THE SECOND 個人的感想

THE SECOND2023決勝が行われ、ギャロップの優勝で幕を下ろしました。
漫才の大会として最大の比較対象であるM-1と比べると、基本的にはワンミスも許されないピリピリした空気よりも、お客さんを味方につけてハプニングも楽しむような大会になりましたね。大会全体として暖かい雰囲気でした。

また、タイマンであることで1試合ずつドラマと関係性が生まれ、無駄な対戦カードはひとつも無かったと思います。


1-1.金属バット:ことわざ
→金属はいつもトップバッターをやらされているような、、、
この組み合わせならどちらかと言えばマシンガンズの方が向いているはずで、金属はゆったりとギアを上げていくタイプなので少し不利かなと感じていました。
私が初めて彼らを見たのは2015年のM-13回戦(ラジコンのネタでしたっけ?)でした。それ以後彼らはM-1予選で「漁師」「プリクラ」「金鉱脈」と名作を重ねていきます。
2018-9年頃から徐々に現在のような風刺やブラックジョークなども交えたおしゃべりにシフトしていきますが、個人的には準々決勝で敗退していた頃の、尖りきった発想で突っ走る4分間が大好きだったので、今の金属を見ると個人的にはプラスの意味でもマイナスの意味でも落ち着いた雰囲気だなと感じました。
振り切った発想を「はあ?」と一言だけで突っ込んでいた過去の彼らにはロマンと荒さが、今の彼らには風格と強さがありました。


1-2.★マシンガンズ:腹が立つこと
→10年以上前にレッドカーペットに出てた頃からやってる事の骨格は変わってませんね。続けることにこそ意義があるという事ですね。
ちょっとテーマのツギハギ感が気になりましたが、これだけ2人で騒ぎ散らかしても、うるささと不快さが一切なく、2人ともの話が入ってくるのは本当に凄いですよね。
ユニゾンツッコミとネタの内容も相まってハリガネロックを思い出して懐かしい気持ちになりました。
22年経って時代や環境や価値観が変わっても皆人の悪口言ったりキレたりするのが好きだということは変わっていない、それは去年証明済みでもあります。


2-1.スピードワゴン:春夏秋冬の恋
→思ったよりかなり点数低くてビックリです!
小沢というキャラクターが定着しているマンパワーがある人に自由を与え、同じく力のある井戸田が好き放題ツッコむ、スタイル的にはスーマラ筆頭によくありますが、2人のキャラクター性あってこそのネタで凄く面白かったです。
小沢が喋り出すだけでウケる、井戸田がこっち向くだけでウケる、まさしく無敵状態。
春夏秋冬がそのまま起承転結になるネタですが、強いて言えば転が転すぎたかなと。
食べられないキノコとかお腹から金魚が出てくるとかはあまりにも流れに関係ないので、、、

2-2.★三四郎:占い
→めちゃくちゃ面白かったし、あれだけテレビに出て売れてもM-1に出続けてきた漫才に対する情熱がようやくここで報われたことに感動を覚えました。
一方で瀧上(TAKIUE?)が言ってたことが分かるような気もします。恐らくこういうネタはM-1では落とされるはずで、お笑い好きの客層が味方している感は正直あります。どうしても漫才の大会として比較はされますし。
キングオブコメディがあんなに爆受けした一方で、自力のボケが梅水晶だと(もちろんそれがジャブだとしても)バランスが悪いですよね。
もちろん面白いですけどね、ただいくら何でもHEY!たくちゃんのエンタでのキャッチコピーは覚えてないw誰が分かるんだw

3-1.★ギャロップ:カツラ
→毛利の持ってきたおかしな提案に対して林が理詰めで広げていく、後期M-1から見せてきた彼らのスタイルですね。
2018年の決勝ではなんでウケなかったんですかね、、、
設定自体が面白い上に、そこでツッコミがこちらの気づいていない面白さを見つけてきてくれる、6分とは言わずもっと広げて欲しいと思うぐらい本当に面白かったです。
これを三本やって欲しかったんですが、、、

3-2.テンダラー:??
→マシンガンズの時も思ったんですが、やっぱり色んなところからベストボケだけを持ってきたようなツギハギネタは1回1回気持ちがリセットされるのでちょっと盛り上がりにくいです。
勢いと手数が多い分1つ1つのボケのクオリティもちょっと弱めに感じました。
しかし、THE MANZAIでもそうでしたけど、浜本のしつこく同じ音楽繰り返してボケるのってなんか腹が立つんですけど面白いんですよね。何なんでしょうあの特殊能力。

4-1.超新塾:飲み会のコール→映画の予告
→お笑い好きの客層はこういう飲み会に行くんでしょうか??個人的には当時元ネタが分からなかったすゑひろがりずの2019年決勝の時のネタの答え合わせがここで出来てスッキリしました。
あの頃からスタイルは何も変わってないことが懐かしくてちょっと感動。サンキュー安富の奇声から入るスタイルが変わっていないことと、その奇声が昔に比べてあまりにも勢いがなかったことに泣きそうになりました。
5人いるとガチャつきがちですが、ツッコミとアイク以外の3人は別に誰がどれをやっても良いので関係性を意識しなくても良く、ストレスフリーで最後まで見られました。
掴みは別にいらなかったかな??

