊』

映画とTシャツとわたし/高橋 龍

第1回 映画関連のTシャツがこんなにも多彩なワケ 皆さんはなぜ映画のロゴやキャラクターなどがプリントされたTシャツが存在するのかご存知ですか? 1つはきっとご想像の通り、パンフレットやキーホルダーのように、映画館でグッズとして販売するためです。映画関連のTシャツは、ハリウッド全盛期である1980~90年代のものが多いですね。当時は数多くの映画がつくられ、今とは比べものにならないほどの費用をかけて制作、宣伝されていました。『地獄の黙示録』(1980年・アメリカ)なんて、ロケ場所