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ドイツ鉄道:指定席を取る必要のないと思う理由

こんにちは!
今回も引き続きドイツ鉄道について書いていこうと思います。
今回のテーマは特急列車であるICEやICの指定席です。

もし皆さんがお1人あるいはお2人で移動する場合は、私は必ずしもICEやICの指定席を取る必要はないと考えます。

以下にその理由を書いていきたいと思います。

指定席と自由席は同じ車両にある

まず、ICEやICでの指定席の基本情報から。

ドイツ鉄道ではJRとは異なり、自由席と指定席が号車で分かれていません

同じ車両の中に、予約されている席とされていない席が存在しています。
自由席は混んでいるけれど指定席は空いている、なんてことがありません。

そのため、東海道新幹線のように、自由席に乗るために駅の端っこまで歩いて行く必要もなく、取りあえず目の前の車両から乗車することができます

もちろん、1号車(日本で言うグリーン車)と2号車(普通車)の違いはあります。

予約されている席は、席の上あるいは横の液晶画面に、予約されている区間が表示されています

ハノーファーからシュトゥットガルトまで予約されています。
これ以外の区間なら指定券なしでも着席可能。
https://www.merkur.de/reise/kann-ich-aeltere-vom-reservierten-ice-sitz-vertreiben-zr-10619655.html

席を予約していない人は、それ以外の席に座ることができます。
また、予約席であっても、予約されている区間外であれば、その席に座ることが可能です


予約席は、予約の始まる区間の駅を出発してから15分後に表示が消え、予約していない席と区別がつかなくなります。

そのため、駅を出発してから15分以内に着席しなければ、予約していない別の乗客が間違えて着席してしまう可能性があります。

さて、指定席(予約席)を取る必要のない理由について書いていきます。

https://sz-magazin.sueddeutsche.de/reise/bahn-reservierung-fahrtrichtung-89064?reduced=true

席を指定したほうが不自由

指定席を利用する必要がない理由は、多くの場合、どこかしらに空いている席は存在しているためです。

休暇シーズンやラッシュ時、混雑区間などを除けば、列車全体が満席になることはほとんどありません。

指定席を取るメリットの1つに、駅に急いで行く必要がない、席を探すために車両の中を歩き回る必要がない、というのがあると思います。

しかし、ドイツ鉄道の場合は、列車の遅延が多く、スムーズに駅に着いても直ぐに乗れることはありません2024年6月時点で、長距離列車の約2本に1本が遅延を起こしており(定時運行率52.5%)、5月時点では、乗客が目的地に15分未満の遅延で着けた割合は68%でした。

また、乗車直前になって車両編成の向きが変わる、あるいは到着ホームが直前になって変更になることが頻繁に起こるので、指定席を取ったところで、ストレスなく乗車できるとは限りません

「die angezeigte geänderte Wagenreihung」(変更後の編成順を表示しています)
この表示が電光掲示板に出たら要注意です。
https://www.thilo-baum.de/die-angezeigte-geaenderte-wagenreihung/

また、ようやく指定席に座れたところで、前の人が残していったゴミが放置されていたり、席が汚れていたりということがよくあります。ドイツ鉄道はほぼ2つに1つの長距離列車が遅延しており、多くの遅延がある場合、列車は車内清掃なく折り返し運転を行うことがあるので、必ずしも席が清潔にされているとは限らないのです。

席を予約していなければ、座りたい席をその場で目で確認して選ぶことができます。

更には、にわかに信じがたいことですが、予約した席のある号車が編成に組まれていないことも割とよく起きます。5号車の16番の座席を予約したのに、そもそも列車に5号車がない、という感じです。この場合は、席を予約していても、席そのものがないのですから、予約されていない別の席を新たに探すしかありません。

また、空調不良により特定車両の利用が停止されることもたまにあり、その場合は予約席に座ることができません。真夏に暖房がついていたり、真冬に空調が故障していることなどです。

従って、本来なら指定席が保障するはずの、ストレスのないスムーズな乗車が、必ずしも確保されていないのです。

更に、上述の通り、ドイツ鉄道では遅延が非常に多く、中には50分や100分を超える遅延を叩きだす列車もあります。

この場合、予約した以外の列車に乗って目的地に移動することが可能なのですが、指定席を確保してしまっている場合は、席を諦めて別の列車に乗る必要があります。席を手放すのに心理的に抵抗がある場合は、遅延列車をひたすら待つしかありません(なお、指定席代は駅の窓口に行けば返してもらえます)。

このように、指定席には「快適さ」よりも「縛り」を感じることがドイツ鉄道では多くあります。

進行方向が常に変わる

指定席を取る他の理由として、「進行方向に座りたい」があるかもしれません。ただ、この場合も、ドイツ鉄道では必ずしも座った席が進行方向に向くとは限りません。

上述のように、いきなり列車の編成順が真逆になったというアナウンスが入ることは茶飯事ですが、ドイツ鉄道ではさらに、頭端式の駅が多いことが理由に挙げられます。

フランクフルト中央駅

頭端式の駅とは、先頭車両の前に車止めがあり、到着と出発で進行方向を変える必要のある駅のことです。関西で言う阪急梅田や南海なんば、関東で言う西武新宿や京成上野などがそれにあたります。

つまり、頭端式の駅に着くたびに列車の進行方向が変わるため、自分が乗る時に予約した席がどちらを向いているか予測するのが難しく、また、発車後も進行方向を向いている保証はありません。

一応、進行方向を調べるウェブサイトは存在しますが、上述のように、急に編成順が変わる場合も多いので、確実な保証はどこにもありません。

この点、席を予約しなければ、その都度空いている席に移動すれば大丈夫です。席の移動自体は面倒かもしれませんが、図らずも後ろ向きの席を予約してしまい、動きたいけれど指定券代が勿体なくて動けない、ということにはなりません。

指定した席が空いていない可能性も

最後に、席が予約されていることが表示されていないことが頻繁にある点です。

まず、ICはそもそも列車に予約席の表示がないので、予約されていることを知らずに席に座っている乗客がいるのが普通です。その場合、わざわざその人に自分が席を予約していることを伝えて移動してもらう必要があります。ただそれだけのことですが、億劫に思う人はいるでしょう。

そしてICEでは、機器の不良により、予約席が表示されていないことが頻繁にあります。

その場合、全車両の席の画面に「ggf. freigeben(空いている可能性あり)」「ggf. reserviert(予約されている可能性あり)」という言葉が表示されています。

https://anfr.de/?p=2118
https://anfr.de/?p=2118

これが表示されているからと言って自分の予約が消えるわけではないのですが、要はどこが予約席か自分以外誰にも分からない状態になっているわけなので、自分の席に誰か別の人が座っている可能性大です。

この場合は、予約していない人にとっても、毎回列車が停車するたびにそわそわして落ち着かないことになりますが、予約している人にとっても、いちいちお客さんに「私の席なので移動してください」と伝えるのは面倒です。

中には、移動してくださいと言っても無視して居座り続ける乗客もいるようです。

本来、指定席は、こういう乗客トラブルを回避し、ストレスなく乗車するために確保するものだと私は思うのですが、残念ながらドイツ鉄道では席を予約してもストレスを避けられないことが多々あります。

DBアプリやDBウェブサイトでは、各列車の各駅での混雑具合が人のアイコンで表示されています。中程度の混雑具合であれば、私の経験上はどこかしらに席を確保することは可能だと思います。ですので、席を予約せず、自由に席を選ぶことをおススメします

ドイツ鉄道では、「自由席」の「自由さ」をより実感できるのではないかと思います。


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