マガジンのカバー画像

外国語の学び方

125
外国語に興味のある方、外国語の勉強法について悩んでいる方に対して、耳よりな情報を紹介しています。
運営しているクリエイター

2021年1月の記事一覧

複数の言語を学ぶことの現実的な問題

語学にハマってから早くも今年で20年を迎えることになります。 今まで色々な言語を学んできて、多言語話者(マルチリンガル、ポリグロット等呼び方は色々ありますが)になりたいと夢見てきました。 一応、プロフィール上では「マルチリンガル」と書いていますが、実際のところは結構怪しいです。 10言語話したい、20言語話したい、はたまたそれ以上・・・という夢を持ち、語学勉強に取り組んでいる人は少なからずいらっしゃると思います。 突然ここで「現実」を示すのもあれなのですが、 全部の

なぜタンタンとハドック船長は「vous」で話すのか

僕にとってベルギーと言えば「タンタンの冒険旅行」です。 子どもの頃読むのが好きだったコミックですが、元々はベルギー生まれのこの作品、原語はフランス語です。 タンタンをフランス語で読み始めて感じた違和感が、主人公のタンタンと準主人公のハドック船長がお互いに「vous」で話している、という点です。 日本語版だと、確かタンタンは船長に丁寧語で話していますが、ハドック船長はタンタンに対してタメ口で話していたような気がします。 タンタンはああ見えて(失礼?)14~17歳くらいの

頭が良い人が必ずしも語学が得意ではない理由

語弊があるタイトルですが、僕が前職のときに常々考えていたことです。 前職での一番上の職種は、非常に難しい試験を受けて就職してきている人たちで、出身大学も名門大学ばかり、実務でも一を聞いて十を知るタイプの人が少なくありませんでした。 一方で、語学力に関して言うと、すごく悪くというわけではないのですが、彼らの知的能力と同じくずば抜けて優れている、というわけでもありませんでした。 どちらかと言えば不自由している人のほうが多いのです。 留学を誰もが経験しているにも関わらず、で

複数の言語を勉強して混乱しないのか?

言語の組み合わせにもよりますが、僕は混乱します。 互いに構造面で似ている点が多い言語を二つ勉強すると、理解は早いのですが、作文や会話、特に会話になると、途端に混乱が生じます。 僕の場合は、ドイツ語で話し慣れていたところに急に英語で話を振られたら、とてもたどたどしくなります。1時間くらい話さないと英語に頭と体が慣れてきません。 そのため、スイッチのように言語の切り替えが綺麗にできる人が本当に羨ましいです。 これが、ドイツの外で働いていた時は逆でした。職場で使う外国語と言

英語と違うドイツ語の冠詞の使い方

「私は学校へ行きます」と英語でいう時は、 I go to school.  と言い、この時は「school」に冠詞がつきません。 この「冠詞のないschool」は、「勉強する場所」という、学校の「機能」を表しているもので、具体的な目的地としての「学校(建物)」を表してはいません。 日本語の「学校に行きます」には、「学校を訪問します」と、「通学します」の二つの意味がありますが、上記の英語は後者を意味します。 なので、例えば、保護者であるお母さんが、三者面談などで「学校

語学をするのに文法は必要か?

という「疑問」は、語学学習の際によく出てくる質問だと思います。 個人的には「サッカーをするのにサッカーボールは必要か?」という質問のように感じてしまいますが・・・。 「文法は覚えなくていい」という話が語学界隈では後を絶たないのを見る限りでは、文法に対して抵抗感を抱いている人は少なくないのだと思います。 文法は、スポーツで言う基礎練習、「型」を覚える練習に該当します。その後に待っているネイティブとの楽しい会話と違って地味で辛いものですが、ここは我慢して取り組む必要がありま

【語学】知っている内容のものを聴く・読む

 リスニングやリーディング力を鍛えるために僕がよく行っているのが、「内容を知っているものを聴いたり読んだりする」というものです。  ニュースであれば既に日本語等で読んでいて内容がだいたい頭に入っているものを別の言語で読んだり聴いたりしますし、本であれば自分がよく知っている分野のものを読むようにしています。  何故かと言うと、読む前・聞く前から、どんな内容かが予想できており、内容ではなく言葉の使い方のほうにより集中することができるからです。  個人的には、母語以外の言語で

【フランス語】消えている気がする

「読まれないスペル」の話ではなく、「読まれているはずなのに読まれていない音」の話です。 フランス語を聞いていると、二つの単語の「語尾」と「語頭」に、「T」あるいは「D」が来ると、そのうちの1つしか発音していないように聞こえるのです。 例えば、ブレグジットの話で出てきた「関税権」については、 droit de douane (ドルワ・ド・ドゥワヌ) と言いますが、何回聞いても droit douane (ドルワッ ドゥワヌ) と言っているように聞こえるのです。 「

【語学】その添削は原文重視?それとも意訳?

以前のことですが、日本語がまだ初歩の初歩の学習者が、英語で短文を書いて、これを日本語に訳すとどうなりますか、という投稿を見たことがあります。 この質問に対する回答の中には、英文から直訳した日本語の文があったのですが、これを指摘すべきかどうか悩みました。 提案されていた和文は、英文和訳の授業なら間違いではないのですが、日本人が普段使いしている日本語ではなく、ぎこちない表現だったのです。 僕が大学受験生の頃、「英文和訳は不自然で良いから直訳体でしたほうが良い、試験は翻訳の綺

【仏語】おススメの文法練習本

 こんにちは。  今回は、僕がDELFB2~DALFC1を受けるための準備期間に使用していたおススメの文法練習本をご紹介します。  これは英語で書かれた本なので、英語に抵抗がない人に特におススメしたい本です。 McGraw-Hill社の「Complete French Grammar」という本です。 この本の一番良いところは、「とにかくフランス語で作文をさせまくる」ところだと思います。 これは語学学習の鉄則だと思うのですが、能動的に使えるようになりたいのならとにかく

【仏語】よく聞き取れない表現を解読する

 フランス語はとても早口で話されて、時にはリエゾンや母音の省略などが生じて、「何を言っているのか分からない単語の塊」が聞こえることがあります。  しかも、フランス語の音はスペルから受ける印象よりもずっと短く発音されることが多いので、頭の中でスペルを思い浮かべている間に、あっという間に置き去りにされてしまうこともしばしばです…。  今回は、これまでリスニングでよく聞き取れなかったフランス語の表現を、僕の残念な「日本語耳」が聞き取ったとおりに、ひらがなで表記してご紹介したいと

【語学】たかが構文解析、されど構文解析

 日本の英語教育は、読解に重点が置かれています。そして、読解をスムーズにするために、詳しく文法事項を学んだり、5文型を学んだり、構文解析をしっかりやったりします。  しかし、僕が学んでいる言語のうち、構文解析を丁寧にすることができる言語は、英語しかありません。  それでも、今では英語よりもドイツ語の方が得意です。  では、ドイツ語はどのように学んだかというと、一つひとつの文法項目を、何度も練習問題を解いたり声に出したりして、身体に慣れさせていったのです。  その時、構