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外国語の学び方

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外国語に興味のある方、外国語の勉強法について悩んでいる方に対して、耳よりな情報を紹介しています。
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#勉強法

変わりゆくものを教える

I play the guitar. と I play guitar. 日本で英語を学ぶ人は、「楽器の前にはtheをつける」と学ぶと思います。 しかし、ネイティブは「別にtheをつけてもつけなくても良いよ」と言う。「少なくとも、theをつけないとダメというのは、おかしいよ」 そういう発言を「ネイティブさまさま」がしてしまうと、途端に「やっぱり日本の英語教育は間違っている」という声が上がってしまいがち。 *** 僕は、「ネイティブはこう言う」って言って、ドヤーッとす

隠れた動詞を見つけよ!

日本語と、英語の大きな違い。 それは、日本語が「名詞中心」な言語であるのに対して、英語は「動詞中心」の言語である、ということです。 この違いがよく現れるのは「複合語」です。 日本語は複合語を多用するのに対して、英語は、日本語のように複合語を作れても、日本語ほど多くは使わないのです。 *** 例えば、「感染拡大による景気後退は・・・」で始まる文があるとすると、この「感染拡大」や「景気後退」という複合語は、一応、英語にも複合名詞として訳出することはできるのですが、不自然

お坊さんになれなかった男の話

現在、ドイツに留学し、ドイツ語と英語と日本語の通訳の勉強をしている僕ですが、外国に行き新たな出会いや刺激があると、他のこと(主に言語)に浮気してしまいがち。フランス語やロシア語、そして最近は再び中国語にウツツを抜かし始めています。 そんな時、いつも頭の中に浮かぶ話があります。 中高生の時でしょうか、徒然草の現代語訳(とマンガ)を読んだときに、一番印象に残るとともにトラウマにもなった逸話です。 その話は、「徒然草」188段。 ある人が息子をお坊さんにさせようとしたのです

辞書と語彙力の限界

僕が使っているドイツ語の電子辞書に、最近、リーダーズ英和辞典の追加コンテンツを入れました。 カシオのExwordの電子辞書は、英語以外の言語バージョンの場合、英語はジーニアスまでしか入っていないので、考えてみると大学生以来久々にリーダーズを引くことができるようになりました。(大学生時代は小学館の重たい独和大辞典を持ち歩いていました) 試しに英語のスパイ小説を読んでみたのですが、流石リーダーズ、かなり多くの表現が掲載されています。そのお陰で、ジーニアスだけを使っていた時より

苦手は克服できるのか

「苦手克服」と言いますが、苦手は克服できるのでしょうか。 僕はこの点については結構悲観的です。苦手克服の成功体験がないためです。 ある程度歳をとるまでは、色んなことに挑戦するべきだと思うのですが、それは恐らく「苦手を克服」するのではなく、「得意分野を見つける」ことに時間を割くべきなのではないかと思います。 それ以降は、その得意分野をとにかく高めていくことに時間をかけていく。それでも苦手は苦手のままなのですが、得意なことで苦手をカバーする方が、効率的だし現実的だと思うよう

【語学】その添削は原文重視?それとも意訳?

以前のことですが、日本語がまだ初歩の初歩の学習者が、英語で短文を書いて、これを日本語に訳すとどうなりますか、という投稿を見たことがあります。 この質問に対する回答の中には、英文から直訳した日本語の文があったのですが、これを指摘すべきかどうか悩みました。 提案されていた和文は、英文和訳の授業なら間違いではないのですが、日本人が普段使いしている日本語ではなく、ぎこちない表現だったのです。 僕が大学受験生の頃、「英文和訳は不自然で良いから直訳体でしたほうが良い、試験は翻訳の綺

【仏語】おススメの文法練習本

 こんにちは。  今回は、僕がDELFB2~DALFC1を受けるための準備期間に使用していたおススメの文法練習本をご紹介します。  これは英語で書かれた本なので、英語に抵抗がない人に特におススメしたい本です。 McGraw-Hill社の「Complete French Grammar」という本です。 この本の一番良いところは、「とにかくフランス語で作文をさせまくる」ところだと思います。 これは語学学習の鉄則だと思うのですが、能動的に使えるようになりたいのならとにかく

