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ヴァイオリンの音色のよさはスペクトラムアナライザーで分かるか試してみた

本記事は富士通クラウドテクノロジーズ Advent Calendar 2023の6日目の記事です。昨日は@Authnsの samber/lo, samber/moを使ってABC329のA-Fを解いてみた でした。昔、プログラミングコンテストでGolangを使うのは標準ライブラリが充実してないから不利と聞いたことがありましたが、十分やれるんですね。いま業務でGolangを使っているので、私もやってみようと思いました。

はじめに

弊社のアドカレでは、技術的なテーマで記事が多く投稿されると思いますが、私はちょっと毛色の違うテーマで書いてみます。
ヴァイオリンの音色をスペクトルアナライザーで分析し、より良い音色にするためのヒントが得らないか試してみた話しです。

音色の違いはなぜ生じるのか?

普段我々が耳にしている音は、実はいろいろな高さの音が重なり合っています。音の中にはその音の音程として聞こえる音(基音)と、それに付随している周波数成分(倍音)が含まれています。この倍音の構成によって音色が決まります。

ピアノの音を波形でみてみる

スペクトラムアナライザという、横軸は周波数、縦軸は音圧をリアルタイムで表示できるツールを使って、ピアノでラの音(442Hz)を弾いたときの波形をみてみましょう。

基音である442Hzに一番の音圧のピークがきています。さらに、884Hz、1.3kHz、1.7kHzなど基音の整数倍の倍音に高い音圧がある事が分かります。整数倍の倍音の間にある音を非整数次倍音といいます。非整数次倍音は音程感を感じにくいノイズのような音です。波形をみる限り、ピアノはこの非整数次倍音が少な目です。ピアノの音色がすっきりしているのは、非整数次倍音が少ないからだと思われます。

ヴァイオリンの音を波形でみてみる

次に同じラの音(442Hz)をヴァイオリンで弾いたときの波形をみてみます。

波形がだいぶピアノと違いますね。高い音圧を示している倍音の種類がピアノより多いです。またピアノのように高い周波数になるにつれて、倍音の音圧が小さくなっていません。でこぼこしてます。ピアノとヴァイオリンでは音色はだいぶ違うものとして聴こえますが、波形にもちゃんとそれが表れています。

ヴィオラの音を波形でみてみる

続いて最近買ったヴィオラで同じラの音(442Hz)を弾いたときの波形をみてみます。ヴィオラはヴァイオリンより楽器のサイズが一回り大きく、同じ音を弾いてもヴァイオリンとは音色が異なります。

いかがでしたか?ヴァイオリンとの音の違いや、波形の違いに気づきましたか?

ヴィオラはヴァイオリンより輪郭がぼやけた音がしています。波形みると、2k前後の倍音に大きなピークがあります。これはヴァイオリンの波形にはない特徴で、これがヴィオラらしい音色を産んでいる要因の1つなのかもしれません。

ヴァイオリン演奏(アマ)を波形でみてみる

同じヴァイオリンの演奏でも、アマチュアよりプロの方が音色が良い事が多いはずです。その音色の違いが波形にどう表れるのか気になったので、それぞれの演奏を比較してみる事にしました。

まずは、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番1楽章の冒頭のヴァイオリンソロをアマチュアの私が演奏したものを波形でみてみます。
※いくつか大きく音程を外しておりお聞き苦しい点がありますが、ご容赦ください。。。

ヴァイオリン演奏(プロ)を波形でみてみる

続いて同じ曲をプロが演奏したときの波形をみてみます。

当然ですが雲泥の違いがありますね!思わず、これに比べると私の演奏はカスや!と言いたくなります。
音程の正確さや、ヴィブラートの安定性、旋律の区切り方の巧みさなど、様々な点でこちらの演奏が遥かに優れています。ひとまず、ここでは音色(倍音の構成)に注目してみたいと思います。

とはいっても、同じヴァイオリン、同じ曲だけあって、倍音の構成はだいぶ似通っているようにみえます。私がみる限り、2k以降の倍音の比率が私よりも高いような印象を受けました。それが音色の煌びやかさの違いになっているのかもしれません。

また、音色とは異なりますが、波形を眺めているとプロの演奏の方がシンプルに動きが美しいです。縦軸の音圧が上下に動くさまがとても滑らかです。これはクレシェンドやデクレッシェンドが、細やかにコントロールされている事を示しています。この抑揚が豊かな情感を産み出しています。
とても見習いたいポイントです。

ヴァイオリン演奏(アマ)にイコライザーをかけてみた

イコライザーを使うと特定の周波数帯の音だけを強調、または減衰させることができます。私の演奏はプロに較べてやや2k以降の倍音が少ないように見えたので試しに、イコライザーで2k以降の倍音を強調してみました。

波形で山のように盛り上がっているグラフがありますが、この分だけ音圧が増加しています。結果、音色が明るくなり、よりヴァイオリンらしいサウンドになった気がします。

まとめ

同一の楽器だと波形の違いを目で読み取る難しさはあるものの、聴覚だけでなく視覚的にもみることで得られる気づきもあり、個人的には有意義な実験でした。また、音量以外に自分の演奏に編集で手を加えたことがなかったので、自分の弾いた音が変わっていく様をみるのは新鮮な体験でした。

イコライザーで高音域の周波数を補正すると音色が煌びやかになることも分かり、高音域の倍音が多く含まれる楽器を新しく購入したい意欲も高まるばかりです。実は既に楽器のアテはついていて、今週の金曜日はボーナス支給日。。。買っちゃおうかな。

おわりに

さて、明日は @SogoK  がcedarについての記事を書いてくれるようです。どんな記事になるのか楽しみです。


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