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外国語の学び方

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外国語に興味のある方、外国語の勉強法について悩んでいる方に対して、耳よりな情報を紹介しています。
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#英文法

受験英語と「don't think」

こんにちは! 今回は「~と思う」を意味する「think」の否定形について書いていきたいと思います。 学校では、「私は彼は来ないと思う」という和文を英訳するとき、 I don't think he is coming (または he will come 等々). と訳すと習い、 I think he is not coming (または he will not come 等々). とは訳さないと習うと思います。 「『来ない』と『思う』」という日本語に引きずられて、

受験英語と「avoid」

こんにちは! 今回は、ドイツで私がよく聞く「間違っているけれどノンネイティブがよく使う英語表現」について書こうと思います。 例えば、 「私たちはボートが沈むのを避けなければならない」 と言った文があるとします。 これを英語に訳すと、 We must avoid the boat from sinking. と訳せそうですが、これは間違いです。 avoidはその後に動名詞(動詞の-ing形の1つ)を取ることはできますが、 「ボートが」のように、動名詞の主語に当たる単

受験英語と「consider」

学校で学んだことと実際の英語は違うじゃないか! の好例が「consider」です。 皆さんは、学校で英語を学んだ時、 「consider」は第5文型の動詞と学んだのではないでしょうか? 第5文型では、目的語Oと補語Cがイコールの関係になっています。 主語Sと動詞Vと合わせて、「SVOC」と呼ばれますね。 つまり、「私はあなたを友達として見なす」という文の場合、 I consider you a friend. と言うふうに文を作ります。 「you」は動詞consid

【英文法】sheepの複数形は?

皆さんに質問です。 「1頭の羊」は「a sheep」。 では「3頭の羊」は何というでしょう? 「1匹の魚」は「a fish」。 では「5匹の魚」は何というでしょう? 「sheep」や「fish」に複数形はないと習ったのは私だけでしょうか? 何でも、群れをつくる生き物には単数と複数の概念がない?とか何とか。 ※※※ さて、冒頭の質問の答えです。 「3頭の羊」は「three sheep」。 「5匹の魚」は「five fish」。 何だ、やっぱり複数形はないじゃないか

【英語】可算・不可算名詞なんてない

引き続き「英語の歴史から考える 英文法の「なぜ」」(朝尾幸次郎著 2019年)の一部受け売りです。 この文を読んだとき、雷に打たれたような衝撃を受けました。 「可算名詞」「不可算名詞」という区別は名詞に内在せず、 同じ名詞でも、話し手の認識次第で数えられたり、数えられなかったりする、ということです。 日本語でも、話し手の認識次第で同じ名詞でも捉え方が変わることはあります。 例えば、 「あ、車がある」 と 「あ、車がいる」  いずれも正しい日本語の表現です。 これを

【英語】仮定法なんてなかったら(2)

仮定法の話は何度も記事にしているので、流石にそろそろ終わりにしようと思います。 学校英語では、「直説法」(直「接」法ではない)という言葉を学ばないのに、「仮定法」という言葉だけが急に出てきます。 「法」とは、大雑把に言えば、「動詞の活用形」のことです。 「直説法」と「仮定法」は対立概念と言っても過言ではないのに、学ぶのは何故か難しいほうだけ。 しかも、学ぶ割に、この用語には学習面での意味があまりありません。 「仮定法」という言葉を使わなくても、学ぶべき表現は説明できる

【英語】「仮定法」なんて無かったら

学校英語は好きだったし得意ではあったのですが、 それでも文法は難しいと感じることが多かったです。 特に謎なのは「仮定法」でした。 実は僕たちが知っている「現在形」や「過去形」などは、 「直説法」という「法」の中の世界だったのですが、 「直説法」という名前を教わらずに、いきなり「仮定法」という言葉を学ぶ。 それなのに、実際は「(直説法の)過去形や過去完了形を使います」と言われて、何が何だかよく分からない。 英文法がなぜ学びにくいのかは、 突き詰めれば、義務教育で英語が教えら

【英語】動名詞と現在分詞の違い

英語は覚える形は少ないですが、実は形が同じだけで全くの別物、というものがとても多く、 英文法の学習では、それらを見分ける訓練に多くの時間が割かれます。 いわゆる「構文解析」っていうやつです。 今回の「動名詞」と「現在分詞」も、そんな「似て非なる物」の1つ。 「play」の動名詞は「playing」。 「play」の現在分詞も「playing」。 全く同じ形。 同じ単語なのでは?とさえ思えてしまいます。 ですが、実はこの2つは元々出自が全く違うものでした。 形も、

【英語】「private」の発音は「プライベート」ではない。

こんばんは! 今回は、今さらながら気づいた英語の発音の勘違いについて 書いていきたいと思います。 皆さんに質問ですが、 「separate」という単語。 これが動詞として使われる場合と、 形容詞として使われる場合、 それぞれどのように発音するかご存じでしょうか? ちなみに、動詞の場合は「~を(…から)分ける、引き離す」 形容詞の場合は「別個の」 というような意味を持ちます。 それでは正解ですが、 動詞の場合は「セパレィト」/ˈsep.ər.eɪt/ 形容詞の場合は「セパ

ドイツ語を学んだ人が初めて学ぶ英語

こんにちは。 今回紹介したい言語は「英語」という言語です。 皆さんが学ばれてきたドイツ語と親戚関係にある言語ですが、どのように違うのか、見ていきたいと思います。 英語はドイツ語ととても近しい関係にありますが、 ドイツ語と大きな違いがあります。 それは、「格」と「性」がないということです。 厳密にはドイツ語の1格、2格に相当する2つの格がありますが、 2格は単純に名詞の後に「's」という形を使うだけで、名詞一つひとつについて覚える必要がありません。 3格と4格は、名

英語の「仮定法」について、更にややこしく考えてみました

こんにちは! 今回は、色々とヨーロッパの言語をかじってきた僕が、 改めて英語の「仮定法」について考えてみようと思います。 「仮定法」と日本で呼ばれているこの形ですが、 英語では「subjunctive mood」と呼ばれています。 フランス語をはじめロマンス諸語を学ばれた方は「subjunctive」と聴いてピンと来るかもしれませんが、 「接続法」と他言語では呼ばれているものです。 なぜ「仮定法」と日本の英文法では言うんでしょうかね…。 接続法とは、ざっくり言えば接

【英語】句動詞の考え方

僕はドイツ語の方に重点を置いているのですが、最近は英語の方をよく勉強しています。 英語には「句動詞(phrasal verb)」と呼ばれる動詞があります。学校英語では「熟語」と呼ばれるものの中に含まれることが多いです。 look afterとか、pull outのように、動詞と前置詞/副詞から成り立った動詞のことです。 英語とドイツ語は兄弟の関係にあるため、ドイツ語にもこの「句動詞」に近い表現があります。 「分離動詞(trennbares Verb)」と呼ばれるもので

【英文法】三単現の「s」だけが残った理由

昔は三単現以外にも語尾の変化があった中1英語の最初の関門であり、なおかつ大人になってからも付きまとう、厄介な存在。 そもそも、なぜ、三人称現在形単数だけにsをつけるのでしょうか? 三人称単数と三人称複数の区別をするためでしょうか? 確かに、複雑な文章では、動詞にsがついているかどうかを見れば、単数か複数かが分かりやすいかもしれません。 でも、なぜ三単「現」だけに、特に主語の単複を気にする必要があるのでしょうか? 過去形や未来形では、動詞の活用はすべての人称で同じです