【語学】たかが構文解析、されど構文解析

 日本の英語教育は、読解に重点が置かれています。そして、読解をスムーズにするために、詳しく文法事項を学んだり、5文型を学んだり、構文解析をしっかりやったりします。  しかし、僕が学んでいる言語のうち、構文解析を丁寧にすることができる言語は、英語しかありません。  それでも、今では英語よりもドイツ語の方が得意です。  では、ドイツ語はどのように学んだかというと、一つひとつの文法項目を、何度も練習問題を解いたり声に出したりして、身体に慣れさせていったのです。  その時、構

【語学】語学は現地で学ぶべきか?

「学びたい言語の母語話者が住む国で言語を学ぶべきか」というテーマはよく耳にするものだと思いますが、個人的には「行けるなら絶対に行ったほうが良い」と思います。  ただここにも落とし穴があって、「その国に行けばみんな語学が上達する」というのは正しくありません。実際、ドイツに何十年も住んでいるけれどドイツ語が一向にうまくならない、という人は少なくありませんし、留学したからと言って必ずしも語学が上達するとは限りません。  ただ、その国に行くことで、「語学の上達スピードを速める機会

「発音は綺麗であるべき」という呪縛

 語学において「発音」は、容姿のようなものです。語学能力の中にはぱっと目に見えないものがあるなかで、発音は一番目に留まりやすい尺度だからでしょう。  発音が綺麗だと印象がグッと上がるし、悪いとどんなに中身のあることを言っていたとしても「でもあの人の発音悪いからな」と言われてしまう。発音は人を褒めるのにもそしるのにも使われるのです。発音は顔みたいなものだから、まあ、見てくれが良いことに越したことはないわけです。  そういう意味で、「私は●●語ができます」と公言するのは、よっ

フランス語の音が初めて「見えた」日

フランス語は「書かれたとおりに読まない」とよく言われる言葉ですよね。 例えば、動詞の語尾の活用ですとか、複数形の-sですとか、「書くんだけれども実際には読まない」というもの(「黙字」)が結構あります。 また、同じ発音にも色んな書き方のパターンがあったりします(vingt 20、vinワイン、vain無駄な、vaincs勝つ 等)。 この意味では、フランス語のスペルは意味を区別する「漢字」のような役割をしていると言えるかと思います。 個人的には、この「書くのに読まない」

【語学】消えないコンプレックス

 今回は僕がずっと抱えている語学のコンプレックスについて書こうと思います。  外国語の勉強は中学生の頃からとても好きで、今でも続いている自分の唯一の趣味(というかライフワーク?)とも言える存在です。  それでも、常に劣等感にさいなまれています。  一番コンプレックスを感じるのは「発音」です。  発音には個人差がもちろんありますが、母語によって運命づけられてしまう点も多いですよね。  外国人と話していると、それぞれの国の訛りがあるのは自然なことなのですが、僕が一番ショ

難しい言語、やさしい言語(4)

 ドイツで一緒の語学学校に通っていた日本人の友人から聞いた話だ。  授業中に、ドイツ語の単語がいかに簡単で覚えやすいかを強調するために、先生が「Demokratie(民主主義)」を留学生の母語で何というか聞いて回ったという。  DémocratieやDemocracía、Democraziaなどの単語が次々と出る中で、彼女だけ先生から当ててもらえなかったそうなのだ。 「指されてなくても『ミンシュシュギ』とか言ってやろうかと思ったよ」とその友人は口元を歪めて呟いた。  

難しい言語、やさしい言語(3)

 こんばんは。 「難しい言語」と「やさしい言語」を決める3つ目の基準は、「母語との近さ」です。  「発音」のところでも書きましたが、やはり「母語とどれくらい似ているか」ということが、外国語の勉強の難易度を決める一つの目安になると思います。  例えば、日本語は世界の言葉の中でも難しい言語だと言われていますが、韓国には日本語を勉強に非常に流暢に話せる人たちがごまんといます。  翻って、オランダ人があんなに流暢に話せる英語を、僕も含めた日本人の多くは苦手としています。