4-2.★囲碁将棋:できるモノマネを見つける
→彼らは毎回ネタを1つのテーマで押し切る上に、目の付け所がニッチすぎる時があると思うんですが、今回のネタはある意味モノマネネタのあるあるとして、観客の琴線にしっかり触れられたのではないかと思います。
手数も多かったですがクオリティを一切落とすことなく駆け抜けたのは流石としか言いようがないです。

準決勝1-1★マシンガンズ:腹が立つこと→知恵袋
→ネタの最初の1-2分を当日の内容についてアドリブ気味にやってましたが、これぞ醍醐味ですよね。
6分ネタを見せてくれた方が満足感はあると思うんですが、でも20年以上やってきたことが現れていて、カッコよかったです。
知恵袋ネタは恐らく昔からやっているもので磐石のウケ。紙を出そうが帽子を被ろうが評価には影響しないようですね。


1-2.三四郎:弟子入り
→「三四郎は軒並み小宮から入る」は1本目の時ベストボケとして入れたと思っていたんですが、どうやら知られてるボケ手口であることを逆手にとってわざとやってますねこれは。
そういう弄れた手口とか、躱すようなスタイルを入れながら進めるのが彼らの魅力でそういう所は大好きなんですが、1日に何回もそれをやられると食傷気味にはなりますかね。

準決勝2-1.囲碁将棋:副業
→こんなに性格悪かったでしたっけ??w
私はこの辺りで少し疲れてきてしまったのですが皆どうなんでしょうか。
1テーマに対して2-3回しかボケるチャンスが無い分ファーストインパクトは非常に大切ですが1回も外すことなく仕留めていたと思います。
弄りもチープじゃなく独自の目線を加えつつ大きく逸脱することは無い、心地いいものでした。

2-2.★ギャロップ:電車でのストレス
→ネタと言うよりはエピソードトーク感が強かったかなー。
ガキ使のトーク感があって、それはもちろん面白くて、自然体といえばそうなんですが、、、
賞レースという枠の中でどこまで求めるか、という問題ですね。漫才の賞レースのスタンダードは多くの人にとってM-1ですよね。別大会である以上その枠は壊すべきなんですが、仮に6分間フリートークされてもあれだし、、、
囲碁将棋のオチとリンクするかのような展開で面白かったです。

決勝.マシンガンズ:握手/★ギャロップ:フランス料理
→マシンガンズは3本やるにつれてネタに占めるアドリブ(風?)部分がだんだん増えてくるのを逆手に取りつつ6分間をしっかり乗り越えましたね。
ギャロップに比べて単純な笑いの手数は上回り、お客さんも味方につけたマシンガンズが1歩上回ったのかなと思っていたのですが。
ギャロップはしっかり台本としてネタをやりました。イライラを積み重ねて一気に発散するカタルシスは見事でしたが、舞台が日本に戻ってきた段階でオチが読めたのと、いくら大落ちが待っているからと言って余りにも時間を使いすぎ感が個人的には気になりました。
ただ、しっかり6分間ネタをやったこと、一手しか打たずに王手を打てたことが高く評価されたのか、最後はギャロップが大差をつけて優勝となりました。

最後に大会マスコットキャラクターアンバサダーが言っていたように、誰も損することなく和やかに大会が終わったと思います。マシンガンズ以外は基本的に芸人の仕事でご飯食べられている人達(と思うんですが)なのもありますかね。
これがドン底から這い上がってきたようなハングリー芸人たちの集まりになるとまた雰囲気も変わりそうです。
来年、再来年とどんどん続いていくように願うところです。

1つ気になったのが大会マスコットキャラクターアンバサダーに松本人志を起用したことです。
それ自体は反対ではなくむしろ大会の泊をつけるためにもいい事だと思います。
ただ、彼ももう還暦で引退説が噂レベルであっても囁かれる状況。引退は分からないにしても向こう2,30年トップランナーであることは考えにくいですよね。
彼がいなくなってもお笑いそのものは心配ありませんが、賞レースというものをどうするのか、彼の代わりに誰がなるべきなのか。或いは代わりは居ないのか。要らないのか。
そろそろしっかりと考えていかないといけないのではと思います。

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